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INTERVIEW
人気絶頂期にセミリタイア? 42歳、大人気Excel講師が考える人生100年時代の生き方
INTERVIEW

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BOOK MARK

絶対に潰れない、本当に大丈夫な会社なんて一つもないーー。一つの会社、一つの職種にとどまる従来の人生設計のあり方が揺らぎ、「これが理想のキャリアプラン」と呼べるロールモデルも見いだせないなか、私たちはどのように人生を設計すればよいのでしょうか。

「将来は不確かで、しかし寿命は長い人生100年時代に向けた最大のリスクヘッジーーそれは『セミリタイア』を目指して人生を設計することです」。こう語るのは、Excel業務改善の人気コンサルタントで株式会社すごい改善代表取締役の吉田拳さんです。

吉田さんは、2014年に発売した『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』が20万部のベストセラー、指導実績は2000名以上で研修は常に2カ月先まで満席状態が続く・・・ そんな順風満帆なコンサルタントの仕事から今年、働き盛りの42歳にして身を引き、子育てに専念しようとしています。

「悠々自適」なイメージのあるセミリタイアがなぜ、これからの人生100年時代に向けた「リスクヘッジ」になり得るのか? 今回はその真意を伺いました。これを読めば、あなたもセミリタイアを本気で考え始めるかもしれません。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

PROFILE

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳
吉田拳
株式会社すごい改善 代表取締役
Excel業務改善コンサルタント、Excel研修講師。1975年生まれ。東京外国語大学卒。音楽業界での某大物歌手のマネジャー職、複数の企業でマーケティング職を経てメルシャンに入社。同社勤務時代にExcelでの営業戦略用のデータ分析で悪戦苦闘。その経験から2010年「Excelを武器に人と企業が成長できるサポート」を行うすごい改善を設立。Excelの指導実績は2000名以上。研修は常に2カ月先まで満席状態が続く。

「セミリタイア=最大のリスクヘッジ」の理由

吉田さんは今年2018年中の「セミリタイア」を考えていると伺いました。現在42歳ということで、まだまだ働き盛りと感じるのですが・・・。

執筆活動や講演活動は行っていますが、現時点でもオフィスに来るのは週1、2回。今は毎週、個人向けにExcelセミナーを行っていて、これをオンラインセミナーに順次移行しようと考えています。

同時並行で資産運用にも力を入れて、そうすれば、自分自身は働かなくてよくなるわけですから、実質的にセミリタイアと言っていいかもしれません。5年後の48歳には完全にリタイアする計画です。

今は思いっきり稼いで、これからは自分自身が手を動かさなくてもお金が入ってくる仕組みを作って、これからは悠々自適に暮らそう、と。

「セミリタイア」と聞くと、そういうイメージを持たれますよね。お金持ちの資産家が南の島でリゾート生活、みたいな。でも僕は、そういうことがしたいんじゃない。それに「悠々自適にのんびり」とはならないと思います。

吉田さんにとって「セミリタイア」とは?

「人生100年時代に向けたリスクヘッジ」です。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

「生涯現役で」と考える人もいるかもしれませんが、僕は自分のことを生涯現役としてサバイブできるほど、ビジネスパーソンとして才能があるとは思っていないんです。

それでもこれからは、100年の寿命を生きる時代。「定年後、月40万円あれば豊かな老後を送れる」というけど、単純に考えて、普通に会社員として働き続けて「定年時点で2億貯金しておく」なんて、到底できませんよね?

そもそも「何十年も一つの会社で働き続ける」という前提が成り立たない時代になっている。大企業だって経営破綻するし、いきなりリストラに遭うことだってあり得る。

そう考えたとき、「○歳までにセミリタイアする」と目標を設定することはつまり、「○歳以降は、会社に依存して、お金のために働かなくてもいい状態になる」ことを目指すということ。

そのためにどんな仕事を行い、どんな働き方をして、どんな資産運用を行うべきなのか・・・と考えてキャリア構築をしていくのは、必要な「リスクヘッジ」だと思ったんです。

セミリタイアのきっかけは「誰の身にも起こりうる危機」

吉田さんはいつからセミリタイアを視野に入れるようになったのですか。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

明確に「セミリタイア」を意識するようになったのは、ほんの最近なんですよ。ですから、皆さんにはぜひもっと早く気づいてもらいたいと思って、こんな話をしているんです(笑)

だけどきっかけとなるような「危機」は、もっと昔にあって。

起業当初、サイバーエージェントさんと契約を結び、Excel業務改善を専属で担当することになりました。2010当時から成長著しかったですから、毎日ひっきりなしに開発や研修を請け負って、大きな取引先になったんです。「よし、これならイケる」と意気揚々と仕事をしていましたし、売上も安定していました。

しかし、予算の都合で2年ほどで契約は終了しました。その時点で顧客は「ほぼゼロ」に。

それまでも「複数のクライアントを確保できておらず安定していない」というリスクは感じつつも、いかんせん忙殺され、ただ手をこまねいているだけでした。だけど、いよいよ危機に直面して、あわてて個人向けのセミナーを始めたんです。

株式会社すごい改善

突然リストラされたサラリーマンと同じですよ。しかも、今後またいつ同じようなことがいつ起こってもおかしくない。そう怯えながら必死に働いて、ようやく5年後、10年後の資金繰りが明確にイメージできるようになった。

もうあんな目には遭いたくない。これからはいつ自分の身に何が起こっても、自分や家族、社員の生活を守れるように、自分の代わりにノウハウやお金に働いてもらおうーー。

そうやって働き方のリスクヘッジを突き詰めた結果、「セミリタイア」に行き着いたんです。

正直なところ、会社員として働き続ける以上は、吉田さんのような形でセミリタイアするのは難しいのではないかと感じます。

逆に聞きますが、それは心のどこかに「会社に勤めていれば大丈夫」という意識があるからではないでしょうか? だからこそ、会社員でいることを選んでいるわけですよね。

これからは会社員であっても、おそらく危機ーー会社が倒産したり、リストラされたりーーは起こり得ます。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

いつ自分が倒れるかもしれませんし、不慮の事態が起こらないともかぎらない。ですから、本業の収入源以外になんらかの収入源を確保しておく必要はあります。

たまたま今、国全体として「副業解禁」の動きが出ていますが、これも自分のキャリアプランを考えるいい機会だと思うんですよ。

セミリタイアを目指すうえで欠かせない「○○の知識」

会社員として働きながら、セミリタイアを意識するために、まず取り入れられることはありますか。

セミリタイアをするためには、いつまでにどれくらいのお金を稼いで、現在の収入だけで足りないなら何をすべきかを考える必要があります。セミナーでさまざまな会社員の方々と接していますけど、多くの方に欠けているのは「会計の知識」なんです。

会社員の方は毎月給与明細で、どれくらい手取りがあるかを確認していると思うんですが、果たしてどれだけの方が、その給与原資を会社がどのようなキャッシュフローの中で生み出しているか理解されているでしょうか? その仕組み・・・つまり会計を理解していないと収入を上げていく戦略など立てられません。

確かに、多くの方が年末調整で「お金が戻ってきてラッキー」くらいしか考えられていないかもしれませんね。

そうなんです。それに、セミリタイアをするために少しでも貯蓄と運用原資を積み上げたい場合、まずできることは会社に「自分の価値」を認めてもらい、給与を交渉して引き上げてもらうこと。

では、会社にとって「価値のある社員」とは誰でしょうか? 経営者、つまり企業会計の視点で考えれば、それは大きな売上ではなく、現預金残高の維持と向上、言い換えれば会社の支払い能力の向上に貢献してくれる社員です。

しかし、会計を理解していないと目先の売上にとらわれ、とにかく指示された予算達成するために今期中に「売上」を計上しろとチームに指示をしたり、またはとにかく残業を短縮しろと「時間効率」の部分しか見れなくなったりしてしまいがち。

つまり、会計というものを本質的に理解していないと、セミリタイアに向けた「頑張り方」を間違えてしまうんですよ。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

より高い給与を求めて転職を考えるにしても同じですね。PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)を読んで、その会社の給与水準を見定めないといけない。セミリタイアを目指すうえで、お金の心配を払拭するには会計を理解することは必須なんです。

セミリタイアで「お金のため」から「社会のため」へとシフト

吉田さんご自身、セミリタイアしたらどんなことを行いたいのですか。

一つは、育児ですね。今はまだ本の執筆に追われていて、なかなか思うようにはいかないのですが、昨年子どもが生まれたばかりなので、もっと子どもと関わる時間を増やしていきたいんです。

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

働きながらでも育児はできますが、やはり大変だと思います。セミリタイアという選択肢を取れる状態にいるならば取らない理由はない。家庭のために割ける時間は圧倒的に増えますし、妻の負担も減らせます。

また、子どもの将来を見据えても「売れるスキルを身につければこういう生き方もできるんだ」という姿を見せることにもつながると思います。

そしてもう一つは、「お金を稼ぐための仕事」から「社会のためにできる仕事」へとシフトしていくこと。

僕は決して品行方正な人間というわけではありません。社会貢献活動を強化していくのは、単に「そんなことして立派ですね」と評価されて好感度を上げ、会社の評判につなげたいという極めて打算的な人間です(笑)

たしかに、働きながらプロボノとして社会貢献することもできると思うのですが、そうするとやはり僕の場合は自社のために稼ぐための仕事、本業が優先になってしまいます。

現役バリバリの経営者として仕事をしながら世界の貧困地域ですばらしいボランティア活動をしていらっしゃる方もいます。しかし、自分にはそれだけの能力がない。中途半端な関わり方では何も残せないという考えで、仕事の第一線からは退こうと考えました。

リスクヘッジでセミリタイアした暁には、そういう生き方ーーお金にはならないけど、社会のためになることができるようになる生き方、人生も待っているんじゃないかという期待も持っています。

しかし、「○歳までにセミリタイア」とキャリアプランを考えていても、その時々の時代背景や状況によって変化が起こりうると思います。

それは、もちろん。だからこそ、いざというときに「逃げる場所があること」。別の選択肢があることは、必ず、自分と周りの人のためになるはず。

実際にセミリタイアや起業はしなくてもいいから、いつでもそれができるだけの準備はしておこうよ、ということなんです。その準備をするプロセスの経験が、今の仕事における大変なスキルアップにも確実につながります。会社や事業の全体像を見渡す経営者視点が養えるからです。

セミリタイア=悠々自適にのんびり、ではなく実は「リスクヘッジ」なんだ。そう考えると、これからの働き方や稼ぎ方の見え方が変わってきませんか?

株式会社すごい改善 代表取締役 吉田拳

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[取材・文] 大矢幸世、岡徳之

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