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INTERVIEW
学習効果、飛躍的アップ。多忙なビジネスパーソンに広まる新・読書術「アクティブ・ブック・ダイアローグ」
INTERVIEW

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BOOK MARK

人生100年時代を楽しむうえでは「学び直し」が大切。忙しいビジネスパーソンだからこそ、学習の質と効率を高めるため、「学び方を学ぶ」必要があるのでは――。そんな課題意識を持つ人びとの間で今、広がりつつある読書術が「アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)」です。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)

「短時間で読書が可能」「サマリーが残る」「記憶の定着率の高さ」「深い気づきと創発」「個人の多面的成長」「共通言語が生まれる」・・・というこの手法。実践すれば、私たちの学び直しを加速させ、積読のようなこれまで抱えていた読書に関する悩みも解決できるかもしれません。

今回は、アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)の開発者である、竹ノ内壮太郎さんに、具体的なやり方と、効果について話を聞きました。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R) 開発者 竹ノ内壮太郎

PROFILE

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R) 開発者 竹ノ内壮太郎
竹ノ内壮太郎
アクティブ・ブック・ダイアローグ(R) 開発者
1978年京都大学工学部機械系卒業。1992年より京都府宇治市三和研磨工業代表取締役社長 製造業の会社経営者のかたわら、社内・社外での人材開発の手法としてファシリテーションを活用する。その過程で参加型読書会メソッドのアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)を開発、2017年にマニュアル一般公開する。2018年9月にはIAF大阪大会で英語でのアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)のワークショップを実施する。日本ファシリテーション協会会員(2005年4月より)、場とつながりラボhomes'vi 正会員、一般社団法人シナリオ・プランナー協会理事(認定シナリオプランナー)。

新しい読書術「アクティブ・ブック・ダイアローグ」のやり方

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)を開発したきっかけを教えてください。

2013年にエドワード・デシ博士の『人を伸ばす力ー内発と自律のすすめ』という本の読書会を行いました。13章ある分厚い本だったので、1年かけて1章ずつ輪読の読書会を始めて、やっていくうちに何かもっと楽しくできる方法はないかなあと考えました。

友人の大学教授から、学校教育分野に『ジクソー法』というやり方があることを聞きました。高校などで、グループごとに分担して学んだ内容を別のグループを作って、共有・合体させる方法です。

このジクソー法のように、みんなで分担して読んで、それを寄せ集めたら楽しいのではないかと気づいて。それがアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)開発のきっかけですね。

短時間で読むことのできる新しい読書手法と聞いていますが、具体的にはどのような手法なのでしょうか。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)は、1冊の本を分担して読んで、発表し、対話をすることで、本の内容を深く理解できる読書法です。

数人のグループで読書をするので、学びを深めるだけでなく、新たな関係性を育むという効果もあります。大学のゼミ、社外コミュニティなど、さまざまな場所で活用されていて、2年間で無料マニュアルダウンロードは、3,000件を超えました。

全国の開催カレンダー
全国の開催カレンダー

具体的なやり方は、まず10名程度の参加者を集めます。そして「チェックイン」として、サークルになって、簡単な自己紹介と今の気持ちを順番に話します。

その後、5つのステップで進めていくんです。まず1つ目は、本を分解。2つ目は、担当ページを割り振る。3つ目は、担当ページを読み込む。4つ目は、担当ページを要約する。そして最後5つ目は、各自の要約を発表する。この手順です。

参加者で分担するために分解された本
参加者で分担するために分解された本

まず1つ目は、15〜20ページの枚数ごとに分解していきます。これまでの読書会では1人1冊本を用意するのが普通でしたが、アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)では、1冊を分けて、みんなで使います。また、分厚い本の場合、1回の読書会で全ページを読み切ることは難しいので、2〜3回で実施することをオススメしていますね。

2つ目は、担当ページの割り振りです分けたページを各自にばらばらに配っていきます。場合によっては、難易度ごとに担当ページを調整するのもいいです。本は後ろのページになるほど難しくなることが多いので、その本に馴染みのない人は、最初のほうのページを、もうすでに内容を知っている人は後ろのページを割り当てることで、負担を調整します。

3つ目は、各自担当したページを30分ほどかけて、それぞれで読み込みまとめます。

通常の読書会だと、「本を読んだ上での参加」という条件が多いですが、集まって読めるのはいいですね。家ではなかなか読めない人でも、気軽に参加できそうです。

そうなのです。みんなで一緒に読みますし、自分の担当ページがあるからこそ、集中して読み進められるのです。

次に、4つ目には、読んだ担当ページを、B5用紙で6枚程度に要約します。「この章のなかで著者が訴えたいこと」や、自身が「なるほど」と思ったことを書き出すようなイメージです。終わり次第、要約したB5用紙を壁に貼っていきます。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)

そして5つ目には、1人2分程度で要約をリレー形式でプレゼンをしますここで大事なのは、著者になりきること。「こんなことを言っています」と伝えるのではなく、「私は著者としてこう考えます」と、成り代わってプレゼンするのです。すると、自分にとって縁が遠いと思った本でも、著者を身近に感じられて、すっと頭の中に内容が入ってきます。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)

学びを最大化する鍵は、場づくりにあり

初めましての人同士だと、発表するのを恥ずかしく感じる方もいるかもしれないと思うのですが、場づくりの中で意識されていることはありますか。

人前で話すのが苦手な方がいる際は、各自でまとめてもらった上で3人1組になってもらって、代表1名だけがプレゼンをしてもらう時もありました。最初の「チェックイン」の時に、そうした背景を知っておくことも重要かもしれません。

発表後、ギャラリーウォークと言って、展覧会を見て回るように、発表した成果物を見てまわります。これはまだマニュアルに反映していないのですが、ギャラリーウォークも2人1組で行うと効果的です。なぜなら、一人でずっと見続けるのは、あまりおもしろくなく疲れてしまうのですが、2人なら集中しつつ、話も盛り上がりますから。

ギャラリーウォーク
ギャラリーウォーク

最後6つ目は、4名ほどの小グループに分かれて、感想や疑問について対話をします。ここでも大切なルールがあります。それは、読んだ本に関する浮かんでくる「問い」を書いてもらうこと。

単純な疑問でもいいですし、探求したいことなど、深さのレベル感は問いません。ポストイットに書いて、机の上の模造紙上に置いていきます。「自分の組織にも本当に使えるのだろうか?」とか。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)

対話の時間では、話が脱線してしまうこともあると思うのですが、そういう時はどうしていますか。

確かに、あまり本のテーマとは関係のない自分の知識を披露したがる方もいますね。そうした話の脱線を防ぐためには、「貼り出した要約の部分、もしくは出した問いを指さしながら話してください」とお伝えをしています。

また、グランドルールとして、話をよく聴くこと短めに話すこと、などを事前に共有してから始める場合もあります。ファシリテーターは、参加者の様子を随時見ながら、臨機応変に場づくりをしていくことが重要です。

そして、小グループで話し合った内容を、全体に共有したら、終了です。ざっと2時間30分程度でしょうか。この読書術に沿って行うと、著者が伝えようとしていた内容を深く理解することができるんですよ。それだけでなく、参加者同士が打ち解けていき、チームビルディングも期待できます

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R) 開発者 竹ノ内壮太郎

小説・漫画・白書などどんな「読み物」でも実施可能

1冊まるまる読むわけじゃないということは、前後の文脈が分からない状態で要約することになると思うのですが、難しくはないのでしょうか。

逆に面白がってもらっていますよ。前後関係が分からないからこそ、推理小説を解いていくような感覚なんです。前後の章を担当した人の発表を聞くと「そうだったのか」という、驚きがあるので、記憶に残るんですよね。覚えようとしなくても、頭の中の定着率が上がる。みんなの発表を聞くまではモヤモヤしているんでしょうけど(笑)。

また、読みたい本が分厚くて難しいものだと、そもそも1人で読むのはハードルが高い。他の人のプレゼンや、対話を通して理解を深めていけるのであれば、むしろ助かるという方が多いんです。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)は、どんな本でも実施可能なのでしょうか。

可能ですよ。最近では、小説や漫画の実施事例も増えてきています

面白いのでいうと、あるグループで『文部科学省の改訂された学習指導容量』を読む必要があって、アクティブ・ブック・ダイアローグを先生同士で実施したという方がいました。政府発行の文書は面白く書かれてはいないので(笑)、なかなか読み進められなかったそうなんです。でも、アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)を活用したら、無事に読み切れた、と。

だから、どんな読み物だと相性がいいか、という話ではなく、読みたいかどうか。そこが大切だと思いますね。

社内研修や、大学のゼミだけでなく、小さな子どもがいる家庭でも

例えば、社内のチームで実施した場合には、どのような効果が得られるのでしょうか。

教育効果が非常にあります。まず、前提条件を揃えることができます。例えば、いきなり上司が「この問題について話し合いましょう」と投げかけたとしても、知識と経験の違うメンバー同士では、思うように話し合いが進まないことがあります。ですが、問題の関連本をアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)で学べば、話し合いが進むようになります。共通言語が生まれますし、前提条件が揃うので。

また、終えた後は、不思議と連帯感が出てくることも。リレープレゼンは、次の章を読む方にハイタッチしながら進めたりもするので、雰囲気的に盛り上がるんです。陸上のリレー走に近い感覚です。チームワークが育まれていきますね。

社外のコミュニティでも良い効果が得られそうですね。

最近では、勉強会のコミュニティや、大学のゼミでも活用いただいています。アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)は、オンラインでの実施も可能なんです。普段やる時は、Zoomミーティングというサービスを使っています。忙しいビジネスマンでも、21時から22時30分の間など、夜の時間帯でも実施できますから便利ですよね。

オンラインの際は、各自が本を購入し、あらかじめ担当を割り振って、読んできてもらいます。そして、要点をまとめたら、Zoom接続前までに、Facebookグループ等に資料をアップロードする。通常の手順の4つ目までを、各自で行ってもらうイメージですね。

国籍関係なく取り組める
国籍関係なく取り組める

小学生や中学生でも実施可能なのでしょうか。

小学校6年生と一緒に行ったことがありますよ。お父さんが子どもさんを連れてこられたんです。その時は偶然にも86歳の方もいたので、年齢幅は広いですね(笑)。ですが、お互いにしっかり対話していました。

ある友人は、お家で小学生のお子さんとファッションデザイナーのココ・シャネルの生涯を描いた漫画でアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)を行ったそうです。また、先日、大人向けに小説『星の王子さま』もアクティブ・ブック・ダイアローグを行いました。読みやすいのですが、深い問いが散りばめられていて、対話が盛り上がります。これも子どもたちともできると思いますよ。

年齢問わず、広く活用できるんですね。アクティブ・ブック・ダイアローグ(R)の今後の展望はありますか。

地方にもっと広げていきたいと思っています。今現在は、東京と関西では実施してくださっている人は多くいますが、地方はまだこれからなんです。

また、昨年9月IAF(国際ファシリテーターズ協会)アジア大会で、アジアの方々と英語でのアクティブ・ブック・ダイアローグのワークショップを実施しました。あわせて英語のマニュアルも作成しました。これからは海外でも広めていきたいですね。まずは国内で英語の本をアクティブ・ブック・ダイアローグ(R)で読むところから始めるのも、良いかもしれません。

アクティブ・ブック・ダイアローグ(R) 開発者 竹ノ内壮太郎

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[取材・文] 水玉綾、岡徳之 [撮影] 八月朔日 仁美

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