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INTERVIEW
「熱狂」できる職場作りのカギは? 会計ベンチャーfreee流マネジメント
INTERVIEW

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BOOK MARK
ビジネスにおいては、全員が好奇心をもてるような場所を作ることが重要。人はどこか “熱狂” するほどの感情でしか動かないんです

すでに60万超の主に中小企業で導入されている会計クラウドベンチャー「freee」の代表で、Google出身の佐々木大輔さんは過去のご取材で、その急成長の秘訣として、「熱狂」というキーワードを挙げました。

報酬だけではなく、仕事への熱狂で一体となって成果を上げるというのは、チームとして理想的。「そんな職場ではたらいてみたい」という方も、きっといるでしょう。

freeeの職場では、どのようにして熱狂が作られているのでしょうか。佐々木さんの思いを受け継ぎながら開発チームのマネジメントに携わる、平栗遵宜さんに現場のお話を伺いました。

freee株式会社 執行役員 開発本部長 平栗遵宜

PROFILE

freee株式会社 執行役員 開発本部長 平栗遵宜
平栗遵宜
freee株式会社 執行役員 開発本部長
1981年生まれ。東京大学法学部を卒業後、就職せず法曹界を目指して10年間学問に励む。その後、31歳のときに初めて就職。そのとき選んだ会社がfreeeだった。プログラミング、マネジメントは未経験ながらも同社の急成長に貢献し、現在に至る

「ただの会計ソフト」に熱狂するメンバーたち

ー代表の佐々木さんいわく、「熱狂」が組織運営の要とのこと。平栗さんも仕事で熱狂を感じていますか。

昨年1月から開発チームのマネジメントを担当していますが、マネジメントに「これをやっておけばいい」という正解はありません。

くわえて、僕個人的には、実は4年前に入社するまで、就職せずに法曹界を目指していたので、マネジメント経験はおろか、開発さえ入社してから始めたほど。

なので、風呂に入ってるときも眠っているときも、24時間365日、ひたすら考え続けているような感覚で、正直なところオンオフはないですね。

けれども、会社員として淡々とはたらいて、毎月決まった給料をもらって・・・ というのではなく、「楽しい」とか「嬉しい」というのともまた違う、とてつもない充実感と、成長している実感があるんです。

「人生のうち一度でいいから、社会を変えてみたい」という自分の思いと、「スモールビジネスを活性化するプラットフォームをつくる」という会社のミッションが一致していて、そこに魅力を感じながらはたらけていますね。

freeeが共有している5つの価値基準
freeeが共有している5つの価値基準

ー開発チームの方をはじめ、他のメンバーの方々もそれは同じでしょうか。

そうですね。言ってしまえば、freeeは「ただの会計ソフト」。「かわいい女の子がたくさん出てくる人気ゲーム」や、「コンシューマー向けのキラキラしたメディア」のように、かならずしもわかりやすいものではない。

それに「自分も昔、経理作業で苦労していた・・・」なんてメンバーもそこまで多くないですから、自分自身がユーザーとして使った経験のないものを開発することは、ひょっとしたら難しいことかもしれません。

けれどもさいわい、良いエンジニアが集まってきているのは、社会に還元する価値について語ることができているから。「自分でプログラムを書いて、世の中にインパクトを与えたい」というのはみんな共通しているんです。

そのうえで今、自分の技術力を生かして価値を届けられているかどうか、自分の仕事に満足できているか・・・ と、すべて「社会」に対する視点で考えられる。これは、開発部門だけでなく、セールス部門をはじめ、どのメンバーもそうですね。

一対一の対話で「仕事で成し遂げたいこと」を引き出す

ー会社として、「熱狂」を生むためのなにか取り組みはされていますか。

はい、そもそも組織というのは、なにかことを成すためにあると思います。会社はもちろんのこと、「個人としてはどんなミッションをもっているのか」、そして「それをfreeeで実現するにはどうしたらいいのか」と確認し、共有する機会をたびたび設けています。

具体的には、会社全体では四半期に一度、チーム内では月に一度、毎週月曜の朝会で共有し、あとは週に一度、マネジャーとメンバーで一対一で行う「1on1」でも共有します。

ー「1on1」では具体的にどのような対話が行われるのでしょうか。

決めているのは、まずはじめに「体調はどう?」と聞くこと(笑) 特に開発チームのメンバーはどうしても没頭すると寝食を忘れてしまいがちなので、少しセーブをかけてあげるくらいがちょうどいいんです。

それから、具体的なタスクや数字の話はあまりしません。せっかくの「1on1」の時間を進捗確認で終わらせるのはもったいない。それよりむしろ、お互いのことを理解するために時間を使います。メンバー一人ひとりにfreeeに入るまでのストーリーがあって、その思いに対してfreeeのミッションや先ほどの価値基準をどう表現するかは変わってくるわけです。

心がけているのは、彼らが本当にやりたいと思っていることを引き出す手助けをしてあげること。これから進むべき道を迷っているメンバーがいれば、過去にさかのぼって「あのときモチベーションになったのはどんなこと?」と投げかけたり、新卒でまだ右も左もわからないメンバーなら、「会社のミッションのうち、どれにいちばん共感する?」と聞いてみたり。

一人ひとりの「ストーリー」を洗い出して、それを会社のミッションに落とし込むことで、その仕事がどれほどその人にとってワクワクすることで、ためになることなのか、ということを真に腹落ちしてもらえれば、「あぁ、この仕事って楽しいな」と思えるはずなんです。

ーその「ストーリー」はどのメンバーにもあるものなのですか?

人によってストーリーへのコミットメントの度合いが異なることはあるかもしれません。

でもそれはそこまで重要ではなくて、さらに深掘りして、「そもそもなぜfreeeではたらいているの?」と問いかけたり、あるいは、プライベートの事情や他に何かやりたいことがあるなら、「それを支援するためにfreeeとして何ができるか」と考えたりする方向に対話をシフトしていきます。

それと同時に、その人自身のスキルレベルをしっかりと理解することが大事。その人がワクワクできるためには、その人のレベルよりも少し難しいことにチャレンジできる環境を作ること。どんなレベル感の仕事をどのように割り当てるかは、マネジャーの腕の見せどころです。そのレベルを見極めるためにも「1on1」は大事なんです。

freee株式会社 執行役員 開発本部長 平栗遵宜

メンバー50人で集まって、あらゆるミッションや思いを共有する

ー佐々木さんのお話で「語る会」を開催していると聞いたのですが、どういったものなのでしょうか。

仕事が一段落する18時くらいから、「個人事業主の未来を語る」「理想のクラウドサービスとは?」など、テーマを設けて、任意でセールスやマーケティング、PR、採用など部署横断的に50人くらいが参加するんです。

PM(プロダクトマネジャー)のような役割の人がいて、「こういう未来が理想だと思うけど、どう思う?」とスライドをまとめてプロダクトの夢を語って、「確かにそう思う」「いや、こうしたほうがいい」などと対話形式で進めていきます。

とはいえ、発言することは勇気がいるので、もっとカジュアルに意見を言い合えるように、実況みたいな感覚でみんなが社内チャットにさまざまな意見を綴っていきます。

ー上司・部下といった関係を超えて、誰もが自分の意見を遠慮せず言える場作りは素晴らしいですね。

本当にコミュニケーションは活発に行われています。そもそも垣根もないですし、呼びかけたら何かしら人が集まってくる。

日常的な飲み会もありますし、「スイーツ部」「1981年の会」などSlack(社内ツール)のチャネルもたくさんあって、マネジャーとか役職関係なしに個人でもよくやり取りします。

そういう雰囲気は業務内でもあって、一人のエンジニアが何かを作るときは、カスタマーサポートもセールスも巻き込むし、プロダクトの完成説明会では、開発チームが「そこに込めた思い」も共有することで、それぞれの部署の成すべきことに落とし込まれていきます。

「語る会」の様子。いろんな部署の人たちが集まり語り合う場
「語る会」の様子。いろんな部署の人たちが集まり語り合う場

ー積極的に他部署とも連携していくんですね。

はい。いちばん手っ取り早いのはお客さんの声をそのまま共有して、それを開発に生かすこと。ですが、それだと目の前の課題は解決できたとしても、本質的な課題は解決できない。

そこで異なる部署で、異なる視点をもってはたらいているメンバーとも、本質的な課題はどこに原因があるのか、どんな課題で、どうしたら解決できるのかということを、しっかり検討するように意識しています。

「1on1」や「語る会」など、誰かに遠慮することなく自分の意見を言い合える場を通じて、会社で共有している「理想ドリブン」であったり「アウトプット→思考」といった価値基準が個人に浸透していく。そんな個人のスタンスが、製品がもたらす体験であったり開発スピードに現れ、最終的には製品を通じて自分たちの思いがお客さまにも届くはずなんです。

ーいろんなかたちで、対話が行われていますね、平栗さんご自身が、職場に熱狂をもたらすうえで重要だと考えていることはなんでしょうか。

すべては信頼関係から始まると思うのですが、そのためには本音でぶつかること。「全裸でぶつかれ!」と言っているんですけど、人の心を動かすには、なにかを繕っても伝わらないんですよね。

自分はなにを思って、なにを伝えたいのか・・・ と真剣に考えて、真剣に伝える。メンバーが100名くらいの頃までは、議事録でミッションを共有していたんですけど、200名を超えて、ますます「口頭で伝えること」の強さを感じています。

どんなに文章を書くのがうまい人でも、メールの文面だけで人を動かせる人なんてそうそういない。口下手でもかまわないから、「僕はこう思い、こうしたい」という言葉を声のトーンも含めて伝えることが、重要だと思います。

そしてマネジャーとしては、メンバーのことを本当に理解していること、そして会社のミッションやビジョンを本当にいいものとして信じていることが、チームマネジメントの成功のカギだと思います。

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[取材・文] 大矢幸世、岡徳之

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