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「学び方を学ぶ」学習を始める前に読むべき厳選本「5冊」
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学べば学ぶほど、また新しい何かを学びたくなるーー。これも「学習」の面白さの1つです。

しかし私たちの時間は有限です。「もっと効果的に、そして効率的にいろんなことを学べたらいいのに」。そう感じることのあるひとは、一度、「学習そのもの」について考えてみるのはいかがでしょうか。

この記事では、学習に関する本を5冊ご紹介します。学習を始めたり、継続するための「動機付け」、効率的に学習するための「アプローチ」、そして学習を促す「環境」について学べる本です。

今回の5冊は、本誌が「学習」をテーマに主催した50名を超えるワークショップの参加者が推薦した本から選ばれたもの。学習について等身大の悩みを抱え、解決の道筋を見いだした彼らが出会った大切な1冊を紹介していただきました。

『その幸運は偶然ではないんです!』J.D.クランボルツ著

『その幸運は偶然ではないんです!』J.D.クランボルツ/A.S.レヴィン著、花田光世/大木紀子/宮地夕紀子訳(ダイヤモンド)
『その幸運は偶然ではないんです!』J.D.クランボルツ/A.S.レヴィン著、花田光世/大木紀子/宮地夕紀子訳(ダイヤモンド)

スタンフォード大学教授で心理学の世界的な権威である著者のJ.D.クランボルツ氏は、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」というプランド・ハプンスタンス理論」を提唱しました。「その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこう」という考え方のことです。

この本では、クランボルツ氏の理論を体現する、自分のキャリアや人生の選択に悩みながらも道を切り拓いていった人たちのケースが紹介されています。彼らの姿と同氏の考察を通して、主に「キャリア」に関する新しい考え方を示す1冊ですが、その考え方は「学習」にも当てはまるかもしれません。

自分の目指す方向性に向かって動く過程や新たなひととの出会いに触発されて生まれた興味関心に素直に反応し、新たな学習のテーマを見つけるという動機付けの方法を知ることができる1冊。特に自分のキャリアや学習についてより柔軟になりたいと考える方にオススメです。

著者が提唱した「プランド・ハプンスタンス理論」に沿えば、日本人はアメリカ人と同様に目的合理的に生きるようなトレーニングばかりさせられています。もっと偶然やノイズなどを受容していけば新しい発見があるはずで、そこから学習の根源となる知的好奇心が生まれるはずなのです。この本は、その偶然性を大事にすることで結果としてキャリアを築けることを証明した本です。(30代・男性・NPO業界)

『弱者の兵法 野村流 必勝の人材育成論・組織論』野村克也著

『弱者の兵法 野村流 必勝の人材育成論・組織論』野村克也著(アスペクト)
『弱者の兵法 野村流 必勝の人材育成論・組織論』野村克也著(アスペクト)

元野球チーム監督の野村克也氏の著書です。「学習」というテーマで、同氏の著書が紹介されることを意外に感じたひともいるかもしれませんが、ワークショップの参加者の中には読んでピンときたひともいたようです。同じ本でも読むひとやタイミングによって受け取り方が異なるのは、とても面白いです。

この本には、名将「ノムさん」が考える、勝負に勝つための戦略や組織作りの神髄が書かれています。例えば、野村氏の天敵であり西鉄ライオンズ時代にバッティングピッチャーとして制球力を身につけた稲尾和久氏の姿に弱者が強者になるための戦略を見いだし、さらに彼を攻略すべく研究した過程が後の「ID野球」につながったというエピソードなどを紹介しています。

同氏が実践した「戦略的学習」を参考にされたい方にオススメです。

書籍のテーマは野球ですが、「凡人がプロの世界で戦うには戦略が欠かせない」「研究・学習が不可欠である」という視点は、スポーツに限らず普遍的な説得力があると感じました。私は大学の部活(漕艇部)でチーム作りを行う際に読み込みました。(20代・男性・鉄鋼業界)

『海馬ー脳は疲れない』糸井重里・池谷裕二著

『海馬ー脳は疲れない』糸井重里・池谷裕二著(新潮文庫)
『海馬ー脳は疲れない』糸井重里・池谷裕二著(新潮文庫)

コピーライターの糸井重里氏と、東京大学大学院薬学系研究科教授で薬学博士の池谷裕二氏による、脳の記憶を司る部位である「海馬」をテーマにした対談をまとめた書籍です。

「年を取ると脳が衰えて物忘れが激しくなる」こうお考えのひとは少なくないと思いますが、池谷氏によるとこれは迷信なのだそうです。むしろ、年を取ると脳の使い方が変わって脳細胞のシナプスのネットワークがより密になり、知識と知識を組み合わせて新しい発想を生み出すことがますます可能になっていくのだとか。

このほかにも、海馬のそばにある「扁桃体」という部位が好き嫌いの感情をつかさどっており、海馬がその感情を参照しながら情報を選び取るなど、一般にはあまり知られていない脳の働きが糸井氏ならではのアプローチで分かりやすく明らかにされていきます。

脳を使いこなして学習の効率を上げたいと考える方にオススメです。

「学び」を考えるにあたり、記憶のメカニズムを科学的なアプローチで理解しておくと参考になると思っています。対話形式でさらっと読めるのにためになる本でした。(30代・女性・マーケティング業界)

『知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ』中原淳著

『知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ』中原淳著(英治出版)
『知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ』中原淳著(英治出版)

東京大学大学総合教育研究センター准教授で、経営学習論・組織行動論が専門の著者は、「大人のための学び場」として組織や人材に関する話題を扱う講演会形式のセミナーを長年開催してきました。現在は開催されていないようなのですが、定員200人に対し、なんと約4倍の応募者を集めたこともある人気の会なのだとか。

その人気の秘密は、著者が行う「学びの理論」に基づく計算を施した場のデザインです。場にダイアローグ(対話)やリフレクション(内省)などのプログラムを組み込むことで、参加者が新しい考え方やモノの見方を獲得し、物事に主体的にかかわり続けることを促すそうです。

組織やチームで学ぶことで、大人の学習をより効果的にする「環境」を作りたいとお考えの方にぴったりでしょう。ちなみに中原氏は新しい著書も出されています。あわせてお手にとってみてください。

「大人の学びを科学する」という中原教授のテーマが、「学習」というテーマにまさにハマると思いました。(30代・男性・IT業界)

『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』パメラ・ドラッカーマン著

『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』パメラ・ドラッカーマン著、鹿田昌美訳(集英社)
『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』パメラ・ドラッカーマン著、鹿田昌美訳(集英社)

最後は、「子育て」を題材に、部下など第三者の学びを促す術について考えさせられる1冊。3児の母親でもあるパリ在住の元ジャーナリストが、「フランス流」の子育てを観察分析し、その秘訣を紹介しています。

フランス流の子育てを一言で表すならば、子どもを「小さな大人」として扱うということ。例えば、赤ん坊が泣き始めたときも、すぐに抱っこしたりはしません。赤ん坊が泣くのは2時間間隔の睡眠サイクルをつなげようと学習しているからであり、それを邪魔しないためなのだそうです。書籍ではこの他にも、日本人にとってはユニークな子育て法が挙げられています。

ワークショップ参加者の中には、この本を読むうち、大人の第三者の学びを促すための条件を見いだしたひともいたようです。

「学習」は日常に転がっていて、人にとってすべての体験が学習の機会になり得ます。幼い子どもの体験は親が提供できる余地がたくさんあるため、親の役割が重要になります。この時期、親は子どもに学んでほしいことを定義し、それを学習する機会を作ることができます。子どもが成長して子どもの世界が広がるにしたがって、親が「教育」を提供できる余地は狭まっていきます。そして大人になると主導権は本人に移行し終わります。大人にとって、学ぶべきテーマの設定とその機会作りは自律的な営みになります。第三者が大人の学習に影響を与えるためには、基本的に本人の同意が必要になります。供給者目線は通用しません。(30代・男性・金融業界)

いかがでしたか。学習の「動機付け」「アプローチ」「環境」について見識を広げ、学習の効果や効率を高めたいという方は、次の学習を始める前に、ここで紹介された書籍をお手にとってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
変化の時代の必須スキル 〜「5分で分かる学習好きの作り方」
変化の激しい時代に「学習」の目的やプロセスはどのように設計すればよいのでしょうか。

[文] 岡徳之

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