サイバーエージェント子会社女性社長石田裕子さんに聞く、ワーキングマザーがキラキラはたらく秘訣

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サイバーエージェントの子会社として、女性限定のクラウドソーシングサービスを運営するWoman&Crowd(以下、ウーマンクラウド)代表取締役社長の石田裕子さん。

石田さんはサイバーエージェントのインターネット広告営業部門初の女性局長に在任中だった2008年に結婚し、第一子を出産。子育てをしながら総勢60名のチームを率いていました。その実績を買われ、スマートフォン向けAmebaプロデューサーに。そして、2013年にはオークションサービスを提供する子会社の社長に抜擢されました。

しかし翌年、第二子の産休中にサービスは終了し、子会社は解散。ほぼときを同じくして、担当役員から新会社の立ち上げの声がかかります。忙しい子育てと社長業をワークスタイルの工夫によって両立し、新会社では一社目の経験と予測できないことを楽しめるマインドセットを活かして周囲の期待に応え続ける石田さんーー。

そんな彼女に、ワーキングマザーが生き生きとはたらくための秘訣について伺いました。

株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長 石田裕子

PROFILE

株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長 石田裕子
石田裕子
株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長
2004年、株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業本部統括、スマートフォン向けAmebaプロデューサー、株式会社パシャオク代表取締役社長を経て、2014年9月に株式会社STRIDE(現・株式会社Woman&Crowd)を設立、代表取締役社長に就任。著書に『ワーク・ライフ・セルフの時代』

自分のなかに見えない壁を作っていた

ー第二子の産休当時の状況についてお聞かせください。

オークションサービスを運営する子会社をまかされていた頃に、第二子を出産して産休を取っていました。その間に担当役員から電話があり、「会社を解散する」と告げられました。

「社員には私(担当役員)から伝えようか?」と言っていただいたのですが、それが嫌で、何度も会社に足を運んで社員全員に事実を伝え、異動先の希望など一人ひとりと面談を重ねました。

あの頃は今まで頑張ってくれていた社員に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたし、それまでの経験を生かして活躍できる次のステージを準備してあげるところまでが私の責任だと思っていました。そんなときに、「新会社(ウーマンクラウド)の社長をやってほしい」という依頼がありました。

「さすがに新しい会社の話はちょっと待ってほしい」と言いました。「自分は新しい子会社の社長になるから、あとはどうでもいいや」とはなれなかったんです。

それからしばらくは心の中で折り合いがつかなかったのですが、あるとき、それまでの失敗をずっとひきずっていても、誰もハッピーではないと、気持ちが切り替わったんです。

 

ー「あるとき」というのは何かきっかけがあったのでしょうか。

ある役員から、「ビビるな」と一喝してもらったんです。

会社の解散という大きな失敗を取り返すために、「これ以上失敗しないように」と臆病になっている自分がいました。大胆な決断をせず、小さくまとまろうとしてしまっていたんですね。

そのことに気づき、失敗をひきずっていたネガティブな気持ちを吹っ切って、新しい事業に真正面から向き合えるようになりました。

誰も予測できないことを楽しむ

ーそれから仕事の取り組み方で何か変化はありましたか?

二人目の子どもが生まれる前までは、とにかく最短で、効率的に目標に到達しようと常に考えていました。

しかし、その仕事のスタイルを続けていると、無駄なものから生まれるよさあえて遠まわりをするよさを見落としているのでは、と感じるようになりました。Amazonで本を買うのではなく、わざわざ書店に足を運ぶことで生まれる偶然の出会いのようなものです。

なぜなら、社長は決断することが仕事ですが、自分の決断が過去の経験に基づいたワンパターンになっている気がしたからです。

子育てのリズムに慣れてきたことや、会社の合宿を通じてこれまでショートカットしていたあらゆる選択肢の可能性について考える余裕が出てきたことが、スタイルをあらため、予測できないことを楽しめるようになったきっかけになりました。

 

ー「ワーキングマザーだからここはまわりには頼れない」と自分にブレーキをかけることはなかったですか?

むしろまわりに声をかけられずにいることばかりでした。仕事を人に振ること自体苦手だったし、今でも作業を切り出して依頼せず、自分でやってしまっている場合もあります。

しかし最近では、自分一人ですべて抱えてしまうよりもチームで分担したほうがパフォーマンスを最大化できる、だから頼れるところはどんどんメンバーに頼って、チームの成果を上げることを重要視するようになりました。

 

ー上司もワーキングマザーに対してブレーキをかけてしまう場面がありそうですね。

そうですね。しかし、上司もワーキングマザーに対して、「配慮」はしても「遠慮」はしなくていいかなと。家事も育児もすべて代わってあげられるわけではないので、少しでも仕事がしやすい環境を作り、その上で障害となっていることを取り除いてあげるようにしたらいいと思います。

ウーマンクラウドでは会員に対してよくアンケートをとるのですが、「会社として応援してくれる雰囲気がある、なし」が、仕事を続けられるか否かの判断につながっているという回答が多いんです。だから、ワーキングマザーには、復帰してからこそその活躍を応援し、チャンスをあげるべきだと思います。

 

ー最後に、まわりから応援してもらうためにワーキングマザーが心がけたいことは?

自分が結婚したら、出産したら・・・ と自分のイメージを膨らませて、まだぶつかる前から見えない壁をつくって萎縮してしまう人が周りにもいます。だけど、チャレンジするまえから二者択一で考えない方がいい。誰も自分の人生を予測できないし、計画を立てたとしてもその通りにはいかないですから。

ならば、自分の選択肢やキャパシティーを広げ、予測不能なことをもっとわがままに、逆に楽しんでしまえばいいのではと思います。そうやってワーキングマザーが楽しんではたらいている姿を見せていると、周囲ももっと挑戦してほしい、応援したいと思えるのではないでしょうか。

株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長 石田裕子

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[取材・文] 狩野哲也、岡徳之

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