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INTERVIEW
会ったことのない顧客を電話で成功に導く、freee流カスタマーサクセスの作り方
INTERVIEW

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うちのお客さまのなかには、カスタマーサクセスのメンバーと電話でお話している途中で、お互い顔も見たことがない間柄にもかかわらず、感動して泣かれてしまう方がたまにいらっしゃるんですよ。

会計クラウドサービス「freee」の代表、佐々木大輔さんは過去のご取材で、同社のカスタマーサポート(freeeでは、”カスタマーサクセス” と呼ばれています)の現場で起こっている、こんな熱いエピソードを紹介してくれました。

クラウドサービスですから、お客さまと接点はかならずしも多いわけではないはず。にもかかわらず、freeeのカスタマーサクセスのチームは、どうしてこのエピソードのようにお客さまと深くつながり合うことができているのでしょうか。

同社でカスタマーサクセスマネジメントチームを率いる、畠山忠士さんにお話を伺いました。

freee株式会社 カスタマーサクセスマネジメントチーム 畠山忠士

PROFILE

freee株式会社 カスタマーサクセスマネジメントチーム 畠山忠士
畠山忠士
freee株式会社 カスタマーサクセスマネジメントチーム
東京工業大学大学院卒。新卒でGoogleに入社。Googleの広告ソリューションを軸としたコンサルティング営業を広告主、媒体社向けの双方で担当。同社で4年間を過ごした後、freeeに参画

サービスに感動し、涙されるお客さま

ー畠山さんが所属されている「カスタマーサクセスマネジメントチーム」は、どのような業務をされていますか。

「カスタマーサクセスマネジメント」というコンセプト自体、日本ではまだ馴染みがないかもしれませんね。海外では最近かなり注目されているマーケティングの手法なんです。

一般的なカスタマーサポートは、お客さまからの疑問や問い合わせにチャットや電話でお答えする役割。一方、カスタマーサクセスマネジメントは、お客さまが明確な疑問をもって「いない」としても、何らかの形で支援を行います。

文字どおり、「お客さまをさらなる成功へ導く」ためにお声がけをしていく役割ですね。現在チームで、一人月平均およそ100社を担当しています。Googleハングアウトや電話、ビデオチャットなどでコミュケーションを取っています。

ー顕在化していないお客さまの「つまづき」はどのようにして把握するのでしょうか。

まず、お客さまをリストアップして、サービスへのログイン状況や取引登録、入力の頻度など、定量的な数字を見比べます。そこからお客さまごとのつまづきの度合いを点数化し、お声がけする優先順位を割り出せるようにシステム化しているんです。

あまりfreeeを活用しきれていないと、おのずとそれらの数字は低下していきますよね。そういったお客さまから直接コンタクトを取り、どういったところでつまづいているのかを伺っていきます。

ー佐々木さんはお客さまに「泣かれた」ことがあると言っていました。どのような状況だったのでしょうか。

これはあるチームメンバーの体験談なのですが、とある商店に嫁いで来られたお客さまがいらっしゃいました。その方が、義理のお母さまから引き継いで経理をすることになったそうなんです。しかし当時、経理はとてもアナログに行われていた・・・。

一応、エクセルで管理はされていたそうなんです。でも、義理のお母さまに属人的なやり方で、なかなか体系化していなかった。お嫁さんは正直、とても非効率に感じていたのでしょう。けれども、「もともとこうしていたから」と反対されて、やり方を変えられなかった。

そこでお母さまにはだまって、試しにこっそりfreeeを導入してみたらしいのです。すると、瞬時にデータが整理され、報告資料もすぐに作成することができた。それまでの苦労もあってか、「こんなことなら、早く使えばよかった」と電話口で感激されて、涙されたんです。

お客さまからは、われわれの対応もそうですが、freeeというサービス自体に感動されることが多い。だからこそ、カスタマーサクセスのメンバーは、「そういうサービスを提供している」という誇りと、より多くの人に届けたいというミッションをもってはたらいています。

「パートナー」としてお客さまの課題に向き合う

ー畠山さんのカスタマーサクセスマネジメントへの思い入れはどこから来ているのでしょうか。

新卒ではGoogleに入社しましたが、その頃の経験に大いに影響を受けていますね。Googleでは最初セールスチームにいました。当時も今と同じく、お客さまとの接点は遠隔でのやり取りのみ。

お客さまと対面できないなかで、PDCAサイクルをまわし、売上を上げることで自分の仮説を証明していくサイエンティフィックなアプローチに理系心をくすぐられました。あの頃から、まだ解のない、ときには顕在化すらしていない問いに取り組むことが好きでした。

佐々木もGoogle出身ですし、freeeではKPIの設定の仕方やOKR(月単位でやらないといけないことを共有するやり方)もGoogleの方法論を踏襲しています。今の会社のミッションに共感する部分も多くあり、あの頃の経験をここで生かそうと思ったのです。

freee

ーfreeeでは、どうやってお客さまとの関係性を築いているのでしょうか。

ありがたいことに多くの方々にサービスを使っていただいて、そのぶんお客さまへのアプローチ回数も増えていますが、重要なのは「いかに一人ひとりにカスタマイズしていくか」ということ。

効率性を最優先に考えれば、スクリプトトークのように同じ話をすればいいけれど、お客さまがそれぞれfreeeに望んでいることは違いますから、満足していただけません。

ただ、先ほどの商店のお話ではないですが、そのカスタマイズも決して「属人的」であってはいけません。お客さまからすれば、freeeの担当者が替わるたびに、何度も同じことを説明しなくてはならず、「全然引き継がれていない」では信頼は下がって当たりまえですから。

「このあいだおっしゃっていた○○の件ですが・・・」「あぁ、覚えててくれてたんだ」くらいの距離感で、ずいぶん前に言っていたことでも「○○ならこういう方法がありますよ」と提案することで、「そんなに前のことまで覚えていてくれたんだ!」という感動につながります。

たとえ電話やチャット越しであっても、お客さまとお話をするときは本当に「パートナー」みたいな感じ。お客さまからも気軽に「○○さんは・・・」と個人名でお声がけいただけますしね。

カスタマーサクセスに求められるのは、「お客さまが何に困っているのだろう」と向き合うクセをつけること。つまり、お客さまのビジネスへの理解を深め、ボトルネックを把握し、課題を把握する力を身につけるということです。

「自走」するカスタマーチームの作り方

ーメンバーが内発的にお客さまに対する思いをもてるようするために、どのようなことを実践されていますか。

freee全体に言えることですが、すべてのメンバーがマネジャーと「1on1」の時間を設けています。「1on1」というのは週に一度、1対1で30分話すこと。私もメンバー全員と「1on1」を行います。

ー1週間に1回というのはかなりの頻度ですね。

それだけ重要だということですね。それぞれのミッションや課題への理解度、共感の度合いを確かめます。メーカーで経理をやっていたとあるメンバーは、この「1on1」で劇的に変わりました。

最初はfreeeやGoogleには絶対にいない、いかにもメーカーらしい「お堅い」感じだったんです(笑) 仕方ないのですが、その慣習がなかなか抜けきれず、些細なことでも恐縮して、なんでも私や上司に「これなのですが・・・」とお伺いを立てる状態だった。

それが「1on1」を通して、freeeが共有している5つの価値基準のうちの一つである「アウトプット→思考」であったり、意思決定プロセスの認識をすり合わせていくと、「これはやっていいんだ」「これより上のものについては確認しよう」と自発的になってきたんです。

freeeが共有している5つの価値基準

そうやって自発的になると、メンバーに「個性」が出てくるんです。そうなれば、仕事はどんどん面白くなる。今では彼は、数字やレポーティングにも強く、新しいことにもチャレンジする「freee流」のやり方も身につけて、チームを率いて活躍しています。

freee株式会社 カスタマーサクセスマネジメントチーム 畠山忠士

ー他にもメンバーの内発を起こすために工夫していることはありますか?

freeeの価値基準に「あえて、共有しよう」というのがあって、お互いのことをわかり合えるように、共有する時間を設定しています。仕事終わりに会議室にお酒をもってきて、「今日は誰々について話そう」と集まるんです。

例えば、Googleストリートビューを使って、「これが僕が通ってた学校なんだよ」とさかのぼりながら、いろんなエピソードを話す。それに対して他の人が、「なぜそういう選択をしたの?」と質問し合っているうちに、だんだんとその人の思考パターンや得意分野がわかってくる。私のときなんて、3時間かかりましたからね(笑)

ときどき、「コミュニケーション取りすぎ」くらいになることもありますが、そういうのを大切にしたいと思っていて・・・。だって、仕事に「ワクワクする」というのは、もう仕事とプライベートの境目がない状態のことじゃないですか。

例えば、会社から帰って「あれどうやったら解決できるのかなー」ともやもや考えていたら、シャワーを浴びていて、「ハッ!」と思いついて、次の日出社したらすぐに、「ねぇちょっと、聞いてよ!」と仲間に共有したくなる、あの感じ。

カスタマーサクセスにかぎった話ではないかもしれませんが、「マネジャー」の仕事って、「タスク」単位じゃなくて、「メンバー一人ひとり」の単位で見るもの。だから極論を言えば、メンバー全員がミッションを共有できてさえいれば、それでまわるはずなんです。

そうしてメンバーそれぞれが「自走」することでお客さまの満足度を高めていける組織になることが理想ですし、そのために一人ひとりをモチベートし、コミットメントを深められるのが、カスマターサクセスのマネジャーの仕事だと思いますね。

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[取材・文] 大矢幸世、岡徳之

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