ログインして記事ブックマーク、コメント投稿などすべての機能を使う。

close

INTERVIEW
アプリ収益化・無料決済・ビットコイン…メタップスCEO佐藤航陽氏の未来を捉えるフレームワーク
INTERVIEW

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK
世界は、“パターン” に溢れています。

こう語るのは、メタップス代表取締役CEOの佐藤航陽さん。同社は、世界8拠点で人工知能を活用したスマートフォンアプリのマーケティングコンサル・分析プラットフォームを提供するグローバルベンチャーです。

佐藤さんは経営者としての優れた手腕はもちろんのこと、人工知能や宇宙産業をはじめとする先端産業の行く末を見通す先見性、それを支える思考の深さでもよく知られています。

今回は、佐藤さんがメタップスのビジネスをグローバル展開する過程で気づいた「普遍性」と、それを導き出した自身のフレームワークについてお話を伺いました。

イノベーターと呼ばれるひとには世界がどう見えているのかーー。その視界と思考法の一端をご紹介します。

株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤航陽

PROFILE

株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤航陽
佐藤航陽
株式会社メタップス 代表取締役社長
1986年生まれ。早稲田大学を中退し、2007年にイーファクター株式会社(現メタップス)を設立。スマートフォン向けリワード広告事業などを展開。2011年にシンガポールに子会社を設立し、人工知能を活用したスマートフォンアプリの解析プラットフォーム「metaps」の提供開始。現在は日本、シンガポール、中国、韓国、香港、台湾、アメリカ、ロンドンの8拠点で事業を展開中。

「モノごとに共通する “真理” を知りたい」

メタップスが作成した、ある興味深いレポートがあります。アプリストア『Google Play』のランキングから、世界各国のアプリ市場の類似度を比較したものです。アプリの共通する度合いに応じて、類似度の高低が区別されます。

アメリカやカナダは言語が同じ(英語)で習慣も似ているため類似度が高い。一方で、「ガラパゴス」と表現されるように特殊な環境にある日本はアプリ市場において類似度が低いという結果に。

つまり、私たちは好きなようにアプリをダウンロードし、その利用に時間を使っていても、もしくは使わなくなったとしても、データを解析すれば、そこには国民性というパターンが浮かび上がってくるのです。佐藤さんはこう言います。

メタップスをグローバル展開していく中で、何億人というユーザーのデータを人工知能で解析し見ていきました。すると、たとえ言語や文化が異なる国のユーザー同士にも共通することがあったり、また一見異なるような行動の裏側にも似たような傾向があることが分かっていきました。そこから見えてきたのは、パターンに支配されている人間の姿でした。

そう言われると、納得しつつも反論したくなるもの。実際、そんな佐藤さんもかつては「人生はインスピレーションと経験がすべて」だと感じていたそうで、いまでももちろんそれらを大切にしています。

しかし、先ほどのデータに裏打ちされるように、人間のパターンがビジネスを大きく動かしていくのを目の当たりにするうちに、佐藤さんは世界をよりフラットに眺めるようになり、そして “真理” のようにモノごとに共通するパターンを知りたいと強く思うようになったのだそうです。

モノごとの共通項を見つけ、ほかの事象に当てはめてみる

佐藤さんが見つけた “真理” の一つは、モノごとには “偏り” があるということです。

経済も社会も基本的にはネットワークなので、かならず “偏り” があります。ですから、モノごとを理解するということは、そのすべてを網羅的に把握するのではなく、“全体の8割の動きを握っている2割への偏り” を把握した瞬間に起こります。残りの8割を突き詰めて学んだとしても、全体の理解に及ぼす影響はそれほど大きくありません。

例えば、世界経済には “資本の偏り” があるそう。

世界の資本は、圧倒的にアメリカと中国に偏っています。この2つの国の資本の動きをよく見ていると、世界の経済の8割がどのように動いているかを把握することができます。逆に、世界の経済を196カ国のやりとりとして見ていると、見間違えます。つまり、この世界を、中国とアメリカという “二大勢力の争い” として眺めることが、その理解につながるのです。すると、自ずとビジネスやキャリアにおいてねらうべきところが見えてきます。

どのようにすれば、”偏り” など “真理” が見えてくるのでしょうか?

事象の ”共通項を探す” というのをよくやっています。例えば、”事象AとBに共通しているパターンはCでも使える。では、そのパターンはDにも当てはまるだろうか・・・』と。これを繰り返します。人間はモノごとを自分の好きなように分類、把握してしまい、大事な共通項に気がつかないのですが、意識的に事象に共通するパターンを貯めて、他のモノごとに当てはめて判断していく。コンピュータの機械学習とやっていることとまったく同じことですね。

佐藤さんの自著『未来に先回りする思考法』では、佐藤さん自身が ”社会” の中に存在する共通項を見つけ出そうとした試みが紹介されています。社会は共通項を持つ3つの類型に分かれるのだとか。

・「血縁型」の封建社会

近代以前の社会システム。王や貴族などの特権階級が存在し、人びとは身分に縛られていた。身分はどの家系に生まれたかで決められていたため、情報を伝達する社会システムの基礎は「血」だった。

・「ハブ型」の近代社会

自由や平等、教育、政治など、現代の社会の基本要素が形成された近代以降の社会。この時代の社会システムは情報の非対称性、つまり「誰もが同じ情報を容易に共有できない」前提で作られた。貴族・王族・聖職者が高い教育を受け、市民や農民は文字の読み書きすらもできなかった。結果、どこか一カ所に中心を作り、そこに情報と権力を集め、「代理人」によって多くの人びとに情報が伝えられていた。学校は親の代理人として子どもを教育するハブに、企業が株主の代理人として資本を増やすハブとして機能するようになった。

・「分散型」の現代社会

テクノロジーが広く行きわたり、インターネットにより情報の非対称性が薄れた現代社会。ネットワーク的に個々人が結びつき、相互に情報を発信することで、情報のハブが必要ない分散型の社会が築かれていった。シェアリングエコノミーなどもその流れの一部。

佐藤さんの自著『未来に先回りする思考法』
佐藤さんの自著『未来に先回りする思考法』

イノベーターだけが知る世界を変えるフレームワーク

このようにしてモノごとの真理を知ることが、未来を見通すヒントになります。佐藤さんはこう言います。

未来に先回りする0.1%の人びとの思考法を見ていると、彼らは “世界が変化するパターン” を見抜いていることが分かります。例えば、世界を変えるイノベーターたちは、“ルールのひっくり返し方” のパターンを見抜いています。

それはどのようなパターンでしょうか。

イノベーターは、経済においては “ルールを作り出す側がもっとも利益を得て、既存のルールの上で踊らされる側は利益が手に入らない” ことを知っています。だから、既存のビジネスのルールをひっくり返すことを考える。多くの人びとを巻き込める新しいルールを作ることさえできれば、経済は自ずとひっくり返り、莫大な利益を手にでき、世界を変えることができるのです。

”イノベーター” と聞くと、風変わりな異才の持ち主というイメージがありますが、佐藤さんに言わせれば、彼らは世界や経済の真理を見抜いて行動できるひとなのです。そしてその見抜く力は、”共通項を探す” というトレーニングによって培うことができるのです。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
50人のビジネスパーソンに学ぶ「最高・最低のフレームワークの使い方」
ビジネスフレームワークを伝えるか?それとも・・・ 一緒に考えてみませんか。

[取材・文] 森旭彦

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

いいね!していただくと
最新記事をお届けします。

コメントを送る

関連する記事

連載一覧を見る

タグ

タグ一覧を見る