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INTERVIEW
お金のデザインCOOが高給を投げ打ちベンチャーに参画するとき考えたこと
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BOOK MARK

日米で企業弁護士、また投資銀行の投資銀行員として、常に機関投資家や資産家を相手に仕事をし、転職をするたびに年収は常にアップしてきたという北澤直さん。

しかしそんな北澤さん、今は「金融を特定の人にだけでなく多くの人にも解放したい」という思いから、前職の好条件を投げ打ち、日本の金融ベンチャー「お金のデザイン」に参画し、取締役COOとして活躍しています。

「高層マンションにはもう住めませんね」と笑いながら話す北澤さんですが、なぜ年収やお金にとらわれず挑戦を決断できたのでしょうかーー。その背景と理由、そしてその経験からこそ見えてきた「お金の正体」について伺いました。

お金のデザイン取締役COO、弁護士(日本法、NY州法)北澤直

PROFILE

お金のデザイン取締役COO、弁護士(日本法、NY州法)北澤直
北澤直
お金のデザイン取締役COO、弁護士(日本法、NY州法)
慶応義塾大学法学部卒業、ペンシルベニア大学大学院修了(LL.M)。ポールヘイスティングス法律事務所の東京とNYオフィスで、弁護士として大型M&A案件や金融商品開発を主に手がけた後、モルガン・スタンレー証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)へ。投資銀行員として6年間在籍し、M&A、IPO、増資引受案件などのコーポレートファイナンス取引に加え、ファイナンス、法律、税務の専門知識を活かして不動産私募ファンドの組成などの案件をリード。2014年より現職

ハイサラリーを手にして気づいたお金の意味

—「お金のデザイン」とはユニークな社名ですね。事業内容について教えてください。

日本初の独自開発のロボアドバイザーによる資産一任運用サービス、THEO [テオ] を提供しています。時間も資産運用のノウハウもない方が、プライベートバンクでプロにアドバイスをもらって行うレベルの資産運用をできるようになるサービスです。

当たり前ですが、お金ってすごく大事ですよね。しかしその割に、友人や同僚とはお金の話はあまりしない。するとしたら、若い人が両親と話すくらいでしょうか。それに、時代や経済環境によって違うので、同年代とももっと話したほうが良いんです。

だから、もっとオープンにお金の話をできるようにしたい。そういう思いから、社名にもあえて、「お金」というある種はばかられる言葉を使っています。金融への距離感や不信感を拭い去り、ストレスフリーにしていきたいんです。

ーそんな北澤さんのキャリアは弁護士からのスタートですね。

はい、日本とアメリカで企業法務を担当していました。日本人の顧客が語学のディスアドバンテージから本来のスキルを発揮できない悔しい場面も数々見ましたね。そういう障害を契約や法律の場面で解消する、それが自分の社会的役割だと自認していました。

仕事が回り始めて顧客も増え、モチベーションが上がって日々の充実感はありました。ただ・・・ 「もう少し自分自身が主体となれる仕事はないか」、そう思い始めた頃に、たまたまきっかけをもらった投資銀行のモルガン・スタンレーに転職しました。

—証券会社時代はどんな経験をしましたか。

モルガン・スタンレーに転職したのは2008年5月、リーマンショックの直前ですので、会社がピンチになった時期もありましたが、それでもサラリーマンとしては結構な額の給料をもらっていた時期もありました。

仕事にやりがいはあるし、社会的な意義もある。頑張ればそれに見合った以上の給料ももらえる。なによりおこがましいほどのハイサラリー。しかし、やはり睡眠時間とはトレードオフ。そのときから次第に、年収も大事だけれど自分の人生ややりがいと比較して考えるようになりました。

「お金自体を目的として仕事をするか、それとも他の目的の手段として考えるのか」。投資銀行にも高収入を目的にしている人と、仕事が好きでやっている人がいました。マネーゲームはそれはそれで楽しいのですが、私が憧れる人は後者でした。

お金のデザインではたらくことは、前職にくらべれば経済的合理性は見合っていませんよ(笑) ですが、「それでもやりたい」と思える仕事だったんですね。

伝説的トレーダーからの誘いにワクワクしている自分がいた

—そんな「お金のデザイン」の役員に就かれた経緯を教えてください。

モルガン・スタンレー時代、谷家衛(あすかアセットマネジメント会長、お金のデザイン会長兼ファウンダー)と出会ったのがきっかけです。伝説的なトレーダーとして彼の名前は知っていました。

知りあいづてに会って話をしたとき、「投資会社にあと何年いるつもりか?」と聞かれたんです。当時、私は38歳でした。

「50歳になったら、世のため人のための仕事をしたいと考えているが、それまでにはお金だってもっていなければいけない。だから頑張ってあと10年ははたらくつもりです」と伝えたんですね。

そうしたら、「もしかしたらお金にはならないかもしれないけれど、今すぐ世の中のためにできる事業がある」と彼に言われたんです。掘り下げて聞いてみると、これまでのビジネスのあり方とまったく違う仕事でした。

「金融の世界をインターネットの力で変えていく」というのが、彼の構想。今まで自分がやってきた企業法務や投資銀行での経験をこの事業のために活かせそうだ、と「ピン」ときたんです。

—決断の「瞬間」があったと思うのですが、それはどう訪れたのでしょう。

当時、谷家から内幸町のビルで話を聞きました。その帰りに日比谷公園を歩いているとき、彼の話を振り返りながら「ワクワクしている自分」がいたんです。その感覚が一番のきっかけでしたね。

お金のデザイン取締役COO、弁護士(日本法、NY州法)北澤直

—これまでの仕事や人生の経験から、直観で決断を下せたと。

そうですね。とはいえ、歳も歳なので理由を後付けで見出していきました。今後、人材の流動性は高まっていくべきだし、そうなっていくでしょう。だとすれば、一つの会社でジェネラリストになるのはあまり意味がない。

私は日本で弁護士、アメリカでも弁護活動をした後、まったく違うスキルが求められる投資銀行で約6年の経験を積みました。仕事の環境や領域が変わると、それまでの積み重ねはいったんゼロになります。それがかえって自信につながりました。

でも・・・ そういうのっていくら語ってもやっぱり後付けなんですよね。だって、新しいことに飛び込んでいく前には、なかなかその後のことは想像できないですよね。未来のことは誰にもわからない、動いてみないとわからない。これが真実だと思います。

目標や目的なしにお金のことだけ考えてもワクワクしない

—そんな未来に向けて挑戦するうえで、北澤さんは「お金」をどうとらえていますか。

お金の正体を、「不安」と捉えている方が多いと思います。お金に対する不安がない人は羨ましいですが、そんな人はあまりいません。一般的にお金とは、あってもなくても不安要素です。

もちろん良い生活をしたり、家族を支えたり、そのためにお金はとても重要ですので給料は高ければ高いほうが良い。ただ、これまでの経験からすると、お金がいくらあるからといって、もしくはもらえるからといって、それだけで人ってワクワクできない。

私は転職を決断する前、谷家の話を興味本位で聞いていました。しかし、彼が目指す「金融を個人に解放する」という活動に社会的意義を感じて、自分の中にも変化を感じたんですね。

たとえ「1億円あげるよ」と言われても、それだけでここまでのワクワク感はなかったはず。目標や目的がないのに、手段であるお金のことだけをいくら考えてもワクワクしないものなんです。

—お金を手段ととらえ、自分のワクワクに突き動かされるようにアクションを起こすために必要なことは?

まず、「転職や起業がダメだったときにも大丈夫」という精神的な保険をもつといいです。

私の場合は、万が一新しい仕事がすぐダメになったり、誘ってくれた方と仲違いして自分一人になったりしても、これまで積んできたキャリアを評価してくれる人はいるんじゃないか、という楽観的な予測を立てました。

もう一つ、やはりお金は大事。私はこれまでの転職では給与の心配をすることはなく、「やりがい」を感じられるかどうかで決めてきましたが、今回は違いました。生活に必要なお金はどれくらいだろう。今どれくらい支出してるんだろう、と細かくシミュレーションしたんです。

それまでは欲しいものは欲しいときに買って、食べたいものは食べたいときに食べていましたが、毎月の支出をちゃんと考えるようになり、要らないものを洗い出していくと「あれ、案外平気じゃない?」となって安心できたんですね。

以前に住んでいたマンションにはもう住めませんが、今は地元の町内会で神輿を担いだり(笑)、なんだかいいなと。実際に暮らしを変えてみたら、こっちが自分に合ってるなと思っています。

そんな精神的な保険とシミュレーション、あとは誰にもわからない未来に踏み出す勇気、これさえあれば、それまでなんとなくとらわれていたお金というものを、今度は自分のために使いこなせる側になれるのではないでしょうか。

人生のほとんどの時間を仕事に費やすわけだから、やはり一番大切にすべきなのは「やりがい」です。そんなやりがいを感じられる、自分がやりたいことがいざ自分の目の前に現れたときのために、お金を準備したり、スキルを身につけておく。

それが、ビジネスパーソンにとって正しいお金との向かい方です。

お金のデザイン取締役COO、弁護士(日本法、NY州法)北澤直

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[取材・文] 神吉弘邦、岡徳之

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