新規事業を成功に導く―ためになるノウハウが詰まった厳選本5冊

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歴史上、ビジネス環境が変化するスピードがもっとも速く、グローバル規模での戦いを強いられる現代。新規事業を成功に導くために乗り越えなければならない壁はとても多いです。そうした背景を受け、本誌では「新規事業のつくりかた」をテーマにしたイベントを開催しました。

イベントには、大企業やベンチャーで新規事業を経験してきたビジネスパーソン、その道のスペシャリストら約50名が集いました。本記事では、そうした参加者が推薦した新規事業に関する書籍の中から、編集部が厳選した5冊をご紹介します。

『リーンスタートアップ』エリック・リース 著

『リーンスタートアップ』エリック・リース 著、井口耕二 翻訳、伊藤穣一 解説(日経BP社)
『リーンスタートアップ』エリック・リース 著、井口耕二 翻訳、伊藤穣一 解説(日経BP社)

イベントに参加した複数の方が推薦する一冊です。

「リーンスタートアップ」とは、始めから完璧な事業やサービスを生み出そうとするのではなく、たたき台のようなものを作り、それに対して顧客やユーザーからフィードバックをもらい、それに応えるプロセスを重ねることで、市場のニーズと事業とのミスマッチをなくそうとする事業開発のアプローチのこと。

このアプローチを提唱する著者のエリック・リース氏は、自身も起業家として活躍し、講演などでスタートアップや大企業、ベンチャーキャピタルに対して、事業戦略や製品戦略のアドバイスをしている人物です。

素晴らしいアイデアや仲間を持ってしても、事業が思い通りに進まないことはあり得ます。事業の将来の地図を描くだけでなく、市場の変化を敏感に捉えるためのコンパスを備えたいという方にお薦めです。

ユーザー目線を徹底することで新規事業成功確率をあげる本だと思います。会社の中でスタートアップをしていてとてもためになっています(30代・男性・コンサルティング業界)

『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略』三宅孝之、島崎崇 著

『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略』三宅孝之、島崎崇 著(PHP研究所)
『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略』三宅孝之、島崎崇 著(PHP研究所)

前出の『リーンスタートアップ』が事業開発に関わるものだとすれば、本著は組織戦略をテーマにしています。

著者ふたりは、事業創造型のプロジェクトを多数手掛けてきた経営コンサルティング会社ドリームインキュベータの執行役員。その二人である三宅孝之氏と島崎崇氏は「ビジネスプロデュースの肝は、社会的課題を取り込み、それを解決する形での業界を超えた構想を描き、その実現に向けた仲間づくりをして連携していくということに集約される」と語ります。

同氏らがそれを担える人材であるビジネスプロデューサーを輩出していくことを目的として、その方法論の全容を記した一冊です。

イベントで展開された議論と重なる指摘もあり、もう一度読み返してみたくなりました。イベントで飛び出した「ちょっと不幸」なリーダー像の話と「二番手に任せる」というこの本の指摘が重なる気がします(40代・男性・通信業界)

『燃えよ剣』司馬遼太郎 著

『燃えよ剣』司馬遼太郎 著(文藝春秋)
『燃えよ剣』司馬遼太郎 著(文藝春秋)

前出の『3000億円〜』で触れた組織戦略の中でも、リーダーとともに組織の中心となって事業を推進していく「参謀役」について考えるきっかけを与えてくれる歴史小説です。

本書は、幕末の激動期に「新選組」を作り上げ、幕府に殉じて壮絶な生涯を生き抜いた「土方歳三」の人生を本筋で描いたもの。京都守護の会津藩の先兵として決行した、あの有名な池田屋襲撃のエピソードなども登場します。

土方は温和な性格で、仲間に対して我が子のように親身になって接し、周囲も自分の親のように感じて接していました。また、頭がよくキレ、新選組の近代化にも貢献しました。一方で、武士道精神へのこだわりは人一倍強く、組織の進むべき方向性、軸を保ち続ける役割を参謀役として果たしました。

No.1とNo.2の役割の違いが明確に書かれており、新しく開発した事業を大きくするために必要な考え方が分かる(30代・男性・教育業界)

『理不尽な進化:遺伝子と運の間』吉川浩満 著

『理不尽な進化:遺伝子と運の間』吉川浩満 著(朝日出版社)
『理不尽な進化:遺伝子と運の間』吉川浩満 著(朝日出版社)

多くの企業のマネジメント層が苦心しているであろう、新規事業を成功に導くための「環境」「場作り」に関する一冊。

生物学とビジネスを結びつけるという著者のユニークな視点で書かれており、進化論においての生存者と絶滅者の事例から、これから生き残っていくための組織作り、課題解決集団のヒントをくれる、哲学的な内容です。

進化論が好きで本書を手に取るのもいいが、進化論をノーマークだったひとにこそ薦めたいと思う。「この時代をどう生きていくべきか」という哲学的な問いに対する、一つのアイデアをもらった(20代・男性・ベンチャー)

『ビジネスモデルの教科書: 経営戦略を見る目と考える力を養う』今枝昌宏 著

『ビジネスモデルの教科書: 経営戦略を見る目と考える力を養う』今枝昌宏 著(東洋経済新報社)
『ビジネスモデルの教科書: 経営戦略を見る目と考える力を養う』今枝昌宏 著(東洋経済新報社)

最後は、新規事業の具体的なハウツーの参考書で締めたいと思います。大企業を中心に生み出され、業界のスタンダードとなっているようなビジネスモデルを知見として参考にするのに活用してほしい一冊。

企業に持続的に利益をもたらす儲けの仕組みともいえる、31パターンのビジネスモデルを厳選し、100社以上の実例や図解ともに紹介しています。著者は、企業の事業分析や経営コンサルティング業務に多く携わってきた人物です。

事業にはその業界ごとに「当たり前」が存在するので、他の業界や他の仕組みを知るとその業界にとっての「新規事業」が生まれます(30代・男性・ベンチャー)

他にも隠れた名著続々

イベント参加者からはこの他にも、たくさんの参考書籍が推薦されました。

究極のV字回復シナリオ どこまで墜ちた企業を救えるのか

H. ミンツバーグ経営論

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

民主化するイノベーションの時代

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方

企業参謀

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ハーバード流交渉術

アメリカ型成功者の物語―ゴールドラッシュとシリコンバレー

プレイフル・シンキング

あのヒット商品のナマ企画書が見たい!

愚直に積め!―キャピタリストが語る経営の王道・99

挫折力―一流になれる50の思考・行動術

いかがでしたか。まずはご自身の関心と重なる一冊をお手にとっていただければと思います。書籍を読んでいく過程で「新しい挑戦」を前向きに捉えながら、事業展開の肥やしとしてくださることを願っています。

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[文] 赤江龍介

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