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INTERVIEW
会社でも上司でもない、ワーキングマザーが向き合うべき “相手” とは?
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ワーキングマザーの「はたらく」にまつわる問題はとても根深いもの。それらを解決しようと職場で対話する機会を増やしたり、はたらき方を工夫したりしている女性は増えていると思います。

そのようにして、自分を取り囲む “環境” にアプローチするのも大切な一方で、新規事業コンサルタントの尾崎えり子さんは、「ワーキングマザーがたたかうべき相手は、自分たちの “中” にある。それは、自分たちの “罪悪感”」だと言います。

尾崎さんは新卒で入社した経営コンサルティング会社で、4年間の在籍期間中に二度も優秀社員賞を受賞。その後、結婚を機に転職し、子会社設立に参画。26歳にして執行役員に就任したいわゆるバリキャリと言われる女性です。

しかし、出産後にワーキングマザーとしての苦労を経験し、現在ははたらくママの支援や子どもの教育支援など、ソーシャルビジネスに携わっています。

「ワーキングマザーは、自分たちの罪悪感と向き合わなければならない」。このことを自身のブログ『コペルニクス的な生活』に綴ったところ、女性読者を中心に大きな反響が集まりました。

ワーキングマザーが抱える罪悪感とは何なのか、どう向き合えばよいのか、そして周囲はそれをどうサポートすればよいのか。尾崎さんにお話を伺いました。

株式会社新閃力 代表取締役 尾崎えり子

PROFILE

株式会社新閃力 代表取締役 尾崎えり子
尾崎えり子
株式会社新閃力 代表取締役
新卒で経営コンサルティング会社、リンクアンドモチベーションに入社。在籍4年で二度、優秀社員賞を受賞。2010年、結婚を機に転職。子会社の設立に参画し、また執行役員として幼児向けスポーツの通信教材を開発。第一子育休後、代表取締役に就任。第二子育休を経て、退職。2014年7月に地元流山を中心にママや子どもの力をビジネスの実益に活かす新規事業プロデュースを行う株式会社新閃力を立ち上げ、現在に至る。

たたかうべき相手は「自分の罪悪感」

ー尾崎さん自身のワーキングマザーとしてのご苦労をお聞かせください。

私は、25歳で結婚して、27歳と29歳で子どもを出産しました。

第1子を出産して職場復帰したとき、息子が病気がちで、しょっちゅう早退しなければならないことがありました。まわりは私がいる時間に合わせてミーティングを入れてくれて、本当にありがたかった。だけど一方で、「申し訳ない」という気持ちを抱えていました。

 

ーワーキングマザーならではの難しさを克服するにはどうすればよいでしょうか。

こうした問題の多くの原因は、何よりも仕事を優先してしまう世の中の考え方にあり、とても根深い。それをはたらくママたちが自分たちの手で変えていくのは、とても険しい道だと思います。

それでも、私にできることはないかともやもやしていたとき、もしかしたら「ワーキングマザーがたたかうべきは、上司や男性社員ではなく、自分の罪悪感なのではないか」と思うようになりました。つまり、ママになってできなくなったことは「普通の社員よりも長い時間はたらけない。緊急対応できない。」こと。この二つが原因で会社に申し訳ないと強く思うのであれば、これとたたかうべきなんじゃないか、と。

 

ーどうしてそう思われたのですか。

3人の子どもたちを育てながらはたらく、あるワーキングマザーの方と話をしていたとき、彼女がこう言っていたんです。「私はこの職場で、子どもを育てながら職場復帰する “前例” を作っている」と。

彼女は、自分の能力だけでなく、存在自体も職場に対して貢献できているという自負を持っていたんですね。人によってこんなにも感じている罪悪感の重みが違うのかと驚きました。

たしかに、人が持てる力を100%だとしたとき、会社員・ママ・妻の3役をこなすとなると、それぞれ3割くらいしかできなくて当然なんですよね。でも、それぞれ残りの7割分ができていないから、「自分はなんでできないんだろう」と思ってしまう。

その、すべてを完璧にはできないことが、ワーキングマザーの罪悪感につながっていると思います。それに今って、会社員として、ママとして、妻として女性が求められる理想が高すぎますよね。

会社で、家庭で「図々しく」あるとは?

ー罪悪感とたたかう、なにかヒントはありますか。

あえてこういう言い方をしますが、「図々しさ」を持つべきですね。

先ほどのワーキングマザーの方のように、会社では「ママの私がこの会社にいるだけで価値がある」と思うようにする。「ワーキングマザーが活躍していることを世の中に発信すれば会社のアピールにもなる。私たちのような時間の制限された社員のはたらき方、評価を構築していくことが、数年後に訪れる介護時代(生産年齢人口が介護と仕事を両立しなければならない状態)を会社が乗り越える力になる」と。

もしも自分の中で納得しているのであれば、ワーキングマザーとしての会社の貢献について、上司とロジックをもって話し合うとよいでしょう。会社が自分の価値、評価について理解を示してくれるかもしれません。

 

ーママ、妻としての図々しさはいかがでしょうか。

まず、自分の中で優先順位を持つことです。例えば、「私は家族の前で常に笑っているということを大切にしたい」と考えていれば、家事や子育てが完璧でなくても、「私は毎日笑顔でいて、家族を幸せにしているからそれでいい」と思えるようになります。

私は夫にも、子どもにも、「ママの夢はとにかく社会で活躍すること。ママは家事はすごく苦手だから、みんなでママの夢実現のために協力してほしい」というのを伝えます。とても図々しいですよね。でも、家族というチームの協力体制を得るためには必要なことだと思います。

夫だけでなく、子どもにも家族という同じチームのメンバーとして、円滑にまわすために支え合うことを意識してもらっていますよ。

例えば、うちの子どもは2歳と4歳ですが、洗濯をたたんだり、料理を手伝ったりしてくれます。きっと早く自立した子になるし、小学校に上がる頃には家事全般できるようになっていれば、ママとしてこんなにラクなことはないですよね。

図々しくあるためには、「自己肯定感」もワーキングマザーには必要です。「自分は役に立っている、求められている場がある」と思えることです。同僚や家族になにか助けてもらったときに、「すみません」ではなく「ありがとう」という。

そうすれば、貸し借りのような状況にはならない。会社でも家庭でも、感謝の気持ちを持つことが、自分の置かれている環境を好転させることにつながります。

株式会社新閃力 代表取締役 尾崎えり子

ワーキングマザーのハードルを下げてあげよう

ーワーキングマザーが悩んでいるときに、周囲はどうサポートすればよいでしょうか。

ハードルを下げてあげることが大事です。女性は、子どもを産んだ瞬間から母性が生まれて、ママとして完璧にこなせると思われがち。そんなことはありません。ママとして1年生になったばかりですから。

実は私も、最初はなかなか子どものことをかわいいと思えませんでした。でも、それを表に出してしまうと、ママ失格と思われるし、虐待を疑われたりするかもしれない。そうするとだれかに悩みを打ち明けようという気持ちにはなれなかったです。

まわりの人がママに対してのハードルを下げてあげて、はじめてママたちも周囲に心を開いて悩みを克服しようと思えるはず。

仕事においてもそう。ママになるとどうしても守りに入ってしまうせいか、「仕事で失敗するのが怖い」という女性も多いんです。例えば、会社の新規事業に自分が興味をもっていたとしても、失敗をおそれて手を挙げられないとか。

でも、会社の新規事業なんて9割がた失敗するのが当たりまえ。それに、会社の中で失敗は当然許容されるものだし、失敗は次につなげることができるからポジティブにとらえるべきもの。周囲はそれをきちんと伝えないと、ワーキングマザーは新しいことにチャレンジしたいと思えなくなってしまいます。

何かまかせるなら、「絶対に成功させろよ」ではなく、「チャレンジしてみて」とか「私がやっても失敗すると思うけど、やってみて」くらいの気持ちでお願いするといいでしょう。

株式会社新閃力 代表取締役 尾崎えり子

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[取材・文] 大井あゆみ、岡徳之

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