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INTERVIEW
起業家「牧浦土雅」が語る、世界で通用する日本人の条件
INTERVIEW

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こんな21歳がいたのかーー。もしもあなたが彼のことをまだ知らなければ、きっと驚くことでしょう。

牧浦土雅さん。近しい知人や友人からは「ドガ」と呼ばれ、その印象的な愛称は一度聞けば忘れることはできません。しかし、牧浦土雅さんのこれまでの精力的な取り組みはもっと印象的。

19歳の頃、アフリカのルワンダに渡って現地政府と交渉し、科学の実験を収録したDVDの教材を約700名の子どもたちに配布。現地の子どもたちの多くは実験を見たことが無かったため、この取り組みは「ITでアフリカの教育を変えた」と話題になりました。

その後も、現地で農作物の需要供給ギャップの課題を解決すべくブローカーとして活動したり、ルワンダで起こるIT化の動向をまとめた電子書籍を発行するなどし活躍。昨年(2014年)1月には、TEDが選ぶ「世界の12人の若者」にも選出されました。

そんな牧浦さんが現在タイの首都バンコクで取り組んでいる新事業とは。そして、この若さで世界を股にかけ活躍してきた「ドガ流」の世界で通用するための条件とはーー。忙しい海外出張の合間に、ご本人にSkypeでお話を聞くことができました。

起業家 牧浦土雅

PROFILE

起業家 牧浦土雅
牧浦土雅
起業家
1993年、東京都出身。13歳で単身渡英し、英国ボーディングスクール卒業。19歳のとき、途上国の教育格差解消を目指すNPO「e-Education」のルワンダ代表として、同国に渡り活動。その他、国連とともに農作物の輸送チャネルを構築する事業を東アフリカ4ヶ国で展開。その後、英国ブリストル大学に入学するも、現在はタイの首都バンコクを拠点にデータ関連の事業に本格的に取り組むため中退。現在に至る。他にも、日本初のドローン関連イベントを主催したり、日本の文化を世界に伝えるため、世界初の石風炉温泉ミスト浴「デトックスサロンLe Furo」の経営にも携わるなど、活動は多岐にわたる。NewsPicks Paperで「40歳以下の日本人イノベーター」、AERAで「日本を突破する100人」に選出。

既存の成功モデルが通用しない領域で挑戦

ー牧浦さんがバンコクで従事している最新の取り組みについて教えてください。

昨年10月に大学を辞めて、今年2月に拠点をバンコクに移し、現在はデータ関連の事業を準備中です。

事業で扱う「データ」というのはパーソナルデータ、つまり個人情報です。今年2月から試験的に東大と共同で「Personal Data Bank」というアプリを開発しています。位置情報や他の個人の情報をアプリ上で打ち込むと、短期的にそのユーザーの携帯電話の通信料を還元し、そこで得た情報を中長期的に解析してさまざまな恩恵を返していきたいと考えています。

われわれが既存のデータブローカリング企業と何が決定的に違う点は、「データを第三者に販売する」というモデルを一切取り入れていないこと。ユーザーからいただいた情報を自分たちのプラットフォームで解析します。例えば、数十万件の位置情報に基づき、今までなかった場所に道路を造るなどの都市開発につなげたりすることが可能になります。具体的な設計は、現在検討中です。

個人情報はこれまで、”個人” 情報のはずなのに、その情報がどこでどのように使用されているかは曖昧でした。しかし、その個人情報を新興国や途上国で新しい「資産」にできるようなモデルを作り上げていきたいです。

テクノロジーを駆使して個人情報に価値を付加し、政府・公共機関・民間企業などと提携して、さまざまな方法で個人と社会に還元することが可能になります。その対価を、途上国の「資産なき層」と呼ばれるひとたちに還元していきたいと思っています。

こうした取り組みは、実は世界中で起こり始めています。たとえば、収集した個人情報からそのひとの信用度数を算出し、金融機関に提供。個人情報が乏しい発展途上国での融資に役立ててもらうサービスなど。

私たちもご協力いただいている、東京大学空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授らも、個人情報を自分で管理し、災害発生時の安否確認や避難生活時の救援物資手配などに利活用する「情報銀行」と呼ばれるシステムの研究を行っています。

 

ー牧浦さんの多岐に渡るこれまでの活動に共通していることは何でしょうか。

いずれも国は途上国もしくは新興国ですが、つまり、既存の成功しているビジネスモデルが通用しない場所で、解決したときのインパクトが大きい課題だけを選んで取り組んでいることでしょうか。

たとえば、データ関連の事業と並行して、「ドローン」に関するイベントとFacebookグループも運営しているのですが、私の場合はギークの文脈ではなく、インフラが未整備の国における活用という文脈でとても可能性を感じているのです。

既存のモデルが通用しない場所ですので、自分より先に進出している企業や知人は限られてしまいます。ですから「人を巻き込む力」は自然と鍛えられました。いまの事業に携わっているエンジニアの大半が集まったのも、ブログでの呼びかけがきっかけです。

最近はたくさんのメディアで取材を受けたり、記事の連載を担当させてもらっていますが、これも人を巻き込むために必要な、自分と社会の皆さんとの信頼関係を築くために行っています。また、普段お世話になってる方々へのレポートのためでもあります。ですから、招待されたイベントなどにも積極的に顔を出すようにしています。

牧浦土雅さんは、タイと日本と往復する忙しい日々を送っています。
牧浦土雅さんは、タイと日本と往復する忙しい日々を送っています。

牧浦土雅が語る、世界で通用する日本人の強みと開花させる方法

ー牧浦さんはいま世界をどのように見ていますか。

先進国と途上国の境界線がなくなりつつあるように感じています。日本や中国が東南アジアやアフリカを目指すのも、そこにビジネスチャンスを見いだしているからで、先進国と途上国の関係がよりフラットになってきているのではないでしょうか。

また、商機を見出した先進国が途上国に進出すると、往々にして進出先の国の特徴が食いつぶされてしまいます。宗教や現地語もふくむ各国の特徴、ブランド力のようなものを持ち続けることが、これからますます大事になってくると思います。

 

ー海外で強みとなる日本人の特徴は何でしょうか。

やはり「本音と建前」の文化でしょうか。欧米人的なコンクルージョン(結論)から会話や交渉を始めようとするやり方をタイなどアジアでやってしまうと、どうしてもうまく信頼関係を築くことができません。

日本人的な、まずはイントロがあって建前を言い、相手が本音を言ったら、それに合わせてこちらも本音と建前を使い分ける。欧米人からすればスピード感が遅いと言われるのかもしれませんが、そうして信頼関係を築きながら、妥協するところ、できないところの線引をしてコミュニケーションを図るというのは、日本人はとても得意だと感じます。

 

ー牧浦さんをグローバルな働き方へと感化するものは何でしょうか。

「当事者と話すこと」ですね。特に途上国は先進国のようにネット上の情報が充実しているわけではありませんので、その中で潜在的な社会問題を見つけるためには現地に行って話を聞くしか手段がありません。

ルワンダで農作物ブローカーの仕事を始めたのも、DVD教材を届けていた学校の隣で畑仕事をしていたあるおばあちゃんに、農作物が余っているという話をたまたま聞いたことがきっかけでした。だったら、それを不足しているところに自分が届けようと。

その経験から学んだのは、「どんなカテゴリーのひととも会って話すことの大切さ」でした。データ関連の事業をしたいときでも、エンジニアだけでなく、コンサルタントにも、アーティストにも話を聞いてみる。意外なひとが意外なことを知っていたり、意外なひととつながっていたりするものです。

 

ーグローバルに働きたいビジネスパーソンへのエールをお願いします。

勤めている会社が倒産したり、リストラされたり・・・ キャリアで辛いことがあったときこそ、海外に出てみることをお薦めします。国内の温泉に行って嫌なことを忘れるのもよいのですが、できれば海外へ。

海外に出るのはリフレッシュになりますし、なによりそれまでの自分とは異なる視点で物事を考えられるようになります。そして、それが次へのスターティングポイントになると思うんですよ。

牧浦さんの頭の中は常に「次」のことで一杯のようです。
牧浦さんの頭の中は常に「次」のことで一杯のようです。

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[取材・文] 岡徳之

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