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INTERVIEW
一生学び、活躍し続ける人の「頭の中」は何が違うのか? 石川善樹さんに聞く
INTERVIEW

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BOOK MARK
情報の過多が現代のビジネスパーソンの脳の健康を損ね、パフォーマンスを低下させている。

いまビジネス界で話題の予防医学研究者、石川善樹さんはそう談じます。ビジネスにおいて武器となりうる「情報」は、実は諸刃の剣なのでしょうかーー。

成果を出すビジネスパーソンが、情報におぼれることなく効率的に学習し続けるための脳の作り方についてお話を伺いました。

予防医学研究者 石川善樹

PROFILE

予防医学研究者 石川善樹
石川善樹
予防医学研究者
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科を卒業、米国ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。専門は行動科学、計算創造学、計算社会科学など。ビジネスパーソンを対象にしたヘルスケア、ウェルネスの講演、執筆活動を幅広く行っている。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣(プレジデント社)』『最後のダイエット(マガジンハウス)』『友達の数で寿命は決まる(マガジンハウス)』など

100歳まで生きる、だから人は学び続けなければならない

ーはたらく人たちの健康は、近年どのように変化していると見ていますか。

少し前までの日本人は国際的に見ても元気でした。例えば、「日本人はなぜ長生きなのか?」という有名な論文が1989年に出ているのですが、その著者であるイギリスのマイケル・マーモット教授は鋭い問いかけをしています。

日本人は、過酷で長時間の労働を強いられ、有給もほとんど消化できていないのに、なぜ健康でいられるのか? もし、イギリス人が日本人のようにはたらいたら、きっと高いストレスで体を壊してしまうだろう。

その理由について、マーモット教授は次のように推察しています。

イギリスと比べて日本では、労働者の会社に対する忠誠心が高く、また一人ひとりの労働者に対して管理職が思いやりをもって接している。

私はこのマーモット教授の指摘をみて、「あー、たしかに昔はそうだったんだろうな」とあらためて思いました。しかしバブル崩壊以降、よくご存じのように終身雇用制の崩壊、成果主義の導入をはじめ、はたらく環境がガラリと変わりました。その結果、疲れきったビジネスパーソンが増えてきたのです。

でもこれからの時代、ビジネスパーソンは疲れている場合ではありません。

 

ーなぜ、疲れている場合ではないのでしょうか。

日本人の寿命が延びてしまったからです。

すでに現在、女性の2人に一人、男性の4人に一人は90歳まで生きています。私たちの世代は、100歳まで生きることを前提に人生を考えなければならない時代を迎えています。

では、そのような人生100年時代に何が起こるでしょうか?

例えば、前回の東京オリンピック(1964年)の頃は、定年が55歳、平均寿命は70歳でした。しかし、寿命が延びるにつれ、55歳だった定年は65歳になり、じきに75歳まで引き上げられるでしょう。

このような話をすると、「いやいや、そんなにはたらきたくない・・・」とおっしゃる方も多いのですが、それはその通りで、今のままのはたらき方だとおそらく75歳まではたらける気はしないでしょう。しかし、最低限75歳まではたらこうと思うと、日々の仕事で疲れ果てている場合ではないといえます。

さらに別の問題もあります。

これだけ世の中の変化が激しい時代に、75歳まではたらこうと思えば、生涯を通じて新しい専門性を培い続ける必要が出てきます。

そのために、人は学習し続けなければなりません。その学習を支えるのは、疲れない脳です。脳を健康に保つのはもちろんのこと、ますます活性化させていく必要に迫られていくでしょう。

一生学習し、活躍し続けられる人は何が違うのか?

ーいくつになっても新しい専門性を培うには何が大事なのでしょうか。

おもしろい研究があります。それは学習が早い人の特徴について調べたもので、結論からいうと「その分野の第一人者に、気軽に連絡が取れること」だったのです。

理由は、同じ情報でも、人から直接聞いたほうが、本やネットで勉強するよりも効果が高いからです。それを示すアメリカの研究結果があります。

ミヤマシトドという鳥が、さえずりを「生の声」と「録音した声」でそれぞれ学んだ結果、「生の声」で学んだほうが学習は早かったそうです。人間も同じで、例えば「今でしょ!」の林修先生の講義を生で受けるのと、映像で受けるのとでは、生のほうが学習は早いのです。

 

ーほかに学習の上で工夫したほうがいいことはありますか?

そうですね。意外かもしれませんが、ときには情報を「入れない」ということも、学習を効率化する上では有効だと思います。

予防医学研究者 石川善樹

なぜ情報を「入れない」ことが成果を高めるのか

ーなぜ情報を入れないことが学習や仕事の効率化につながるのでしょうか。

これは私が留学したときに学んだことでもあるのですが、「うかつに勉強を始めてはならない」とよく言われました。なぜなら、情報を理解することにエネルギーを使ってしまうと、脳は疲れるし、せっかく理解してもすぐに忘れてしまうからです。

そうではなく、情報を入れる前に自分の中でイマジネーションを膨らませ、「これはこういうことなんじゃないか?」と不思議に思うことが大事だというのです。なぜなら、人間は不思議に思ったことは忘れないし、そのような不思議なり疑問なりを抱えた状態で情報を入れたほうが、結果として学習は早くなります。

さらにいえば、情報は少ない方が、ひらめきも起きやすくなります。というのも、情報がない状態では、論理よりも直感をはたらかせやすくなり、斬新なアイデアが浮かびやすくなるからです。

ー少ない情報のなかからビジネスを前進させる新しい発想を生み出す「クリエイティブ脳」は、どのようにして鍛えられるのでしょうか。(後編へ続く)

(後編)脳の仕組みを知ればひらめきは起こせる、「クリエイティブ脳」の作り方
https://mirai.doda.jp/series/interview/yoshiki-ishikawa2/

『疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座』(プレジデント社)

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
ハイパフォーマーだけが実践する、本当のマインドフルネスの活かし方
マインドフルネスのフレームと具体的なアクションをご紹介します。
https://mirai.doda.jp/theme/wellness/mindfulness/

[取材・文] 狩野哲也、岡徳之

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