創業10年目の目標達成!ミドリムシ ユーグレナ出雲社長の志を支えるものとは?

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健康志向でないビジネスパーソンでも、「ミドリムシ」という言葉を最近聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。だとすれば、その盛り上がりの立役者は間違いなく、東大発バイオテクノロジー企業の「ユーグレナ社」です。

同社は世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、2012年に東証マザーズに上場。2014年に東証一部に市場替えし、2015年には2020年に向けた国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化という壮大な目標を掲げ、社会を変革しようとしています。

そんなユーグレナ社の躍進の秘密について、社長の出雲充さんにお話を伺いました。出雲さんを挑戦に駆り立て、その過程を支える大切なモノとはーー。今年さらに飛躍したいと考えるビジネスパーソン必読です。

ユーグレナ代表取締役社長 出雲充

PROFILE

ユーグレナ代表取締役社長 出雲充
出雲充
ユーグレナ代表取締役社長
東京大学農学部卒、2002年東京三菱銀行入行。2005年8月株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。 同年12月に、世界でも初となる微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。 世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leader選出(2012年)、第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」(2015年)受賞。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』(ダイヤモンド社)がある。

2020年までにあらゆることをミドリムシで

ご自身と貴社にとって、2015年はどのような年でしたか?

2015年は創業して10年目の節目を迎えた年でした。10年目にして、お会いした人の半分ぐらいからミドリムシというものを「聞いたことがある」と言っていただけるようになりました。これは創業当時から掲げていた一つの目標でしたので、達成できたと思っています。

そもそもユーグレナは海藻の仲間なのですが、“ムシ” と付いているため、いわゆる “虫” と思われることが多いんです。ですから、「ミドリムシは栄養豊富な素材」とご案内してきましたが、同時にネガティブなイメージをもたれていたのも事実です。

しかし、それが徐々にムシではなく、わかめなど海藻と同じ仲間だと伝え理解してもらえるようになり、そして2015年には約半分の人にミドリムシのことを知っていただいたという実感を持っています。

私は “半分の人が知ると世の中が変わる” と思っています。例えば、自動車が普及する前を想像してみてください。普及するまでは道路を自由に走行していたけど、半分以上の人が右側通行を選ぶようになると自然とそれがルールになり、最終的に全員がそのルールを守るようになるんです。

それと同じように、2020年には、多くの人がミドリムシに対して正しい認識を持った状況にしたいという思いがあります。そう考えると、いまのところミドリムシの認知は順調に広がってきていると思いますね。

 

ーご自身と貴社にとっての2016年の抱負・計画はおありでしょうか?

現在、「2020年までにあらゆることをミドリムシを活用して実現する」ということを目標として掲げているので、2016年はそれを実現するための1年にしたいと考えています。

2020年東京オリンピック・パラリンピックが開かれるときには、海外から約3000万人が日本に訪れると言われています。そのときまでには、海外の方が国産のミドリムシから精製されたバイオジェット燃料を使った飛行機で日本に訪れるということを実現したいと思っています。

それだけでなく、空港からホテルまでのバスもミドリムシ由来のバイオ燃料を使用し、ホテル近くのコンビニに行けば栄養豊富なミドリムシ入りのヨーグルトやドリンクが並んでいて・・・ と、日本ではミドリムシが健康食品やバイオテクノロジーに活用されている状態も作りたいですね。

振り返りは役に立たない? その真意とは

ー普段はどういったタイミングで振り返りを行ったり、目標を決めたりされているのでしょうか?

非常に大きな変化があった年には振り返りをして、次の目標を定めるようにしています。ユーグレナは2005年に設立、2012年12月に東証マザーズに上場後、2014年に東証一部に市場替えをし、2015年12月1日には2020年に向けた国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化するという目標を発表しました。プライベートカンパニーから公開企業になり、ビジョンを発表したという、こういった変革のタイミングでは振り返りをしたり、次の目標を考えたりしています。

 

ー振り返りや抱負・計画を考える際に、ご自身ではどのような方法で振り返り、次につなげるようにされていますでしょうか?

テーマを否定するようですが、外部環境が個人や企業に与えるインパクトが大きいので自分が成し遂げてきたことを振り返りすることはあまり役に立たないと思っているんです。私が忘れっぽいからというのもありますが(笑)

私に限らず、人は変化をストレスと感じるから、昨日と今日と明日は変わらないほうが一番ストレスが小さい。でもそういう状況に落ち着いてしまうのが最大のリスク要因ですよね。過去の自分がやってきたことやノウハウにとらわれているとあまりいいことがない。自分の経験や成功よりも過去の歴史から学ぶほうがよほど意味があります。新しい目標を考える、次のステップに移行するというときには、最新の状況や環境に適応できるプランがベストだと思います。

ユーグレナ代表取締役社長 出雲充

出雲さんを支えるメンターとアンカー

ーそうして立てられた目標の達成までの道のりにおいて出雲さんを支えるものは何でしょうか?

「メンター」「アンカー」です。

メンターとは、“自分の人生に指針を与えてくれるひと” のこと。スポーツ選手やノーベル賞受賞者まで多くの方がメンターを持っています。メンターなしに何か大きなことを成し遂げるのは難しいと思います。メンターがいるからといって大きなことを成し遂げられるわけではありませんが、何かを成し遂げた人には必ずメンターがいますね。

私にとってのメンターは、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス先生です。ユヌス先生はバングラデシュの貧しい農民にお金を貸すマイクロファイナンスを始めた方です。大学1年生のときにバングラデシュを訪れた際に感銘を受けました。

 

ーユヌスさんと会って、ご自身のことについてお話しする機会もあるのでしょうか?

ユヌス先生はとてもお忙しい方なので、めったにお会いすることはできません。でも、ユヌス先生と出会ったことを忘れたくないと思ってバングラデシュで購入したTシャツを「アンカー」としています。

アンカーとはメンターの思いや理念を思い出させてくれるものです。常日頃ユヌス先生のことを思い出すわけではありませんが、そのTシャツを見ると「頑張らないといけない」という思いが湧いてくるんです。メンターとアンカーはセットでないと機能しないと考えています。

メンターに出会うには“変化に慣れること”が大事

ーまわりのひとに「メンターを持ったほうがいい」とアドバイスすることはあるのでしょうか?

メンターを持ったほうがいい、とアドバイスすることはありません。によっては若いうちにメンターに出会うもいるし、ご高齢になって出会う人もいます。私からすると「すでにメンターに会っているんじゃないかな」と思うけれど、それに気がついていないという人もいます。

自分にとって素晴らしいことを何かのタイミングで教えてくれた人に出会えたら、それがメンターになると思います。年上の人である必要もないし、ノーベル賞受賞者や金メダリストなど何かすばらしい実績を持った人である必要もありません。だから、メンターを持て、とはあえて言わないんです。

 

ーどうすればメンターと出会うことができるのでしょうか?

メンターに出会う、もしくは気がつくマインドを作るためには、変化に慣れることが大事だと考えています。先ほどもお話した通り、人は何か変化があるとストレスを感じます。しかし、変化に対して脳みそがストレスを感じなくなるようになると、「この人をメンターとして受け入れよう」というマインドに切り替わると思います。

そのストレスに適応できる力を養うことが大事なんです。例えば、一駅前で電車降りてみる、車での通勤を自転車にしてみる、いつもは食べないものを食べてみるなど。そうしたことでも、その力は養うことができます。

メンターとの出会い方は、ベンチャー企業の創業のしかたにも非常に似ています。ベンチャーの場合、準備万端の環境を整えてからチャレンジするという考え方の延長線上に成功はないと考えています。やったことがないビジネスを自分でやるわけですから、ベンチャーに準備が整うなんてことはないんです。

変化がもたらすストレスに適応できる人が、メンターと出会ったり、「成功するかどうか分からないけど新しいことをやってみよう」と行動に移すことができたり、大きなことを成し遂げられたりできるのではないでしょうか。

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[取材・文] 大井あゆみ、岡徳之

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