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INTERVIEW
出世すると人が指摘してくれない問題への対処法、Kaizen Platform須藤さんに聞く
INTERVIEW

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BOOK MARK

多くの経営者や管理職の人たちが口にする「共通の悩み」。その一つが、「出世して偉くなると、人が指摘してくれなくなる」というものです。

たしかに、ピラミッド型組織において上に物申すのは憚られるもの。しかし、それでは上司が成長の機会を失い、組織の伸びしろにも限界が生まれてしまいます。

こうした悩みに対し、部下に指摘してもらえる上司でいられるよう、社内におけるコミュニケーションで工夫を凝らしているのが、Kaizen PlatformのCEO 須藤憲司さんです。

Kaizen Platform, Inc. CEO 須藤憲司

PROFILE

Kaizen Platform, Inc. CEO 須藤憲司
須藤憲司
Kaizen Platform, Inc. CEO
1980年生まれ。2003年に早稲田大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室立ち上げに従事。株式会社リクルートマーケティングパートナーズ執行役員に就任。2013年にKaizen Platform, Inc.をアメリカで創業(2017年7月1日より株式会社 Kaizen Platform)

お手本となる上司は志村けん、高田純次?

―須藤さんは経営者ですが、社内の方から指摘されることはありますか。

しょっちゅうですよ(笑)些細なことから大きなことまで。

例えば、うちは「Slack」を使っているんですが、バーっとレス(返事)を返していると、「これ、言い方キツいんじゃない?」と言われることもあります。

でもたしかに、何もせずにいれば、指摘してくれる人は減っていきますよね。偉くなろうがなるまいが関係なく、歳を重ねれば年上の人は減っていくわけですから。

自分がどんな立場になっても、年下の人、部下から指摘してもらえるよう、僕が気をつけているのは、「ツッコんでいいからね」っていう隙を作っておくことです。

―どんな「隙」でしょうか。

Slack

例えば、これはこのまえ、僕がインフルエンザにかかったときのやりとりなんですけど、「とんだバイオテロを引き起こしまして、申し訳ありません・・・」と、投稿しました。

そうしたら、「社内では『スド菌』が発生したとザワザワしてます」とか、社長に向かって酷い言いまわしが返ってくるんですよ(苦笑)

他にも、メールとかでちょっと笑っちゃうような誤変換を、意地悪ですけど、わざとそのまま送ることもあります。部下がツッコんでくれたら、「よし、ちゃんと指摘してくれた」。スルーされたら、「ああ、気を遣われているのかなあ」って。

―部下としては勇気が要りませんか?「これツッコんでいいのか、試されているんじゃないか」、と。

「この上司は、ツッコんでもいい上司なんだ」っていうシグナルを、常日頃から出しておくんですよ。

昔、勤めていたリクルートには、「アイスを食べながらフロアを歩いて、部下に声をかける」ことを日課にしている上司がいました。この「アイスを食べながら」っていうのが肝なんです。

何も持たずに部下の背後に立って、「君、調子どう?」って聞かれたら怖いじゃないですか(笑)だけど、アイスを食べながらだと、「あれ、暇なのかな」っていう雰囲気が出て、部下もなんだか安心する。

まさに「無用の用」というか、「特に用事があるわけではないんだけど、何かあれば話してね」っていう雰囲気を醸成するのが、その方はとても上手かったですね。

演出っぽくなりすぎるのはあれですけど、そうやって皆に隙をしっかりと見せておけば、仕事の会話でも「あれ、正直ちょっとどうかと思いますよ」と、指摘してくれるようになりますよ。

Kaizen Platform, Inc. CEO 須藤憲司

昔、「ドリフ」でもあったじゃないですか。「志村! 後ろ、後ろー!」って、観客が志村けんに仕掛けを知らせるやつ。あれと一緒です。

高田純次が毎回、「どうも、ジョニー・デップです」って自己紹介するのも、誰かがツッコんでくれるのを期待して、わざと間違える。

どちらも大御所なんだけど、「ツッコんでいいんだ」って思われてるし、若い人にも好かれてるというのは、そういうことなんじゃないかなと思います。

上司に必要なのは、“IQ”よりも“愛嬌”

しかし、それまで威厳を保っていた上司が「キャラ変」するのは難しくないですか。

おじさんなんて「言われるうちが華」ですよ。部下に何も言われなくなって、自分でも気づかないうちに時代遅れな存在になったら、そのときがもう運の尽き。

それにまわりに何も言ってもらえないということは、愛されていない証拠。「愛されないおじさん」なんて、もはや「死」ですよ。誰だってなりたくないでしょう?

キャラ変までしなくても、上司に必要なのは “IQ” よりも “愛嬌”。愛嬌って、努力だと思うんです。カワイイが作れるなら、愛嬌だって作れる。

威圧感を与えないようにアイスを食べるのもいいでしょうし、普段怒ってばかりの上司が、愛犬の写真をスマホの待ち受けにしていて、「ワンちゃんがね・・・」なんて話し始めたら、カワイイじゃないですか(笑)「ギャップ萌え」ですよ。

そうして、部下から何か指摘をされたら、「そうだね、ありがとう。他にもっと何かない?」って一歩前へ出る。そういう謙虚な姿勢も、才能じゃなくて努力です。

しかし、部下に指摘されて、ついカッと感情的になってしまうことはありませんか。

僕も人間なんで、多少イラっとしてしまうことはありますよ。例えば、これは社内ではないんですけど、5歳年下のベンチャーキャピタルをやっている木下くんという後輩から指摘されたことがあって。

Facebookメッセージ

ある登壇イベントでプレゼンをした後、彼から「ここは分かりにくかった。こうしたほうがいいんじゃないか?」と指摘するメールをもらったんです。

僕はそのプレゼンをするにあたって、実は500回も練習していて、その指摘自体はいろいろ考えた結果だったんです。「それも分かったうえでこうしてるんだよ!」と喉の「ここ」まで出かけましたけど、グッとこらえました(笑)

だって、「500回練習してるかどうか」なんて、彼には関係ないわけですからね。わざわざ「こうしたほうがいい」と指摘してくれる彼の人間性が貴重だし、僕のためにも会社のためにもなるじゃないですか。

Kaizen Platform, Inc. CEO 須藤憲司

どうも仕事だと、部下から指摘されると逆上しちゃう上司とかいますけど、そこはむしろ「オイシイ」って思わないと。

自分のことしか考えていない人は、相手に指摘なんかしませんからね。「相手に指摘する」って、労力のかかることじゃないですか。それをわざわざしてくれるということは、どんなに理不尽に思えても、その人なりの理屈があるはずですから。

たしかに。

それに、実は上司って、「ツッコミ」じゃなくて「ボケ」にまわったほうがラクなんですよ。だって、部下たちの一挙手一投足をツッコミまくって、「アレやれ」「コレやれ」「あれはどうした?」・・・って、しんどいでしょう。

多少上司に抜けてるところがあるくらいで、部下から「しょうがねぇな」と思われながら、あれこれ自発的に動いてくれて、結果としてゴールにたどり着いていれば、それでいいんじゃないかと思うんです。

役職が上がったり、他人に指摘してもらう必要がない、上手くいくことしかやらないようになったりすると、成長速度は鈍りますよね。いくつになっても、どんなに偉くなっても、「ワキ汗をかく」ようなことをやらないといけない。

「最近、誰かに指摘されたか?」って、自分が何かにチャレンジしてるかどうかを測る、物差しでもあるんですよ。

Kaizen Platform, Inc. CEO 須藤憲司

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[取材・文] 大矢幸世、岡徳之

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