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INTERVIEW
妻や彼女の社会進出を支えるために夫や彼氏、企業ができること Waris米倉史夏さん
INTERVIEW

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アベノミクスの柱の一つでもある「女性の活躍促進」。経済産業省が、その促進に優れた企業を選定する「なでしこ銘柄」を設けるなど、女性の働き方をめぐる環境づくりが注目を集めています。

読者の中にも、妻や彼女、会社のチームメンバーといった大切な女性のパートナーたちの活躍を応援したいと、自分にできることを模索しているひとは多いのではないでしょうか。

では実際に、仕事と家庭のバランスを保ちながらのびのびと活躍する女性たちと、その夫や彼氏などのパートナー、あるいは上司など同僚を含む企業は、どのような工夫、サポートをしているのでしょうか。企業とワーキングマザーをつなぐ株式会社Warisの代表取締役、米倉史夏さんにお話を聞きました。

PROFILE

米倉史夏
株式会社Waris代表取締役
株式会社Waris代表取締役 米倉史夏 慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、国際協力銀行に入行。その後、ボストンコンサルティンググループにリサーチャーとして入社。2007年にリクルートへ転職。医療領域の新規事業立ち上げ、ブライダル事業企画業務に従事。2011年に米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラーの資格取得。2013年に株式会社Warisを設立し、ワーキングマザーを中心に家庭と仕事を両立したい女性と企業のマッチングを行っている。
株式会社Waris代表取締役 米倉史夏

キャリアにストイックな女性ほど無理してしまう

ー安倍政権はアベノミクスの成長戦略の一つに「女性の活躍」を掲げています。女性の働き方をめぐる日本社会の現状を教えてください。

先日、日本の大手自動車メーカーが育児中の終日在宅勤務制度を導入し、話題になりました。ここ数年で、大企業を中心に在宅ワーク、時短、フレックスタイムといった働き方の多様性に着手する企業が増えてきたように感じます。

しかし、まだ企業は試行錯誤中、というのが正直な感覚です。以前勤めていた企業は比較的フレキシビリティのある会社ですが、2012年ごろにようやく社員の働き方を見直そうと経営陣が動き始めました。

事実、労働力人口の減少やグローバル化などを背景に、女性の活躍促進や外国人採用、業務をアウトソーシングする動きは活発になっています。早ければ4〜5年以内、少なくとも2025年までには私たちの働き方は大きく変化するでしょう。

 

 ー女性の働き方を難しくしているのは、主に何が原因でしょうか。

働く女性の中でも最も多くの課題を抱えているのが、小さな子どものいるワーキングマザーです。出産を機に、仕事の質や働き方を見直し、子育てとの両立に悩み、キャリアをあきらめてしまう女性はたくさんいます。

特に、キャリアも実績もあって責任感も人一倍強い女性は、仕事面でも有能かつ、プライベートでもストイック。頑張るひとほど、どこかで無理がきてしまい、仕事をあきらめることになってしまいます。実績も能力もある優秀な人材が辞めてしまうのは、経済的にももったいないですよね。

そんな女性のために、弊社では、企業と女性のマッチングを行っています。キャリアを積みたい女性に対して、フルタイムではなく、スキルや経験を活かしたフレキシブルな仕事を紹介します。企業には、優秀な人材を柔軟に活用できるメリットがあります。

ただ、旧来の日本の企業には「24時間働けますか」という、若い男性中心の長時間労働の文化が残っています。企業側が人材を選ぶときにも、「長時間労働が可能か」が基準、もしくは前提となっています。

子育てをしていても、その人自身のキャリアや能力に変わりはありません。男女を問わず、キャリアが充実し、仕事の効率が高いひとは、短時間でも十分な成果や売り上げを生み出すことが可能なのです。

米倉さん自身も家庭と仕事のバランスを常に考えています。
米倉さん自身も家庭と仕事のバランスを常に考えています。

千差万別の女性のニーズに耳を傾けよう

ー企業はどのように変わればよいでしょうか。

そう頭では理解していても、企業の率直な感情としては「労働時間に制限があると、アウトプットまで制限されるのでは」と不安に感じてしまうのです。

企業が、「労働時間」ではなく「成果」で評価するようになれば、もっと女性が活躍できるし、会社の成長にもつながると思います。そのためには、女性も制度に寄りかかるのではなく、成果と結果を出さなければなりません。少ない時間の中で、プロフェッショナリティを磨く努力は人一倍必要になると思います。

 

ー身近にいる大切な女性パートナーを応援するために、私たちには何ができるのでしょうか。

まずは、「女性だから」「子育て中だから」という背景だけで、一律にそのひとの考え方や評価を決めないことです。

出産後もバリバリ働きたいひともいれば、子育て優先で仕事をセーブしたいひと、辞めるひともいます。また、夫との関係、子どもの健康状態、自分の健康、サポートしてくれる親がいるかなどによって、働く環境も千差万別です。

しかし今の日本社会は、一律に、子どもができたらセーブする。ミッションのレベルを下げる、という仕組み。ワーキングスタイルの多様性に富んでいる組織ほど、会社全体がいきいきしています。

上司やマネジメントをする立場のひとは、社員一人ひとりの「やりがい」を重視して、働き方の選択肢を考えてあげることが大切です。

なぜなら、女性はライフステージに合わせて、自分の時間を何に使うべきなのか、切実に考えるからです。特に出産後の女性にとっては、1分1秒に重みがあります。常に「これは自分が今すべきことなのか」と自問しているのです。そうした女性たちは、報酬や地位よりも「やりがい」を求める傾向があります。

やりたいことだけを任せると言えば、一見、女性のワガママに聞こえるかもしれません。しかし、社員が成果を出すことが、会社の成長につながるという組織の原点に立ち戻ると、やる気のあるひとに短時間で効率よく動いてもらうほうが、結果的には組織のプラスにつながるのです。

出社したらまずはコーヒーを淹れて仕事モードに自分を切り替えるそうです。
出社したらまずはコーヒーを淹れて仕事モードに自分を切り替えるそうです。

両立が上手な家庭、女性の共通点

ーでは女性自身は、どのような工夫を自分で、あるいはパートナーと行っていけばよいでしょうか。

自分の中で「優先順位を明確にしているひとは、のびのびとしています。

この数年は、子どもと一緒に寝ると決めている。あるいは、仕事で目標の成果を達成する、など何を優先するかが決まっていると、それに基づいた判断をすればとよいので、混乱せず、無理な選択もしません。

今までのスタイルにこだわらないひとも楽しく働いている印象があります。

私自身もそうなのですが、例えば、結婚・出産する前に、夕飯は3品以上作っていたから産後もやろう、と頑張るひとは大変です。今は家事のアウトソーシングを安く利用することもできますし、固定概念を捨てて、うまくやりくりするのも工夫の一つでしょう。

私の知人に、仕事と家庭の理想的なバランスを保っている夫婦がいます。2人とも会社ではマネージャークラス。お互いのキャリアを伸ばしつつ、3人の子どもを育てていらっしゃいます。

その夫婦は、家事の役割分担を一切していません。以前は奥さまの負担が大きく、家事の分担をしたそうですが、やっていないことで喧嘩が増えたそうです。今では、気付いたほうが進んでやるというスタイルに。

休日に、お父さんが1日出かけることもあれば、お母さんが1日出かけることもあります。まるで、2人が主担当となって、育児プロジェクトを進めているよう。今に至るまでに数年かけて、これは2人のプロジェクトだよねと2人の間でコンセンサスを取ってきたそうです。

働き方も、家庭のありかたも、もっと自由で多様に富んでいいと思います。そして、女性の働き方ばかりを見直すのではなく、男性パートナーや企業など、社会全体で意識から変えていくことが、真の意味での応援につながるのではないでしょうか。

 

ーライフステージで変わる女性のキャリアの悩みや、柔軟かつ多様なサポートをすることの大切さがわかりました。貴重なお話をありがとうございました。

働きたい女性をともにサポートするWarisの皆さんと。
働きたい女性をともにサポートするWarisの皆さんと。

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[取材・文] 早川すみれ

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