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INTERVIEW
週1回×15分でチーム変革!事業を成功に導くクックパッドの振り返り
INTERVIEW

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BOOK MARK

読者のみなさんの中には、普段の会議が単なる進捗報告の場に陥ってしまい、事業を成功に導くための組織変革の場にはなっていないと感じている方も多いのではないでしょうか?

料理レシピサイトを運営するクックパッド株式会社は、そんな「進捗報告会」では補えない課題を解決する上で有効な「仕掛け」を行っています。それは、「定期個人面談」です。その効果について仕掛け人である同社のエンジニアであるレオさんは、

チームのいろいろな課題を発見し、解決に導くヒントに出会える。メンバーと強い信頼関係を作り、チームにさらなる活気をもたらし、よりよい仕事ができるようになる。

と語ります。日本最大のレシピサイトを支える、この新しい「振り返り」のかたちを取材で探りました。「今年の目標をこれから考える」という方にも活かしていただける内容です。

クックパッド株式会社 新規広告開発部所属 エンジニア Leonard Chin(レオ)

PROFILE

クックパッド株式会社 新規広告開発部所属 エンジニア Leonard Chin(レオ)
Leonard Chin(レオ)
クックパッド株式会社 新規広告開発部所属 エンジニア
オーストラリア出身。ニューサウスウェールズ大学でソフトウェア工学を専攻。卒業後、日本に渡ってALT(外国語指導助手)として日本語を学びながら働き、その後ソフトウェアエンジニアとしてWebサービス企業に就職し、様々な小規模チームのリーダーを務める。クックパッド株式会社では、広告事業のリードエンジニアとして広告商品や配信基盤の開発に従事

週に1回、15分の面談を繰り返す

—クックパッド社の定期個人面談とはどのようなものでしょうか?

毎日のスタンドアップミーティングなどチームメンバーと話す機会はいくらでもありますが、実は1on1で話す機会は少なく、しかしそういう場面でなければ話せないこともたくさんあります。

何を話すかと言えば仕事の話題でも、プライベート、技術ネタでも話したいことがあれば何でもよいです。ただし、面談の目的は、チームメンバー同士がお互いの抱えている課題を発見し、早い段階で解決に導くこと。

そうして、結果として強いチームを作ることです。

 

ーどのようなきっかけで始まったのでしょうか?

もともとクックパッドは一つのチームの規模が2〜3名と小さく、個人で仕事をすることが多かったんです。ですから、「個人プレーは得意だけど、チームプレーは苦手」という社員が多い印象がありました。そこでまずは「お互いをもっと知ろう」と2年ほどまえに思ったことがきっかけです。

飲み会をするのもよいのですが、お酒や飲み会があまり好きではない人や、家庭があるなどの理由で終業後のイベントに参加することが難しいもいます。それにお酒の場だけだと、たとえ顔を突き合わせていてもまわりにが多くて思ったことを話せないときもあり、そこでは築けない信頼関係もあると思いました。

 

ー定期個人面談を始めて、どのような効果を実感していますか?

チームの状態やメンバーを深く知る機会になりました。進捗会議ではすでに起こっている課題を発見できますが、面談ではそれらの原因となりうる潜在的なコミュニケーションの課題や解決に導くヒントに出会えます。

そのヒントを事業に活かすことで、チームにさらなる活気をもたらし、各人がよりよい仕事ができるようになる。結果としてメンバーと強い信頼関係を作ることができます。

 

ーしかし、思ったことを話せる間柄になるというのは簡単ではありませんね?

まさに。試行錯誤するうちに、「会う回数を少しずつ重ねていくことが大事」だと分かってきました。最初は月に1回でしたが、最近は「週に1回」とかなりペースを上げています。

また頻度を高くすることと同じくらい、始める時間と場所を決めて、それを変えないようにしています。時間を決める理由は、常に高い集中力が求められるエンジニアの仕事に割り込むかたちにならないよう、事前に予定を確保するためです。

リスケもしません。どうしても外せない予定が入り、その週の面談をスキップしたら、次の週に繰り越すだけ。リスケのストレスを発生させないようにすることで、より安定したコミュニケーションを図れるからです。

面談を始める場所を決める理由は、拠り所をつくることでコミュニケーションの摩擦を減らすためです。できればリラックスできる会議室で始め、気分を変えたいなら散歩しながらに切り替えたり、面談を延長したいならそのままランチに行くこともあります。

 

ー一回の面談の長さはどのくらいでしょうか?

以前はおよそ30分でしたが、最近は15分と短くなっています。会う回数を重ねていくとすぐに深い話に入れるので30分でも十分、むしろ長いと感じられるようになります。

振り返るための質問とそのねらい

ー面談ではどのようなことを話されますか? ブログでは、以下のような「質問」が紹介されていました。

  • 仕事のブロッカーありますか?
  • いまのチームのやり方、どう思いますか?
  • 最近、試してみたい技術ありますか?
  • なにか不安はありますか?
  • 最近ひどいと思ったコードはありますか?
  • いまの仕事、楽しいですか?

 

ーいくつか気になる質問をピックアップします。「仕事のブロッカーありますか?」の質問の意図を教えてください。

これは、各人が自分一人で乗り越えようとしている困難を引き出すための質問です。引き出し、チームで共有することでもっと早い段階で解決できるように促します。これを繰り返すことが、潜在的な課題をチームで共有しようというマインドをさらに育てるサイクルが生まれます。

プロフェッショナルな人ほど、たいていの課題を自分一人で乗り越えようとしてしまうものです。そして乗り越えることもできるでしょう。しかし、それによって自分の仕事は終わっているけれど、チームとしては滞っているということが起こりがち。そうならないように、一人ひとりのマインドややり方を変えていくのです。

また、経験豊富な人にとっては大したことではなくても、本人にとっては大変な課題で、でも口に出せないというのはよくあること。相手の話にしっかりと耳を傾けて、ソースコードからでは伝わらない本当の問題を発見して解決に導くのです。

 

ー「最近、試してみたい技術はありますか?」「最近、ひどいと思ったコードはありますか?」の意図を教えてください。

前者は、知的好奇心を保ち、継続的に学ぶことを促すための質問。エンジニアの世界では、いま仕事で使っている技術だけでは次のキャリアにはつながらない場合もあるためです。相手の興味関心を知り、ときには情報を共有しあいます。

仕事以外の話が出てくることも。例えば、「Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏の読書リストに入っている本を読んでいます」「このWebメディアに記事を寄稿している」「インドネシア語の勉強を始めた」など。

「最近、ひどいと思ったコードありますか?」の質問には、直接事業の改善につなげられる効果も期待できますが、実はその人のプライドを確認するための質問でもあります。相手が譲れないところなど、仕事に対するスタンスを知ることができるんです。

 

ー進捗報告会とはだいぶ異なりますね。

はい。部下が上司に同じ質問を聞き返すこともありますよ(笑) ですから上司も自分も答えられるように自問しておかなければいけませんし、それによって自分の課題を発見することにもつながります。

私はいま36歳ですが、この業界に自分よりも年上でエンジニアの人ってあまりいないんです。私のように、自分にとってのロールモデルを見つけづらい業界にいる人ほど、自分の課題を発見できる振り返りは重要だと思います。

クックパッド株式会社 新規広告開発部所属 エンジニア Leonard Chin(レオ)

具体的な目標は設定しない

ー面談を踏まえ、どのようにして次のアクションにつなげますか?

振り返りの場で設定するアクションは、進捗会議で出てくるような具体的な課題に対する解決策ではなく、そうした課題を発生させないようにしたり、仕事のプロセスをより楽しくする「やり方」に関するものがよいでしょう。そして、アクションは一つに絞り込むこと。

そのアクションについて、あまり具体的な目標は設定しません。特にプロセスをより楽しくするためのアクションに対して、定量的できちんと計測できる「SMART基準の目標」は重たすぎるときがあるんです。

例えば、きちんと「GitHub」(ソフトウェア開発プロジェクト向けのグループウェア)で情報共有をしようとか、新しいプログラミング言語を習得したいから自分の空いた時間でそれを使ったアプリケーションを作ってみようといったものです。

 

ーそこで出てきたアクションの進捗は次回の面談で確認するのでしょうか?

「やってる?」ぐらいは聞きますね。振り返りの場は、あくまでアクションのきっかけさえ作れればいいと考えています。

 

ーほかの企業の人がこの面談をする際の注意点があれば教えてください。

振り返りをしているうちに進捗確認の場にならないようにすることですね(笑) つい目先の仕事の話をしたくなる気持ちは分かりますが、そればかりやっても効果は期待できないと思います。また、いま目の前の仕事に集中している相手の視点を変えてあげることが大切です。そのために先ほどの質問項目を参考にしていただければと思います。

クックパッド株式会社 新規広告開発部所属 エンジニア Leonard Chin(レオ)

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[取材・文] 狩野哲也、岡徳之

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