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心理学が明らかにした、人生の成功を左右する力「GRIT」を正しく知る推薦書5冊
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人生の成功を左右する、最も重要な能力とはいったい何でしょうーー。適応力や創造力などさまざまな能力を思い浮かべたのではないでしょうか。

それらの能力は重要であるかもしれませんが、最新の心理学研究によって「GRIT=やり抜く力」が最も重要であるかもしれないことが分かってきました。

本記事では、この「GRIT=やり抜く力」に関わる、読者推薦の名著を5冊紹介します。GRITの真の意味を理解し、それを実践する助けとなるはずです。

『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』

『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース 著、神崎朗子 訳(ダイヤモンド社)
『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース 著、神崎朗子 訳(ダイヤモンド社)

「GRIT」のコンセプトを世に広く知らしめ、自身もこのGRITによって人生を開拓してきたアンジェラ・ダックワース教授。

中国系移民の子どもとして米国で生まれ育った彼女は、小さいころから父親に「おまえは天才じゃない」と言われ続けてきました。しかし、自分の力を信じ、やりたいことへの情熱を傾けてきた彼女は、ハーバード大学、オックスフォード大学と世界のトップ大学に進学、その後ペンシルバニア大学の心理学教授となります。

さらに2013年には、研究活動が評価され「マッカーサー賞」を受賞しました。別名「天才賞」と呼ばれるマッカーサー賞は1981年から毎年実施される賞で、自身で応募したり、友人・同僚から推薦されて選出されるものではありません。匿名の選考委員が各分野の第一人者たちと協議し、創造的で社会的意義の高い活動を行っており、将来非常に有望とされる人物を選びます。

受賞理由は、人生で何を成し遂げられるかは「生まれ持った才能」ではなく、「情熱」と「粘り強さ」によって決まる可能性が高いと突き止めたことが評価されたからでした。父親に「才能がない」と言われながらも、「情熱」と「粘り強さ」で自分のやりたいことを徹底的にやり抜き、天才賞を獲得した彼女の人生そのものが、その主張を裏づけているといえます。

通常「やり抜く力」と聞くと、短期的なタスクやKPIの達成について考える人が多いかもしれませんが、ダックワース教授がこの本で伝えたいメッセージは、「人生」というより広い視点で何を成し遂げたいのか、それを成し遂げるために必要な力がGRITなのだと捉えることができます。

この本では、GRITを身につける「重要な4つの要素」が紹介されているので、それを普段意識・実践することでやり抜く力を高めることができるかもしれません。その4つの要素とは、「興味」「練習」「目的」「希望」です。

興味とは「ちょっと面白そうだな」と思うことであれば、なんでもやってみて、そこにさらに深い関心・興味を醸成することです。そして、興味が出てきたら、繰り返しの練習を通じてその分野の知識・スキルを積極的に掘り下げていきます。繰り返しの行動を続けるなかで、目的を明確にし、もし挫折を体験したなら、希望を持って現状を打開します。

本のなかでは、GRITの重要性やその要素が説明されているだけでなく、プロスポーツ選手などへのインタビューも紹介されています。そうした事例でイメージを膨らませ、GRITを高めていくこともできるでしょう。

『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』

『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』井関利明、山田眞次郎 対談(学研パブリッシング)
『思考 日本企業再生のためのビジネス認識論』井関利明、山田眞次郎 対談(学研パブリッシング)
「盲目的に組織の仕事に取り組む力がGRITである」と誤解されているかもしれませんが、そうではない。そのことを、この本に登場する「アメリカの軍隊は、実は純粋なピラミッド型の組織ではない」という話で思い出しました(30代・男性・コンサルティング業界)

GRITとは人生で成し遂げたいことをやり抜く力。一方、過去の社会においては、組織内の1つのパーツとして、与えられたタスクを一心不乱に取り組むことが、GRITと捉えられていたふしがあります。

この本では未来志向のビジネスに至るには3つの段階があると示されています。それらの段階を知ることで、真のGRITについて明確なイメージができるようになるでしょう。

第1段階は、高度成長期のモノをどんどん作ってより良い品質に高めていく段階。第2段階は、モノにブランドやサービスを付加し顧客満足を増加させる、モノからコトへと呼ばれる段階です。

そして第3段階が、提供者がモノやサービスを一方的に考え、作り、提供するのではなく、提供者と受給者が対等な立場で交流し進化させながら取り組んでいく創発の段階とされています。

モノは飽和し、サービス過剰といわれる時代になったいま、私たちが目指すのはこの第3段階であることは間違いないでしょう。

この本は、時代が大きく変化しているのなかで、組織内のタスクを盲目的に推し進めるのではなく、社会的に意義があり、自分の人生を豊かにすることを見つけ、それをやり抜くことが重要だということを示唆しているように思えます。

『沈黙』

遠藤周作の『沈黙』で描かれるポルトガル人司祭ロドリゴは、真の「GRIT」の実践者と言えるかもしれません。「探索型、探求型」のGRITの持ち主で、シュンペータが提唱するイノベーションの2要素である「新結合と継続」を実践した人物です(50代・男性・商社)

GRITを自分のものにするには、ロールモデルを見つけ出し、GRITのイメージを膨らませてみるのも1つの手段かもしれません。

遠藤周作 著『沈黙』で描かれているポルトガル人司祭ロドリゴはまさにそのGRITの持ち主として参考にすることができます。創作されたストーリーですが、日本の史実・歴史書を基に書かれており、その当時の臨場感を味わうことができます。

ストーリーの大枠は、島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴが、キリシタン弾圧を目の当たりにし、裏切りにより背教の淵に立たされるというもの。

神と信仰の意義を命題に書かれた本著は、苦悩、葛藤し、背教の淵に立たされながらも、そこから自分が信じる神の教えの意味を理解したロドリゴの心の内をダイナミックに描写しています。

遠くポルトガルから日本にやってきたロドリゴ。挫折に直面しながらも、自分が成し遂げたいことへの意識を強め、それをやり抜く。GRITロールモデルの1人として参考にできるのではないでしょうか。

『裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記』

『裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記』 山口絵理子 著(講談社)
『裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記』 山口絵理子 著(講談社)
自分が知る、最高にGRITの高い人(30代・男性・NPO)

GRITのロールモデルについて、同世代の日本人であればより親近感が出てイメージしやすいかもしれません。

1981年生まれのマザーハウス代表、山口絵理子さんは「フジサンケイ女性起業家プロジェクト2006」最優秀賞受賞や内閣府の「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」に選出されるなど、国内外で活躍する女性起業家です。

小学校時代にはいじめに遭い、中学校ではその反動で非行に走ったといいます。しかし、柔道に出会い更生、高校時代には「男子柔道部」に唯一の女子部員として所属し、全日本ジュニアオリンピックでは第7位となるほどの活躍を見せました。

高校卒業後は慶應義塾大学に進学。米州開発銀行でのインターンなどを経験するなかで、開発途上国の貧困問題に興味を持つようになります。

自分に何ができるのだろうかと問い、行き着いた先はアジア最貧国といわれているバングラデシュでした。そこで、現地の人たちが貧困から抜け出し、自立できる支援をしたいとカバンの製造工場を立ち上げます。

人生の目的を見つけ、情熱と粘り強さで自分の人生を切り開く、真のGRITを持つ日本人といえるでしょう。人生に意義を与えるために何をしたいのか、迷っているひとに刺激を与える1冊となるはずです。

『モチベーション3.0』

『モチベーション3.0』 ダニエル・ピンク 著(講談社)
『モチベーション3.0』 ダニエル・ピンク 著(講談社)
人間のモチベーション研究の先端を知ることは、GRIT力の向上につながるはずです(30 代・男性・ベンチャー経営者)

最後に紹介したいのは、ダニエル・ピンク著『モチベーション3.0』です。

文字通りモチベーションについて書かれた本ですが、モチベーションのメカニズムを理解することで、やり抜く力を養う助けとなるはずです。

この本ではモチベーションを3つに分類。生存や安心を目的とする動機づけを「モチベーション1.0」、アメとムチによる外的な動機づけを「モチベーション2.0」、そして自分の内面から湧き出るものによる動機づけを「モチベーション3.0」と定義しています。

モチベーション2.0は、20世紀によく見られたルーティン型ワークで効果を発揮したとされていますが、創造性や自発性が求められる21世紀型ワークでは、有害になる場合が多いとされています。

現在、ルーティン作業の多くはロボットやコンピューターに置き換えられ、人間は高度な知的業務に携わることが増えてきています。そこで求められるのは、創造性や独自性であり、それらを促進するのが内発的な動機づけという考えです。

モチベーション3.0を構成する要素は、タスク・時間・テクニック・チームを自分で決める自律性、自分にとって意味のあることを上達させたいという熟達の意思、自分の仕事や取り組みが誰の何に役立つのかという目的意識です。

内発的動機づけというコンセプトは、真のGRITに必要となる人生の目的を考え明確にする上で、役に立つのではないでしょうか。

その他の推薦書籍

※カッコ内は推薦コメント

  • 『ソクラテスの弁明・クリトン』 プラトン 著
  • 『意思決定の理論と技法―未来の可能性を最大化する』 籠屋邦夫 著
  • 『海賊と呼ばれた男』 百田尚樹 著(主人公がまさに高GRITでビジョナリー人材)
  • 『組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』 加藤洋平 著
  • 『チェンジメーカー〜社会起業家が世の中を変える』 渡邊菜々 著(「社会を変える」というビジョンはブレず、それでいてそのための方法が柔軟な社会起業家たちはたくさんいます)

やり抜く力「GRIT」について、それが本当に意味することを考えるための5冊を紹介してきました。気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?

[文] 細谷元

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