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長時間労働がなくなった後は? 未来の働き方を予見するビジネス書5選
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「長時間労働」が社会問題として取り沙汰され、残業や休日出勤をなくすための取り組みが職場で本格化しつつあると感じる方もいらっしゃるでしょう。

この長時間労働の問題、たしかに過労死の撲滅や企業の生産性向上といった喫緊の課題と紐づいていることは事実です。それらはかならず、解決しなければなりません。

しかし同時に認識しておきたいのは、今後、世界でスタンダードとなるであろう「新しい働き方」を実現するための第一歩として、この問題に取り組んでいるのだということ。

背景には、テクノロジーの進化や人間の寿命の伸び、それらによってビジネスの進め方が変わり、企業と個人の関係がよりフラット化していくことなどがあるのですが…。

はたして、これからスタンダードとなる「新しい働き方」とはいったいーー。今回は、それを予見し、正しくシフトしていくのに必要な知識を授けてくれる「5冊」をご紹介します。

ご紹介する書籍は、『”未来を変える” プロジェクト』が「長時間労働」をテーマに開催したイベントに参加したビジネスパーソン40名が推薦したものの中から厳選されたものです。

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著、池村千秋翻訳(東洋経済新報社)
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著、池村千秋翻訳(東洋経済新報社)

働き方改革に関心を寄せる、3名の読者が推薦された『ライフ・シフト』。冒頭で述べた、これからスタンダードとなる「新しい働き方」を大胆に定義し、大変話題となった一冊です。

著者は、ベストセラーとなったビジネス書『ワーク・シフト』や『未来企業』で知られる、経営組織論の世界的権威で、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンさんら。

彼女はこれから医療技術が発達し、人間はますます健康で長寿になる。日本でも、100歳以上の「センテナリアン」が2050年までに100万人を突破すると予測しています。

それに伴い、私たちのはたらき方、いや「人生」が変わります。これまでは「教育〜勤労〜引退」と単純だった人生が、特に勤労の前、勤労中、さらに引退後にも複雑化すると。

それに対応するためには、健康・スキル・人脈など「無形資産」も長い目で管理しなければならない。だから、一つの会社の中だけで、長時間労働で疲弊している場合ではないのです。

長時間労働がなくなった先に待つ未来の働き方を予見し、ぜひ一緒に備えましょう。

人生100年時代に、はたらき方が変わっていくことが説得力高く示されている(50代・男性・経営者)/寿命が伸び、社会保障システムに無理が生じている中で、旧来の人生モデルから新しい人生モデルにどうシフトしていくべきか、大変参考になる知見が得られます(20代・男性・コンサルティング業界)

『日本の未来を考えよう』 出口治明 著

『日本の未来を考えよう』 出口治明 著(クロスメディア・パブリッシング)
『日本の未来を考えよう』 出口治明 著(クロスメディア・パブリッシング)

『ライフ・シフト』で、今後、世界でスタンダードとなるであろう「新しい働き方」を知ることができます。では、今の日本は、はたして世界でどの位置につけているのでしょう?

それを知ることができるのが、このライフネット生命の代表取締役会長兼CEOで、ビジネス界きっての知識人、出口治明さんが書かれたこの一冊です。

本著は、「人口」「教育」「国際競争力」「女性」など、章ごとに異なる論点を取り上げ、信憑性の高いデータに基づいて、今の日本の状況をおさらいできる内容になっています。

例えば、働き方改革に直接的に関わる「国際競争力」と「女性」の章から一部を抜粋してみます。

世界が「時短」に向けて動く中、日本のフルタイム労働者の労働時間は1994年からほぼ横ばい。一方、労働生産性はOECD加盟国34カ国中22位、G7の中では最下位。この「無駄」な労働時間の原因は、「いまだに根拠なき精神論がまかり通っていること」と断罪しています。

WEFの男女平等ランキングで、日本は世界142カ国中104位。ビジネス界では、女性取締役の比率がヨーロッパでは15%を超えるのが当たり前となっている中、日本は「1.1%」。社会を効率化するために女性の活躍は必要不可欠なはず、いかに冷遇されているかが分かります。

日本の労働時間や社会保障、医療など、あらゆる分野に関するOECD諸国の平均値がまとめられています。「OECD平均」という数値やデータを意識することで、不明確やあいまいだった主張に説得力を持たせることができるでしょう(30代・男性・メディア業界)

この読者の推薦コメントにもよく表れていますが、働き方改革のビジョンをより具体的に描く際にはぜひ手元に置いておきたい「使える」一冊です。

『労働時間革命』 小室淑恵 著

『労働時間革命』 小室淑恵 著(毎日新聞出版)
『労働時間革命』 小室淑恵 著(毎日新聞出版)

『ライフ・シフト』的、未来の働き方をあらゆる個人に行き渡らせるためには、まずはなんといっても長時間労働の問題を解決しなければいけません。多くの時間を職場で過ごす生活から解放されることで、自らの働き方と向き合う余裕が生まれるはずです。

そのための具体的な処方箋となり得るのが、企業の働き方改革を支援する株式会社ワーク・ライフバランスの代表、小室淑恵さんが書かれたこちらの書籍。小室さんがコンサルティングを実施し、労働時間を短縮して業績を上げた事例が満載です。

特に反響が大きかったのが、「愛知県警」の事例。仕事効率化の施策を話し合う会議を毎週開催。そこで、ホワイトボードを使った業務や休暇予定など情報の共有化といったアイデアが生まれ、「休めるときは休む」という意識も浸透していったそうです。

他にも、豊田通商、損害保険ジャパン日本興亜、JTB、さいたま市などの事例も。「長時間労働は勝つための手段ではなく、負けている原因」と説く小室さんのノウハウを、この本から盗んでください。

労働時間を削減し、業績を好転させることは可能であることを証明してくれている(20代・男性・ベンチャー)

『「好きなこと」だけして生きていく。』 心屋仁之助著

働き方改革が結実し、長時間労働から解放される過程で徐々に訪れるのは、この本のタイトルのとおり、『「好きなこと」だけして生きていく。』という、自由な生き方への原点回帰なのかもしれません。

19年間、会社員としてはたらき、今は心理カウンセラーとして活躍する著者が書いた一冊。

「“努力=報われる”ではない」「好きなように生きることに罪悪感を感じる必要はない」「やりたくないことをやめる」「人に迷惑をかけたり、嫌われることを恐れない」など、好きなことだけをして生きていくために必要な「気の持ちよう」を伝えています。

「そうは言っても… お金の心配もあるし、人に嫌われたくないし…」、多くの方が、幼少期からずっと自分にかけられていた「呪縛」と向き合い、解きほぐしながら読み進めたようです。働き方改革 “後” に浸透するであろう、これからの「仕事観」にこの本で触れてください。

やりがいを感じることだけをしても生きていける。むしろそっちのほうが生産性は高まる。しかし、そのためには覚悟が必要だという本。やりたくないことをし続けている人が、それを止める勇気が湧く本です(20代・女性・ベンチャー)

『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著

『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著、枝廣淳子 翻訳(英治出版)
『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著、枝廣淳子 翻訳(英治出版)

近い将来、働き方がフレキシブルになったとしても、時代の変化が激しいことに変わりはありません。手持ちのスキルはすぐに陳腐化してしまいます。ですから、個人はもちろん、「組織」も常に学習し続ける必要があるのです。

そんな「学習する組織」の作り方を体系的に理解できるのが、MIT上級講師で、「学習する組織」という理論を世に広めたピーター・M・センゲ氏が書いたこの本。センゲ氏いわく、学習する組織を構成するのは、次の5つの要素。

  • 自己マスタリー:ビジョンを達成するために絶えず自己研鑽を続けているか
  • 共有ビジョン:自分と組織のビジョンを切り離すことなく捉えられているか
  • システム思考:組織という生命体の成長を抑制するパターンを見抜いているか
  • メンタルモデル:行動に影響を与える自らの固定観念を内省し改善しているか
  • チーム学習:対話を通して学習を引き出し、個人の力を総和を超えられているか

働き方改革と同時に、チームの「学習する組織化」も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

「学習する組織のつくり方」に関する記事はこちらです。

他にもお薦めの「働き方改革」本、多数

*カッコ内は推薦者のコメントです。

  • 『非属の才能』山田玲司
  • 『夜間飛行』サン・テグジュペリ
  • 『仕事は楽しいかね?』デイル・ドーテン
  • 『生産性ーーマッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』伊賀泰代
  • 『自分の時間を取り戻そうーーゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』ちきりん
  • 『ソーシャルインパクトー価値共創(CSV)が企業・ビジネス・働き方を変える』玉村雅敏、横田浩一、上木原弘修、池本修悟
  • 『日本の伝統』岡本太郎(日本の文化は暗黙知の部分が強く、その知を記しているのがこの本。マネジメントの観点と合わせて再読したい)
  • 『ワーク・シフトー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』リンダ・グラットン(仕事に対する考え方を疑うきっかけになった)

ビジネスパーソン40名の推薦書籍、いかがでしたか。気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
▼「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?
https://mirai.doda.jp/theme/essence/move-vs-stay/

[文] 岡徳之

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