ログインして記事ブックマーク、コメント投稿などすべての機能を使う。

close

LIBRARY
「ICO」の浸透で私たちの生き方はどう変わるか? 読者推薦の4冊から考える
LIBRARY

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

最近、さまざまなメディアを賑わしているキーワード「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」。ビットコインなど仮想通貨を介した新しい資金調達手段のトレンドとして説明されることが多いと思います。

しかし、ICOは単なるトレンドやバズワードではなく、時代の根底的な変化を示す象徴的な事象として捉えたほうがよいかもしれません。

本記事では、このICOを切り口として、時代がどう変わっているのか、そしてICOや仮想通貨を活用して、この時代をどう生きていくのがよいのか、4冊の読者推薦の名著を紹介しながら考えてみたいと思います。

『評価経済社会』

『評価経済社会』 岡田斗司夫 著(ロケット)
『評価経済社会』 岡田斗司夫 著(ロケット)

ICOや仮想通貨が注目される時代背景を考える上で重要な1冊です。著者の岡田斗司夫さんが唱える「評価経済社会」とはどのようなものなのでしょうか。

岡田さんによると、これまでの経済において生み出された価値観(合理主義、資本主義、民主主義など)は、いま新しい価値観に取って代わられようとしており、その価値観は「自分の気持ち」であるということ。これは「何がどれだけ自分に影響を与えるのか」に重きが置かれ、お金よりも自分に影響を与える人の評価が重要になるということです。

これまではモノやサービスは貨幣と直接交換されてきました。しかし評価経済社会では、「評価」を介してモノ、サービス、そしてお金が交換されるようになります。これはインターネットの普及がもたらした社会変化として考えることができます。昔は、モノやサービスの価値を「値段」で判断していましたが、いまでは値段だけでなくモノやサービスの「評価」もその価値を判断する基準になってきています。

ですから、個人に対する判断もこの「評価」が基準となってくるわけです。ある人は自身の評価を活用し、資金や人材などのリソースを集め自分のプロジェクトを進めることができるようになります。ICOは、評価経済におけるその資金集めの手段として非常に相性が良いのです。

評価の高い個人が、仮想通貨で資金を集め自分のやりたいことを実現する。これまでの銀行融資やベンチャーキャピタルからの出資とは異なる資金調達の手段。ICOは、時代の価値観が変化しているからこそ注目されるものなのかもしれません。

『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』

『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』 アンドレアス・M・アントノプロス 著、今井崇也、鳩貝淳一郎 訳(NTT出版)
『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』 アンドレアス・M・アントノプロス 著、今井崇也、鳩貝淳一郎 訳(NTT出版)
この一冊でブロックチェーンの技術的実態が分かります(30代・男性・IT業界)

先ほど、評価経済社会の台頭を背景に、個人が自己実現を叶えるための手段としていま注目されているのがICOだと説明しました。

そのICOの仕組みを支える技術をしっかり理解しておくことは、ICOをうまく活用していくために必要になってくるかもしれません。

『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』は、ビットコイン関連技術書の決定版と言われている『Mastering Bitcoin』の日本語版で、秘密鍵・公開鍵、ブロック、マイニング、トランザクションなどの基本概念を分かりやすく解説しており、仮想通貨やその根底にあるブロックチェーンについて理解を助けてくれる1冊となるはずです。

ビットコインだけでなく、イーサリアムやリップルなどいまや数多く登場し、多様化・複雑化する仮想通貨。ブロックチェーンという基本テクノロジーを理解することがより重要になってきています。

この1冊を読めば、ブロックチェーンのブロックとは何なのか、ビットコインのマイニングとは何をすることなのか、ビットコインの取り引きプロセスはどうなっているのか、などの疑問が解決されるでしょう。

『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』

『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』 家入一真 著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』 家入一真 著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ICO含め仮想通貨が社会にさらに広く深く浸透していったとき、私たちはどのようにライフスタイルを変えていくべきなのか。そんな、評価経済時代を生きるための指針を示した本です。

著者は、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を運営する家入一真さん。この著書では「グローバル経済や商業主義、会社、学校などの既存の大きな仕組みを『大きな経済圏』と呼ぶならば、個人レベルでつながりを持ち、支え合うコミュニティを僕は『小さな経済圏』と呼びたい。そして、この『小さな経済圏』こそが、何かと生きづらくなった現代で、新しい生き方の鍵を握っている」と語っています。

大きな経済圏が中央集権的な古いシステムをもとに成り立っているのに対して、小さな経済圏はインターネットや仮想通貨など分散型の新しいエコシステムと考えることができます。

例えば、ある人が個展を開きたいと思った場合、個展開催コストを賄うためにこれまでなら、自腹か、アルバイトで稼ぐか、金融機関から融資してもらうなどが考えられました。しかし、小さな経済圏では、クラウドファンディングなどを通じて資金を調達することが可能となります。

また、クラウドファンディングで出資してくれた人びとを個展に招待することもでき、個人間のつながりが強くなり、それが次のプロジェクトにつながることも考えられます。個展のほかにも、自分だけの特別レシピで料理を振る舞いたい、オリジナルの音楽を作りたい、アニメを作ってみたい、など小さな経済圏だからこそ個人レベルで実現できることは増えていきます。

大きな経済圏で生きることに違和感を感じた人だけでなく、小さな経済圏の可能性について知りたい人なら、一度は読んでみたい一冊です。

『9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために』

『9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために』 伊藤穰一、ジェフ・ハウ 著、山形浩生 訳(早川書房)
『9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために』 伊藤穰一、ジェフ・ハウ 著、山形浩生 訳(早川書房)

最後に紹介するのは、MITメディアラボ所長、伊藤穰一さん共著の『9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために』です。

ビジネスの「ゲームのルール」が激変し、イノベーション速度が加速する今を生き抜くための9つの原理が紹介されています。本書が説く現代の特徴は「非対称性」「複雑性」「不確実性」。これらの特徴が顕著となる時代において以下が生き残るために必須の原理となります。

  1. 「権威よりも創発(Emergence over authority)」
  2. 「プッシュよりプル(Pull over push)」
  3. 「地図よりコンパス(Compasses over maps)」
  4. 「安全よりリスク(Risk over safety)」
  5. 「従うよりも不服従(Disobedience over compliance)」
  6. 「理論より実践(Practice over theory)」
  7. 「能力より多様性(Diversity over ability)」
  8. 「強さより回復力(Resilience over strength)」
  9. 「モノよりシステム(Systems over objects)」

仮想通貨の広まりからも、時代が中央集権型システムから分散型システムへ変化しているのは感じ取ることができるでしょう。個が力を持つ時代であるからこそ、非対称性、複雑性、不確実性が高まっているともいえます。

一つ目の「権威よりも創発」をとってみても、それが仮想通貨時代を生き抜くヒントと合致することが分かります。

これまでの生産プロセスでは、大企業など権威が主導していましたが、現在はインターネットやICOを通じて権威なしに生産活動を行うことができるようになってきています。その生産活動には、多くの個人が自らの個性を持って参画するため、そこでは創発が起こりやすくなります。同時に、生産プロセスにおいて創発が求められる時代であるともいえます。

これら9つの原理が仮想通貨時代の生き方にどう当てはまるのか、じっくり考えてみるのもよいのではないでしょうか。

以上、読者推薦の「ICO」にまつわる名著4冊を紹介しました。

ICOへの注目の高まりは、人びとが自身の「評価」と、それを可視化して他人と価値交換するための「テクノロジー」を活かすことで、個人としてより活躍しやすい時代の到来を示しているようです。さらに深掘りしたい方は、気になった本からぜひ手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?

[文] 細谷元

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

いいね!していただくと
最新記事をお届けします。

コメントを送る