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INTERVIEW
逆転するクライアントとパートナーの力関係。ガイアックス最年少事業部長に聞く「選ばれるクライアント」になるには?
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クライアント側(発注者)に十分な報酬を支払う用意があれば、パートナー(受注者)に仕事を依頼して断られることはない。実際にそのような経験をしたことはない、という人がほとんどではないでしょうか。

しかし、クラウドソーシングで社外のメンバーとチームを構成し、「離職率0%で売上5倍」を実現した、ガイアックス史上最年少事業部長(当時26歳)の管大輔さんは、「クライアントは今後、パートナー側からの厳しい目にさらされるようになる」と考え、「パートナーに選ばれる企業」を志向しています。

なぜ、そうした関係性の変化が起こるのか。パートナーに選ばれ、惹きつける企業となるために必要なこととはーー。パートナーとの協力関係に支えられ、事業の飛躍的成長を実現してきた管さんのお話を通じて、これからの「クライアントとパートナーのあるべき関係」を深掘りします。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

PROFILE

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔
管大輔
株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長
1989年生まれ、早稲田大学教育学部を卒業後、2013年に株式会社ガイアックスに入社。転職寸前に会社の課題と対策を執行役にぶつけたところ、それが採用され、26歳(当時)という同社史上最年少で事業部長に就任。部の改革に取り組み、就任当時約40%だった離職率は0%、売上は5倍にまで伸長。今年から本部長も兼任し、7つの事業部を管掌している。

クライアントとパートナーの「逆転」

―なぜ、管さんはパートナーに選ばれる企業になることが重要だとお考えですか。 

結論から言えば、仕事の主導権というものが今後、クライアント側からパートナー側へ移り変わっていくと感じているからです。今すでにそうなりつつあるのかもしれない。

労働人口は年々減り、今年、中小企業における新卒の有効求人倍率は9倍超にもなりました。昨年は会社に勤める人の副業も解禁されて、優秀な人ほど社外での活動、フリーランスとしての仕事を始めています。

それにともない、個人がいくつかの案件を同時に走らせながら、今自分の手元にある仕事とその他の仕事とを比べて、場合によっては元からあった案件を止めることも出てきた。

当然、優秀な人のところにほどいい案件は集まるため、企業にとっては、その人を完全雇用しようとするとコストが青天井に高くなる。だから、複業を受け入れざるを得ない。

要は、仕事を引き受ける立場の人にとって、選択肢は増え、クライアントを選べる状況になっている。「クライアントが強く、パートナーは弱い」という関係は、ますます崩れていくと思います。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

クライアントがパートナーを選べた時代は、乱暴で、一方的な依頼の仕方をしてもよかったのかもしれない。配慮のない接し方をしても、報酬の金額が高ければ、引き受けてくれる人もいたでしょう。

しかし、これからはそうではなくなる。たとえ、クライアント側が大企業であっても、誰も仕事を引き受けてくれないところも出てくるんじゃないか、と思います。

それに、僕自身、またきっと誰しもそうだと思いますが、報酬の金額が同じであっても、仕事に対するモチベーションの高さやパフォーマンスの質が変わることはありますよね。

プロである以上、どんな仕事でも「100点」は出すけれど、それ以上・・・150点、200点を出したいと思えるクライアントもいれば、逆に「100点以上は出したくない」って思ってしまうクライアントも中にはいる。

つまり、クライアントとパートナーの関係は、仕事の「成果」にも影響をおよぼすわけです。うちはパートナーの力を最大限に力を引き出せる企業でありたい。そう思って、組織運営にはこだわっています。

「選ばれるクライアント」になるためにできること

―パートナーとよい関係を築くために工夫されていることは?

まずは、依頼の仕方ですね。

僕自身もそうですが、仕事を依頼される際、「あなたと一緒に仕事をしたい理由」を添えられると感動します。「どうしてもあなたと・・・」と言われたら、たとえ多少金額が低くても引き受けたいと思うはず。

逆に、「ああ、きっと同じ文章をコピペしていろんなフリーランスの人に送っているんだろうなあ」、しかも「他の人はこれくらいの金額でやってくれると言っている」みたいな頼み方は、ないですね。

そして、実際に仕事が始まる際には、丁寧に情報共有を行います。

例えば、営業資料を作成する仕事であれば、その資料は営業の初期段階に使うものなのか、それともクロージングの段階で使うものなのか、その資料を読むのは担当者レベルなのか、決裁者なのか。資料の大事なポイントはなにかーー。

もしそれを、資料に入れるテキストだけ送って、「これをいい感じのパワポにしてください」で済ませたら、引き受けたほうも「それでいいんですね」となって、結局、「これくらいの資料なら自分でも作れたのに」みたいな成果物が上がってきても、仕方ありません。

そうではなく、自分と、自分の先にいるエンドクライアントが何を思い、何をしてほしいのか、そこにどんな工夫を加えてほしいのか、丁寧に伝えるようにしています。過去にクライアントから高く評価された事例を共有するのも、助けになりますね。

そして、フィードバック。成果物が納品されたら、よく「ありがとうございました」の一言で済ませる人がいますけどそうじゃなくて、どこが、どうよかったのか、エンドクライアントからの評価も伝えて、一緒に喜び合います。達成感のようなエモーショナルな部分も共有するんです。

仮に、品質が十分じゃなかったとしても、どこは要望に合っていて、どこはズレていたのか、それをどういう意図で、どのように直したのか、まで伝える。誰しも、自分の成果物がその後どうなったかよく分からないまま内容を修正されたら、いい気はしないじゃないですか。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

一貫して大切にしているのは、パートナーの「マインドシェア」を高めることです。

その人が抱えるすべての仕事の中で、自分がお願いしている仕事はどれくらいのボリュームを占めていて、どれほど重要だと感じてもらえているのか、ということ。どこでも働ける優秀な人にこそ、「ここで働きたい」と言ってもらえる会社でありたいんです。

そのために、うちでは毎月のプロジェクトチームの食事会にパートナーの方も無料で招待したり、社員合宿に来てもらったりしたこともあります。そうやって、会社のことをもっと好きになってもらいたいんです。

ですから、他社の発注の仕方にも常に目を光らせています。発注者として差別化を図るために。

パートナーの方に、「他にはどんな仕事をしているんですか? 楽しいですか?」と聞いて、「この人はこんなことを楽しい、楽しくないと感じるんだ」と知れば、パートナー満足度を高めるために自分がこれから何ができるかが分かる。

「はい、他の仕事も普通に楽しいですよ」と言われると、危機感からウワッて思いますし(苦笑)、逆に、「ほんとうはもっと深く関わりたいんです。社内のミーティングにも参加させてほしい」なんて言ってもらえたら、涙が出るほど嬉しいですね。

そうやってマインドシェアを高めてくれたパートナーの方って、「自分が与えられた仕事を終わらせること」じゃなくて、「いい仕事をすること」をゴールにしてくれるんです。

言われたことをやるだけじゃなくて、どんどん改善して、プラスアルファの情報をシェアして、僕らクライアントに新しい視点を与えてくれる。そこまで来たら、もはや「社外」である感じがしません。

管さん(写真上段、左から3番目)とパートナーの方々
管さん(写真上段、左から3番目)とパートナーの方々

お互いに「選ぶ権利」がある。中長期で考えて、関係性を作る

―なぜ、管さんはそこまでパートナーのことを考え、こだわれるのでしょうか。

僕らもまだ途上なんです。僕も最初は、クラウドソーシングサイトで新しいパートナーの人を見つけて、だけどうまくいかなかった場合、依頼する相手をコロコロ変えたりしていたんですよ。

でもあるとき、うちの複数人のメンバーが、同じような内容の仕事をある一人のパートナーの方に依頼して、だけど、どのメンバーが依頼したかによって成果物の品質に大きく差が出たことがあったんです。

この場合、品質を左右する変数はうちにしかないわけじゃないですか。それで、「あれ、もしかして自分たちのせいなんじゃないか? 相手に責任があると考えるのは、ただの怠慢だな」って、それで考えが切り替わったんです。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

それからは、メンバーにもパートナーの方々と「社員」と同じように接するよう求めるようになりました。

過去の話だから言えるのですが、中途入社のメンバーが、資料作成をお願いしているパートナーの方を「業者扱い」しているのを見て、注意したんですよ。そしたら彼は、「そんな配慮、必要ですか? だって仕事じゃないですか。言われたらやるもんでしょう」って。

それでブチ切れましたね。「そんなメンバーはうちにはいらない。自分は立場が上だと思ってやっているとか、ありえない」って。

―そのようにマインドシフトするには何が必要だと思いますか?

おそらく、上下関係で仕事をする人は、大きな会社があって、下請け企業がいて…というそれまでいた環境で、社風的になのか、「言ったことはやってくれるよね」みたいな振る舞いが許されていたんだと思います。

しかも、本人には自分が悪いことをしているという意識もなくて、上の人からそういう接し方をされているうちに、それが自分にも染み付いてしまった、ということもよくあります。ですから、社長や上司の立ち振る舞い、社風って大事だなと思うんですよ。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

だけど、パートナーに選ばれない企業は、自然と淘汰されていくんだろうなとも思っていて。

仕事のパートナー選びほどクチコミを大切にするものですが、たった一人のパートナーの人を起点に、いい噂も悪い噂も簡単に広まっていく。僕も競合企業にいる知人から、「あの企業の仕事は受けないほうがいい」とアドバイスされたこともあります。

余談ですが、この前同じ業界の人と、「この会社のこの人からの仕事は受けるなリスト」は絶対に需要があるという話で盛り上がりました。これからますます、自社だけで完結する仕事は少なくなっていく中で、クチコミはさらに大事になっていくでしょう。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

ただ、パートナーの方々といい関係を築こうと思うと、時間はかかります。納品されても、フィードバックをせず、お礼だけで済ませたほうが楽でしょう。でも、中長期的な視野で見ると、目の前のコストを払っていい関係を築いたほうが、将来いい仕事につながると信じています。

僕はとにかく、「いい仕事がしたい」の一心なんです。うちはコンサルティング会社ということもあって、お客さまの課題を解決するうえでは、一人でも多くのプロフェッショナルが、自分なりの解を持ち寄れば持ち寄るほど、プロジェクトの成功確率が高まる。

そのために、パートナーとなる人たちにはその課題、仕事を自分ゴトとして捉えてほしい。そのためにはいい関係を築く必要がありますし、そこでベストを尽くさないということは、結局、お客さまに対して失礼なんですよ。

やはり、「対話文化」が鍵ですね。パートナーの方々と言いたいことを言い合える。正しいことを正しいと言える。社内外問わず、忖度が生まれない。それがあると、パートナーの方々が関わりやすくなるんじゃないかと思います。相手が学生さんだろうが、アルバイトさんだろうが、関係ない。

これからも、本当に大事なものを見失うことなく、内側から評価される組織にしていきたい。どれだけ外側からの見栄えをよくしても、絶対にどこかでボロは出ますから。

株式会社ガイアックス 本部長兼事業部長 管大輔

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[取材・文] 水玉綾 [企画・編集] 岡徳之 [撮影] 澤村祐太郎

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