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INTERVIEW
メルカリ山田進太郎 ✕ BASE鶴岡裕太 「メンタリング」の人生を変える力とは?
INTERVIEW

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BOOK MARK

フリマアプリ「メルカリ」で日米で急成長を続けるメルカリの創業者、山田進太郎さん。ネットショップの作成を簡単にする画期的サービスを提供するBASEの創業者、鶴岡裕太さん。Eコマース業界で革新を起こすちょうど一回り年の離れたお二人は、実は山田さんがメンター、鶴岡さんがメンティーとして、お互いの創業当時から深くつながっています。

「進太郎さんに、自分のアイデアを否定されたことはない。相談すると、かならず『イケてるね』と言ってくれて、そのおかげで自信が確信に変わる」と、鶴岡さんはメンタリングのキャリアに対する効能、メンターの存在がビジネスを加速させてくれていることを、日々実感しているそう。

一方の山田さんも、「『ペイ・フォワード』の考え方で、自分が受けた親切を誰かに返していきたいと思って動いている。むしろ鶴ちゃんのような若いメンティーと対話することで、自分の勉強にもなる」と。そしてお二人の関係は、「組織間のメンタリング」にもつながりーー。

お二人の間ではどのようなやり取りが交わされ、それがお互いの人生やキャリアにどのような影響を与えているのでしょうか。対談を行っていただきました。

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎、BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太

PROFILE

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎
山田進太郎
株式会社メルカリ 代表取締役社長
写真右。早稲田大学在学中に、楽天で「楽オク」の立ち上げなどを経験。卒業後、ウノウを設立。「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」などのインターネットサービスを立ち上げる。2010年、ウノウをZyngaに売却。2012年に退社後、世界一周を経て、2013年2月にフリマアプリを運営するメルカリを設立
BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太
鶴岡裕太
BASE株式会社 代表取締役CEO
写真左。ハイパーインターネッツ(現・CAMPFIRE)でエンジニアインターンを経験後、paperboy&co.(現・GMOペパボ)創業者である家入一真氏とモノづくり集団、複数のサービスを手がける。2012年12月にEコマースプラットフォームおよびオンライン決済サービスを運営するBASEを設立

「憧れの進太郎さん」と「若くて面白い鶴ちゃん」の出会い

ー山田さんと鶴岡さんが出会ったのはいつ頃ですか?

鶴岡 2010年に、家入一真さんが代表のCAMPFIRE(クラウドファンディング・プラットフォームを運営)にインターンとして入りました。家入さんと進太郎さんの仲が良くて、家入さんに連れられてどこかに出かけていくと、そこにかならず進太郎さんがいた。それで初めてお会いました。

山田 そうか、あの頃なんだね。

鶴岡 進太郎さんからすれば、「家入さんのところにいる、ただのインターン」だったからあまり覚えてないでしょうけど(笑) 初めてお会いした日、進太郎さんがツイッターでフォローしてくれて、「うわ!山田進太郎にフォローされた」と、めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えてます。

山田 鶴ちゃんは1989年生まれだから、僕とちょうど一回り違うね。ネットの面白いものってやっぱり若い人から流行っていくから、フォローしたり話したりしてて勉強になるんだよね。

鶴岡 僕からすれば、進太郎さんはウノウをZyngaにバイアウトした「ネット長者」。ネット好きのいち学生だった僕にとっては、「憧れの進太郎さん」って感じだったんです。

山田 そんなそんな・・・(苦笑)

鶴岡 あれから「メンター/メンティー」のような関係になっていったきっかけは、2012年12月にBASEを設立して、メルカリさんと同じシェアオフィスに入ったことですね。

山田 そうだね。メルカリの設立が2013年2月だから、実は鶴ちゃんのほうが先に事業を始めてたんだよね。

鶴岡 はい。当時は進太郎さんがBASEと同じくEコマースで勝負しようと準備していることは知っていて、「進太郎さんはどんなことを仕掛けるんだろう?」といつも気になってました。

山田 BASEは最初からすごい勢いで伸びてた。だから、始めは自分がメンターというよりも「情報交換させて」くらいの感じだったよ。

鶴岡 お話するうちに、ベンチャーキャピタルや決済会社の人などを紹介してもらうようになりました。ありがたかったです。

山田 僕もいろいろ紹介してもらってたけどね(笑) 鶴ちゃんは22歳で会社を立ち上げたから、起業家仲間のなかでも一番若くて。でもとにかく、「ビジョナリー」。30代の起業家なんかより大きいことを言うし、一方で決済システムやコマース業界の商慣習なんかにも詳しい。ビジョナリーな部分と、エグゼキューションの細かい部分。どちらも兼ね備えている、レアな起業家だなと。

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎、BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太

ーメルカリからBASEへの出資の相談は当時からされていましたか?

鶴岡 いいえ、当時はまだ。

山田 僕はエンジェル投資もしてますが、自分から積極的にお金を出すわけではないんですね。起業家からアプローチされて、「応援してみよう」と思える人だったら出す感じ。BASEの場合は、ずっとアプローチを待っていたのに来なかった(笑)

鶴岡 ああ、すみません・・・。

山田 まあ、お金を出していようがいまいが、近くにいて勉強になったり楽しい人とは一緒にいたい。それに、自分も昔はネット業界で最年少みたいな時代が長かったから、付き合うひともスマートニュースの(鈴木)健さんとかgumiの國光(宏尚)さんとか年上の人が多くて、若い人と接する機会はあんまりなかった。

だから鶴ちゃんのことは応援したいし、それに僕が鶴ちゃんから学ぶこともあるので。

メンターの役割は、メンティーを否定せず確信をもたせること

ー2人の間ではどのようなやり取りが交わされているのでしょうか。

鶴岡 僕はチームを上から引っ張っていかないといけない立場なので、社内でできる相談にはどうしても限界があります。

例えば、特定のプロジェクトのレベルでなく、自分がやっていることの「全体感」が間違っていないのかーー。社員が増えるにしたがって不安が大きくなることもありますが、そんなときに進太郎さんに話を聞いてもらえるのは本当に有り難いです。

山田 そういう悩みって、なかなか会社だとさらけ出せないから。

鶴岡 特に、お話していて「進太郎さんは、僕のことを信頼してくれているんだな」と感じられることがすごく心強い。例えば、なにかアイデアを話しても、否定されることが絶対にないんです。かならず、「いいね、イケてるね」と言ってくれる。

山田 大前提として、「鶴ちゃんを応援したい」という気持ちがあるので、そんな相手が話してくれるアイデアを否定するってことは、メンターとしては絶対にしない。「ここは、こうしたらいいんじゃないかな」くらいのアドバイスはするけど、決定するのはあくまでも経営者。

それに経営者としての鶴ちゃんへの信頼は、ずっと前から置いてるから。

鶴岡 メンティーが「右に行こう」と思っているときに「左だよ」と正すのは、もう少し下のレイヤーのメンタリングなのかもしれません。むしろ、「この道を100キロで行こう」と思っているときに、「倍の200キロで行けよ」と背中を押してくれるような言葉がメンターからはほしい。

BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太

そうやって、たとえ根拠はなくて、ましてや数学で証明することでもなかったとしても、「行ける」「やりきれる」って、メンティーの自信を「確信」に変えてくれることが、メンターの一番の役割だと思います。

山田 そうだね。ちなみに、僕のメンターはEast Venturesの松山太河さんですね。会って自分の考えを話すと、彼はいろんな会社の事例や歴史の話を交えながら、ただただ僕の考えを肯定してくれる。「メンター」の存在意義って、そういうことなのかもしれません。

個人間のメンタリングが「組織間メンタリング」にも波及

ー山田さんからのアドバイスがBASEの経営に活かされることは?

鶴岡 メルカリさんのほうが会社の規模が大きいので、特に組織作りなどは進太郎さんだけでなく、メルカリさんのメンバーの方々も含めて力になってもらっています。

山田 ウチの取締役の小泉(文明さん)もよく相談に乗っているみたいだね。それに、採用イベントを一緒にやるとか、積極的にお互いのリソースを使い合ってもいるよね。

鶴岡 はい、メルカリの人にBASEのSlack(社内チャット)に入ってもらったり、実際に定例ミーティングをしてもらったりしています。

山田 そういう意味では、鶴ちゃんと個人レベルだけでなく、会社レベルでもメンター/メンティーとして関わり合うようになってるね。

鶴岡 そうですね。メルカリさんとウチのメンバーをつなぐ最初のきっかけ作りくらいはしますが、あとは僕もわからない現場レベルで自然なやり取りが起こっています。

山田 メルカリのメンバーも、良い意味でどんどんとBASEに巻き込まれていっている気がする。企業同士のつながりとしては稀有な例だね。

鶴岡 出資してもらって、会社の数字を開示できるようになったことが大きいです。赤の他人だったら、「ここまで話して大丈夫かな」と迷って相談するにしても限界があるでしょうから。今はBASEの状況を赤裸々に話して、何でも教えてもらっています。

山田 ウチは「All for One」をチームの価値基準に掲げていて、それが組織文化にもなっている。だからメンバー一人ひとりが、常に「誰かの助けになることはないか」と探そうとしている。それもあって、鶴ちゃんとの個人レベルのメンタリングが、組織レベルにも波及しているのかな。

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎

鶴岡 それは感じます。ありがたいことに、メルカリさんの知見がBASEの現場にまで浸透しています。進太郎さんやメルカリさんが、お金以外のところでも関わってくれているのは嬉しいです。

山田 組織間のメンタリングの要は、経営者、トップ同士のつながり。あとは、メンティー側の巻き込みが大事。鶴ちゃんの懐の深さが、プラスにはたらいてるんだろうね。

鶴岡 BASEとしてやりたいこと、目指す姿は明確なので、「そこに向かって突き進むために変なプライドがあっても仕方ない。その辺はどうでもいい」と割り切ってるんです。だから僕もチームも、進太郎さんやメルカリさんと素直に関わり合えるのかもしれません。

山田 つまり、鶴ちゃんが「ビジョナリー」ってことだよね。

鶴岡 「メンターの人に対して、これ以上話して大丈夫なのか・・・」という心配は無駄。極端な話、情報を渡して裏切られても構わないんです。プライドやこだわりを捨てて関わるほうが、得るものは大きいじゃないですか。だから、メンティーに対してもガンガン行くんです。

山田進太郎さんがメンターを引き受ける理由

ー山田さんはどうしてメンターを引き受けるのでしょう?

山田 僕はどちらかというと「ペイ・フォワード」の考え方で、自分が受けた親切を誰かに返していきたいと思って動いてるんです。

投資も「儲けよう」と思ってやっているわけではなくて、自分が何もないときに信じてくれた人たちがいたからある程度まで来れたと思っているので、同じスタンスで常に味方でありたいと思ってますね。あと、メンティーの人と対話するときは「自分も何か学ぼう」と思うし、「自分ももっと成長していかなければいけない」という気持ちになります。

こういうメンター/メンティーの関係って、鶴ちゃんの場合と違って、同じ会社の中でもあるべきですよね。

上司が部下のメンターとなって、部下の考え方や仕事のやり方に触れることで、逆に成長するチャンスはいくらでもある。それに、上司は自分の代わりを見つけていかないと、さらに上のポジションに就くことはできない。

特に会社が急激に大きくなっているようなフェーズでは、常に自分の後身を育てていかないとチームがまわらなくなる。人事評価一つを取っても、部下が10人だったら自分一人でも見れるかもしれないけど、それが50人になったとしても見れるのかとーー。

「自分はもっと成長したい」、そう思う上司ほど部下との関係を大切にして、メンターとして部下を育てていくべきですね。

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎、BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太

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[取材・文] 多田慎介、岡徳之

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