ログインして記事ブックマーク、コメント投稿などすべての機能を使う。

close

INTERVIEW
やりたいことは自分の中にある!Cerevo岩佐琢磨が語る天職と出会う術
INTERVIEW

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

疑問を感じているいまのはたらき方に留まるか、それとも自分のやりたいことに突き進むか。誰しもが一度は考えたことがある議題なのではないでしょうか。

「インターネット」と「家電」を掛け合わせたモノづくりで世界のマーケットを開拓している株式会社Cerevoの代表取締役、岩佐琢磨さんはパナソニック勤務を経てCerevoの前身となるYOMEIを設立。「自分たちがつくりたいモノをつくる」ことを信条に、それを常に有言実行し続けています。

好きなことを趣味で終わらせず仕事にすることで自らをドライブさせる方法と、天職と呼べるような自分が本当にやりたい仕事と出会う術についてお話を伺いました。

株式会社Cerevo代表取締役 岩佐琢磨さん

PROFILE

株式会社Cerevo代表取締役 岩佐琢磨さん
岩佐琢磨さん
株式会社Cerevo代表取締役
1978年生まれ、立命館大学大学院理工学研究科修了。2003年、松下電器産業(現パナソニック)に入社し、ネット接続型家電の商品企画を担当。2008年に株式会社YOMEIとして設立後、2008年5月に株式会社Cerevo(セレボ)に社名変更。 ビデオカメラにUstream配信機能をつけるための機器「LiveShell」シリーズなどを世界37カ国以上で販売。2015年にラスベガスで開催された世界最大規模の家電展示会「CES」で「Innovation Awards」を受賞。個人ブログ「キャズムを超えろ!」は家電業界のファンが多い。

ニッチ市場のマニア向けモノづくりで脚光を浴びる

ーまず、Cerevoについて教えてください。

インターネットと家電を組み合わせたモノづくりをしています。例えば「LiveShell PRO」というパソコンを介さなくても撮ったHD映像をすぐにインターネット配信できる小型映像配信機器や、アニメ『PSYCHO-PASS(サイコパス)』に登場する「ドミネーター」を1/1サイズで精巧に再現した開発コードネーム『DOMINATOR MAXI』などを手がけています。

こうした新しい家電製品の開発を促進するために、最近はオフィス環境にも力を入れています。2014年には本社をシェアオフィスの「DMM.make AKIBA」に移しました。同フロアはフリースペースや食堂が併設されているため、フリーランスエンジニアの方々とより交流できる機会が増えました。定期的に交流会を開催して、新しいアイデアの立案やそれを実行につなげる環境づくりを大切にしています。

 

ー革新的なアイデアを次々と形にできるのはなぜでしょうか。

各商品の企画段階で一貫していることは、消費者ターゲットを明確に決めていることです。ターゲットを「ニッチ」に絞り、マニアックなひとたちが買いたいと思ってくれるような製品企画を心がけています。例えば、カメラならプロカメラマンが絶対に欲しがる商品はなにかと考えて企画をします。

幸い、カメラは私もすごく好きなので、使うひとの立場が分かるからこそ、あったらいいなと思う機能を搭載したユニークな商品開発を実現できているのではないかと思います。もし国内では1000台しか売れなかったとしても、海外10カ国で各国のマニアに1000台売れれば利益が出るようにと海外展開も推し進めています。

それから、製品企画が通ってから量産までのスピードは強みかもしれません。一般的にハードウェアメーカーが新製品を企画してから量産するまで約2〜3年かかると言われます。しかし弊社では、それが最短6カ月、長くても1年程度で可能です。

弊社は、プロトタイプを作れるエンジニアを社内に抱え、企画後すぐに試作品を作るようにしています。また、自社では工場を持っていませんが、中国の深センにあるEMS工場を活用することで、何千台〜何万台の比較的少ない規模ではありますが、試作品ができてからすぐに商品化できるよう効率化を実現しています。

ハードウェアを作る会社はソフトウェアの会社と比べて難度が高いとよく言われますが、逆に言えば難しさを工夫し解決する楽しさがあり、だからこそユニークさにもつながります。

取材は本社があるシェアオフィス「DMM.make AKIBA」で実施
取材は本社があるシェアオフィス「DMM.make AKIBA」で実施

趣味が転じて仕事に・・・ 心を動かすアイデアとの出会い

ー学生時代から「ネット×家電」への情熱をお持ちだったのでしょうか?

インターネットは好きでしたが、実は家電には興味を持っていなかったですね。高校生の頃は、航空系、宇宙系に興味があったのですが、大学でその分野を専攻するにはそれこそ別格な優秀さでないと難しい。その時点で挫折のようなものは味わいました。

当時は、インターネットの黎明期。私も高校生の頃からホームページを作成したり、ネットの少しマニアックな世界に早いうちから踏み込んでいました。大学も情報系の学部がある立命館大学に進学し、在学中にSE兼情報系のライターをしたりと、学生時代にネット関連のインプットもアウトプットも積極的にしていたと思います。

そうした流れもあって、就職活動もネット関連で探したのですが、ちょうど楽天やヤフーが台頭してきた頃でしたので、ネット業界はすでにゼロから1ではなく、10くらいの段階にまで進んでいて、それを12、15と広げていくフェーズに入っていると感じたんです。私は0から1にする仕事が好きだし、自分には向いていると直感していました。そうしてあらゆる業界を考えてみたときに、家電業界はネットのよさがまったく生かされていない分野だと気づいたんです。そうした経緯でパナソニックに入社しました。

2008年に起業することになるのですが、Cerevoが一定の反響をいただけているのは、前職の経験があってこそです。まずは社会や業界の仕組みを知ることが非常に重要で、それを勉強できたのは就職したからこそ。パナソニックで世界最高水準のモノづくりに携わり、事業推進のためのロジックやベンチャー顔負けのスピード感など、ゼロから1を生み出すために必要なスキルを勉強させてもらいました。

 

ー家電スタートアップを始めた理由を教えてください。

あのときの環境のままでは自分の強みが生きないと感じることが続いたのが大きなきっかけだったと思います。というのも、私が当時商品企画を行っていたときのターゲットは団塊世代でした。団塊世代だとインターネットを使いこなせるひとはどうしても少ない。

大手メーカーは、商品開発に莫大な予算や人件費を投じることもあって、リスクを負わず、多くのひとが欲しいものを作ることを目指す傾向にあります。しかし、私が本来やりたかったネットと家電という分野は非常に小規模なマーケットにしか求められていませんでした。次第に自分の得意分野を生かす機会が少ないと感じるようになりました。

そこで、同業他社への転職も検討したのですが、どこも大きな変わりはなくネットを家電に生かせるとは思えなかった。ちょうどその頃はスタートアップの環境が変わっていて、私自身にも情報やノウハウも少しずつ蓄積されていました。起業のための勉強会やイベントに参加したり、スタートアップに携わる方々に直接お会いして自分なりのスタートアップのイメージを膨らませていきました。

そうするうちに、自分にはゼロから1の分野でやっていきたいと確信が持てるようになり、やるからにはとことんやるぞという気持ちで起業にいたりました。

カフェスペースのスタッフと談笑する岩佐さん
カフェスペースのスタッフと談笑する岩佐さん

「やりたいこと」は感じ取りトライすることで見つかる

ーやりたいことが分からない場合はどうすればよいでしょうか?

実はみなさん、自分がやりたいことはなんとなく分かっているのではないでしょうか。それに気づき、その方向に進んでみることでしょう。分からなければ、企業であらゆる経験を培いながら、自己投資して、自分がなにに関心を抱いているのかをじっくり考えてみるとよいと思います。

私の場合は、高校時代からゲームが好きで、インターネットを通じてオンラインで世界中のプレイヤーとゲームができることに魅了されました。それからずっとネットの世界に面白みを感じていまにいたります。

例えば、週末を使って好きなことでボランティアをしてみる。なにかにこだわってみる。なんとなくでもよいので惹きつけられることに趣味レベルでもよいのでやってみる。趣味を超えるポイントは意外とよくあるものです。もし無趣味で土日に寝るだけのひとでも、寝ることを趣味にして寝具や睡眠の仕方を極めたり、そうした取り組みをブログで発信してみることから始めるのも1つの方法でしょう。

 

ー岩佐さんご自身は、やりたいことを実現できているいまが一番楽しいですか?

家電業界の仕事は元々は消去法で選んだので、仕事が楽しいかと聞かれると正直分からないですが、やりがいはすごく感じています。

楽しいというより、向いているというのが正確だと思います。趣味だったものが仕事になっていったというイメージです。「好きこそものの上手なれ」と言いますが、好きなことには多くの時間を費やしても苦ではないので、もし挫折を味わっても後に生きてくると思います。

大変なことは増えましたし、会社の預金が残り数十万なんてこともありました。ただ、断言できるのは起業してからの方がストレスフリーに近づいたと実感していることです。自分が成功しているかは分からないですが、昔は「成功=たくさん売れる、たくさん稼ぐ」ことだったのが「成功=自分の個性を生かす仕事ができて結果がついてくること」に変化してきています。

やりたいことが分かっているひとには、その道に挑戦してほしいですね。スタートアップを選ぶにしても、リスクはほとんどないに等しいと思うので、好きなことがあってやりたいと思っているひとはやってみたらいいと思います。会社をつぶしてしまったとしても、ゼロから1にする仕事をするひとはまだまだ少ないので、その経験は社会で評価されると思いますよ。企業にとっても、経営者を経験した人材は魅力的ではないでしょうか。

岩佐さん自身も自分のやりたいことと常に向き合い考え続けています
岩佐さん自身も自分のやりたいことと常に向き合い考え続けています

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
不確実性と直観に学ぶ、これからの仕事選び
「キャリア」に変化が押し寄せている今、仕事を選ぶための「軸」をご紹介します。

[取材・文] 赤江龍介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

いいね!していただくと
最新記事をお届けします。

コメントを送る

関連する記事

テーマ一覧を見る

タグ

タグ一覧を見る