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INTERVIEW
ワーキングマザーに「ウソWill」を言わせない、心を開く対話の秘訣
INTERVIEW

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ワーキングマザーの活躍を支援すべく、状況を理解し、本来の力を職場でより発揮してもらうためにさまざまな試みをしている読者の方も多くいらっしゃるでしょう。

なかにはその過程で葛藤を感じている方もいらっしゃるかもしれません。個々人を取り囲む状況は一人ひとり異なるなかで、他人のことを理解し、さらに相手の力を引き出すというのは容易なことではありません。

では、ワーキングマザーの理解を深め、力を引き出すためにはどうすればいいのかーー。企業における女性の活躍支援に従事するコンサルタントの堂薗稚子さんにお話を伺いました。

株式会社ACT3 代表 堂薗稚子

PROFILE

株式会社ACT3 代表 堂薗稚子
堂薗稚子
株式会社ACT3 代表
上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業にて21年間勤務し、営業組織・企画部門のマネジャー、カンパニーオフィサー、リクナビ派遣編集長など歴任。一男一女の母。自著に「『元リクルート最強の母』の仕事も家庭も100%の働き方(KADOKAWA)」がある。

個に合わせたコミュニケーションが鍵

ーワーキングマザーとその周囲との接点に関する葛藤の声を聞くことはありますか?

そうですね。自分は「よかれ」と思ってしたことが、実はワーキングマザーを傷つけているというケースが見受けられます。

例えば、子どもを託児所やベビーシッターに預けて働きがいのある仕事をしたいという女性社員が職場復帰したばかりの頃に、上司から「仕事はいいから、もう帰って育児してね」「この仕事は大変だからやらなくていいよ」と、過度に “慣らし運転” のようなコミュニケーションをとられて悔しい思いをしたという話を聞きます。

 

ー上司からすれば、「気づかい」ということになるのでしょうが・・・

もちろん、女性社員も上司から気づかってもらえることに対して感謝の気持ちはあるんです。でも、お互いに心を開いたコミュニケーションができていないがために、すれ違いのようになってしまうんでしょうね。まるで思春期のお父さんと娘の関係のように。

ワーキングマザーのことをどうしても完全には理解しきれない上司が、女性社員に対して慎重に接する。共感性の強い女性社員は上司が自分に対して慎重になっていることを感じて取ってしまう、ということが起きているのではないでしょうか。

 

ー難しいですね・・・ どうすれば克服できるでしょうか?

ワーキングマザーにかぎったことではありませんが、バックグラウンドや価値観というものは個々人によって異なります。

例えば、「あなたは次はマネジャーになるかも」と声をかけたとします。男性なら「頑張ります」と自信を持って答えるひとが多いけれど、女性の場合は納得するために「どうして私なんですか?」と質問で返すケースが多い。

相手の力を引き出すためには、「個にあわせたコミュニケーション」が求められます。そのためには、対話を重ね、相互理解を深めていくことが不可欠です。

「ウソWill」を言わせない、心を開いた対話の秘訣

ー特に上司が押さえるべき、ワーキングマザーと対話する際のポイントを教えてください。

「あなたは何をしたいの?」という、相手の「Will」を聞くのは、未来から現在を考える男性的な対話によくあるやり方かもしれません。

一方、多くの女性は過去や現在から未来のことを考えます。その質問に対して、本心からの Will を答えられる女性は、男性に比べれば少ないのではないでしょうか。

それでも、上司に「何をしたいの?」と聞かれるから、”自分のチームをもって部下を育てることをしてみたい” “いつかは新しい事業に挑戦してみたい” と「ウソWill」を言ってしまう。結果、自分が対話の場で語った Will に行動がともなわず、上司から「自分のやりたいことなのにどうしてやらないの?」と言われてしまうことがあるのです。

 

ーでは、対話ではどのような会話を心がけるべきでしょうか?

チームのミッションを踏まえた上で、まずその人の「Can」を中心に会話するとよいでしょう。そうすると、そのひとのできたこと、できることがわかるようになる。そして、その Can を活かせる「Must」を提示するのです。

例えば、そのひとが上司に頼まれた資料作成をうまくこなせるようになったとします(Can)。もしもその資料作成が定期的に発生するようであれば、上司のルーティーンの予定を共有し、そのほかにもできるアシストを自発的に探せるようになってもらうこともできますね(Must)。それを短期で繰り返すうちに、ぼんやりとでも「将来任せたいこと」「やってみたいこと」(Will)が共有していけるようになっていく。

私の場合は、社員1人につき最低でも週に1回、1時間の面談の時間を定例でもうけるようにしていました。面談では、その人の仕事、Must の棚卸しをしながら Can を指摘し、それをもとに次の Must を探ることを心がけていました。

対話が欠かせない「二度の危機」のタイミング

ー対話するタイミングについて、なにかアドバイスはありますか。

タイミングは重要ですね。ワーキングマザーの多くの方々は、職場復帰してから仕事へのモチベーションが下がる ”二度の危機” を経験すると言われています。一度目は「慣らし復帰期」二度目は「泣き言期」です。そのタイミングにあわせて対話するとよいでしょう。

一度目の「慣らし復帰期」は、職場復帰直後、3カ月〜半年間くらいです。想定外のことも多い子育てと久々の仕事の両立になれるまでの期間ですね。この頃は、実はマネジメントする上司のほうも慣れないことが多く、お互い大変な時期です。

上司は仕事がうまくいっていない様子を見ても、「このひとはダメかもしれない」と見かぎってしまうのではなく、辛抱強くフォローして信頼関係を築くよう努めましょう。その上で少しずつ業務量を増やしていき、何をどこまでできるのか見極めていくことが大事です。

その時期をうまく乗り越えられないと、辛い思いが積み重なり、「もう辞めたい」「仕事を減らしてほしい」と悩みを打ち明けるようになる二度目の危機「泣き言期」が訪れます。そのときには、スキルと今できることをあらためて見極めた上で、小さい成功体験を経験させてあげる。すると、自然と自走期が始まります。

 

ーやはり、個に合わせて接することが大切ですね。

はい。また、可能なら対話は復職前から始めるのがよいでしょう。

産休、育休中に職場と距離を置いているワーキングマザーは、復職にあたって不安で仕方ありません。復職前に子育てなどプライベートにおける心配や仕事への不安などをヒアリングしておくと、スムーズに職場復帰できますし、なにより信頼関係を築きやすくなります。面談という堅苦しい形ではなく、カフェで赤ちゃんも連れてリラックスした雰囲気で対話するのもお薦めです。

対話するとき、心を開かなければいけないのはワーキングマザーだけでなく、上司も同じです。心を開くことは、誰にとっても時間のかかるもの。無理やり心を開こうとは思わないほうがいいでしょう。

それでも、「自分たちはチームとして利益を生み出し、会社に貢献するという同じ目的を共有した仲間である」という前提を共有し、その上で、部下を何とかしてコントロールをしようではなく、「いかに貢献してもらいたいと思っているのか」という姿勢を見せる。

そうすれば、「あなたのことを知りたい」という気持ちが自然と相手に伝わり、お互いが心を開いた対話が始まるのではないでしょうか。

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[取材・文] 大井あゆみ、岡徳之

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