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INTERVIEW
先端技術を仕事に結びつける「5つの観点」 Amazon Echoで考える
INTERVIEW

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BOOK MARK

テスラの自動運転、ウーバーのライドシェア、アマゾンのスマートスピーカー・・・次々と生まれる先端技術の話題で、同僚や顧客と盛り上がることはあるでしょう。

しかし、そうした技術を実際に楽しんで使い、自分の会社での仕事に取り込んだことがあるという人は、そう多くないかもしれません。

そこで今回は、先端技術のトレンドを自分ゴトとして捉え、仕事に結びつけるためのヒントについて、今話題の「Amazon Echo」アプリの開発者である伊東知治さんにお話を伺います。

海外で話題沸騰、日本に今月上陸したスマートスピーカー「Amazon Echo」。音声AI(人工知能)を搭載し、話しかけるだけで音楽を再生したり、ニュースを読み上げたりしてくれる。「スマホを超えるイノベーション」とも囁かれる
海外で話題沸騰、日本に今月上陸したスマートスピーカー「Amazon Echo」。音声AI(人工知能)を搭載し、話しかけるだけで音楽を再生したり、ニュースを読み上げたりしてくれる。「スマホを超えるイノベーション」とも囁かれる

PROFILE

「Amazon Echo」アプリ開発者 伊東知治
伊東知治
「Amazon Echo」アプリ開発者
オランダ在住。アマゾン提供のスマートスピーカー「Amazon Echo」で動作するアプリを開発する数少ない日本人エンジニアとして活動、飲食店など顧客企業向けに開発支援を行っている。アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービス「AWS」のユーザーコミュニティ「JAWS-UG」の神戸支部も運営

先端技術を楽しめる人とそうでない人との「違い」

ー先端技術を楽しめる人とそうでない人との違いは何だと思いますか?

楽しめない、使わない人は心のどこかで「ダメなところを探している」んだと思います。

例えば、「Amazon Echo(以下、Echo)」のようなスマートスピーカーにしても、その呼び名から「AIによる音声アシスタントでこれからすごい時代がやってくる」的な過度な期待もあって。

でも、実際使ってみると「そうでもない」。Echoで最初に使う機能なんて、話しかけたら音楽をかけてくれる、電気を点けてくれる・・・そんなもんですし、聞き間違いだって多い。

そうなると、「なんだ、もうちょっと品質が良くなるまで待ってみよう」って、それはなりますよね。

「Amazon Echo」アプリ開発者 伊東知治

でも、先端技術を楽しめる人は、ちょっとダメなところがあっても気にしないんです。

今までそもそもなかったものだから、間違っているのがあたりまえ。間違ったり、批判されるくらいでないと「新しくない」って。Echoで言えば、「機械が自分の声を認識して動いてくれる」という体験がおもしろくて、どんどん突っ込んでいくと思うんですね。

例えば、自宅で家族と夕食を食べているときだって、音楽をかけていてボリュームを下げたいと思ったとき、だけど近くにリモコンがない。Echoなら「ボリューム下げて」って声で指示できる。

そして、使い続けていくうちにふと気づくんです。「声で操作する」ことって、スマホを手で操作する以上に実は人間にとって自然なことなんじゃないか、これまで ”わざわざ” スマホやリモコンを使っていたんじゃないか、と。

そんなふうに世界の見え方を変えてくれるから、先端技術を「楽しい」と感じる。

「Amazon Echo Show」に音楽を再生するよう話しかける伊東さん
「Amazon Echo Show」に音楽を再生するよう話しかける伊東さん

それに、使っているうちに「嬉しく」なってくるんですよ。自分の声の感じや会話の内容に合わせて受け答えを変えてくれるので、”機械” なのにだんだんと「愛着が湧いてくる」んです。

使えば、頭ではなく「五感で」ビジネスの可能性に気づける

ーそれまで先端技術に接する機会の少なかった人が関心を持てるようになるには?

先端技術を仕事に結びつける「5つの観点」

ビジネスパーソンだったら、先端技術を単なる「製品」ではなく「エコシステム」と捉えてみると、それが持つインパクトの大きさに気づけるかもしれません。どういうことかーー。

例えば、アマゾンはEchoという製品だけでなく、開発環境をセットにしたエコシステムを提供しています。その開発環境を、世界中のアマゾンの社員「ではない」エンジニアたちが自発的に使い、ものすごいスピードでアプリを生み出している。

ユーザーはそれらのアプリを使うことで、生活がどんどん便利になっていく。すると、エンジニアたちはそのエコシステムにさらに巻き込まれていき、アマゾンのサービスをより頻繁に使うようになる・・・ このサイクルの結果として、アマゾンが勝手に成長する仕組みになっているんです。

大切なのは、エコシステム。極論すれば、Echoという製品自体は売れなくてもいいんです。

さらにビジネスとしておもしろいのは、グーグルやアップルが「Google Home」「HomePod」という同じようなユーザー体験を提供するデバイスで追随しようとしているところ。

スマホ時代は彼らが勝ち組でしたが、これからはアマゾンが「人びとのことを最もよく知る企業」になるかもしれない。このようにエコシステムに着目すると、いち製品を超えて関心を持ちやすくなるのではないでしょうか。

「Amazon Echo」アプリ開発者 伊東知治

ただ、こうしたビジネスの観点はかならずしも頭で考えて思いついたわけではなく、自分で買って使ったり、アプリを開発したり、コミュニティでいろんな方と話す中で「五感」で気づけたこと。論理は後づけ、と言ってもいいくらいなんです。

「会社」の枠にとらわれず「個人」だったらどう使いたいか?

ー実際に使ったからこそビジネスの実感を得られたということですね。

はい、まずは使ってみること。もしそれに躊躇しているとすれば、その人は先端技術に「完成品」を求めすぎているのかもしれませんね。

新しい技術や何か新しいことに出会うときには、だいたい「未完成品」なんです。言い換えればベータ版ですね。だから、間違ってるのが普通、バグがあるのが普通なんです。

昔、グーグルが検索ページのトップにずっと「BETA」をつけていて、「永遠のベータ版」なんて呼ばれたことも一時期ありましたが、世の中に完成品なんてあまりない。使ってみて、少しくらいダメでも気にしない。むしろフィードバックしてあげるくらいでちょうどいい。

特に普段の仕事で、常に完成品を作ることを求められる文化に身を置いている人は、新しい技術を見て、少し体験しただけでダメなレッテルを貼ってしまって、「自分だったらどう使うだろう」と新しいことを発想するのは難しいのではないかと思います。

そのスタンスを変えていくには、自分が今いる「会社」や「仕事」という枠を取っ払ってみること。「生産性を高めたい」という関心ゴト、「社外でこんなことに挑戦したい」という好きなことなら、もしかしたらEchoだって使いようがあるかもしれませんよね。

「今の仕事に必要だから」「会社で上司に言われたから」ではなく、視点を会社の外へと向け、「個人としての軸」「社会としての軸」で先端技術を眺めることで、結果的に会社の仕事と結びつくことだってあるはずです。

Amazon Echo

最後に、もし先端技術を使ってみたなら、その楽しかった体験を社内でもSNSでもブログでもなんでもいいので、自分以外の人とシェアすることが大切です。

私の場合は、「みんなも使ったらきっと楽しい」、その気持ちだけで勉強会を開催するなど発信し続けていたら、新しい仕事にもつながっていきました。

「”にわかファン” の自分の感想なんて、他人に話すほどのことでもない」という人もいますが、発信すれば少なからず誰か見てくれています。それはかならず、誰かの役に立っているんです。

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[取材・文] 岡徳之

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