人脈作りの得意なビジネスパーソン40名が薦める、「使える」人脈本5冊

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みなさんは「人脈作り」にどのような意義を感じていますか。また、人脈が仕事の成果や人生の充実につながったと実感した経験はあるでしょうか。

『doda X キャリアコンパス(旧”未来を変える” プロジェクト)』では、この「人脈」をテーマに約40名の大企業やベンチャーで働く、主にマネジャー層の読者を集めた議論イベントを開催。すると・・・

「良い人脈」とは、別々の山を登っているように見えて、実は同じ目標を目指している人同士がつながることだ。

といった独特の「人脈の捉え方」や、

「何かをしたい」という情熱やビジョンの解像度が高まるほど他人に支持され、仕事の成果につながる人脈を築きやすい。

といった経験に裏打ちされた「人脈の築き方」など、興味深い観点がいくつもシェアされました。今回は、その参加者が推薦する人脈作りに関する書籍を厳選してご紹介します。

「人脈」はどうやって築かれる?『信頼の構造』

良い人脈を築くには、人脈が築かれる仕組みを知ることが助けとなるでしょう。それでしたら、世界の経営学の分野でも評価が高い『信頼の構造:こころと社会の進化ゲーム』がお薦めです。

筆者は人脈に関連する「安心」と「信頼」という2つのキーワードを取り上げ、日本的な「人脈」を次のように表現しています。「日本的な」と述べたのは、海外(特にアメリカ)とは捉え方が異なるからです。

「(日本のような)集団主義社会は安心は生み出すが、信頼を破壊する。(中略)安心が提供されやすいのは信頼が必要とされない安定した関係においてであり、(アメリカのように)信頼が必要される社会的不確実性の高い状況では、安心が提供されにくい」

つまり、日本の多くの企業のように、組織を構成する人びとが似ており、異質な人材の採用や意見の衝突など不確実な状況が起きにくい状況においては、人びとは信頼ではなく実は「安心」でつながっている。

一方、異質な人びとが集い、お互いを理解するためときには自らをさらけ出し、ときには相手が想定外の反応を見せるような不確実な状況においては、人びとは安心ではなく「信頼」でつながっているということ。

安心と信頼・・・これまで自分が築いてきた人脈はどちらに支えられているのか、何に支えられているのか。そして、今後はどのような人脈を築いていきたいのか、見つめ直してみてはいかがでしょうか。

最近は「ダイバーシティー」という言葉もよく話題に上がります。もしこれからはバックグラウンドの異なる人と交わる機会が増えるのであれば、「信頼」を重視した人脈構築へとシフトせざるを得ないのかもしれません。

人脈の価値を経済学者が計算した『幸せの計算式』

『幸せの計算式』 ニック・ ポータヴィー 著、阿部直子 訳(CCCメディアハウス)
『幸せの計算式』 ニック・ ポータヴィー 著、阿部直子 訳(CCCメディアハウス)

人脈がすぐに成果や充実につながることは滅多にありませんし、すべての人脈が有意義なわけでもありません。そんな確かに価値の見えにくい「人のつながり」が人びとの幸福度にどのくらい影響を与えるか、「計算」を試みたのがこちらの本。

本著のテーマがとても挑戦的であることから、著者の母国イギリスでも賛否両論が巻き起こり、大きな批判さえもありました。そのショッキングな計算結果の一部がこちら。著者が計算した、「相手の死別を慰められる金額」です。

  • 配偶者 約3,800万円
  • 子ども 約1,530万円
  • 母親 約270万円
  • 父親 約250万円
  • 友人 100万円
  • 兄弟姉妹 12万円

根拠の解説は本著に譲りますが、この計算結果を通じて著者が伝える重要なメッセージは、「人が感じる幸福度とは相対的なものであり、自分がどの程度の幸福(あるいは喪失することにより悲しみ)を感じられるかは人とのつながりに依存する」ということです。

これは、「自分がどの程度のお金を手に入れれば本当に幸福を感じられるのか」にも通じることです。つまり、たとえどんなに多くのお金を手に入れたとしても、自分とつながりのある人がより多くのお金を持っていれば人は満たされないのです。

人とのつながりは、ときに生きる活力を、ときには自己嫌悪など過度なストレスを生み出すもの。だとすれば、自分が求める幸福感と照らし合わせながら、これから築いていく人とのつながりの「質」に目を向けてもよいでしょう。

価値が分かりにくい人脈が人の幸せにどれくらい寄与するか、定量的に定義した本です(30代・男性・NPO)

成果につながる人脈作り『抜擢される人の人脈力』

『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』 岡島悦子 著(東洋経済新報社)
『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』 岡島悦子 著(東洋経済新報社)

では、仕事の成果につながる人脈を築く、あるいは築いた人脈を仕事の成果につなげるにはどうすればよいのでしょうか。

ヘッドハンターとして活躍する著者は、これからの変化の激しい時代に、個人の市場価値を左右するキーワードは「抜擢」だと唱えます。

そして、抜擢される人とされない人の差は「能力開発」と「人脈構築」にある。しかし、能力開発には懸命な人が多い一方で、人脈構築を疎かにしている人は多いと指摘。

本著では、戦略的な人脈構築と、その具体的な方法として「人脈スパイラル・モデル」を紹介しています。それが、次の5つのステップです。

  1. 自分にタグをつける:自分は「何屋」なのか訴求ポイントを明確にする
  2. コンテンツを作る:「お、この人は」と思われる実績事例を作る
  3. 仲間を広げる:コンテンツを試し合い、切磋琢磨して次のステップを共創する
  4. 自分情報を流通させる:何かのときに自分を思い出してもらえるよう、種を蒔く
  5. チャンスを積極的に取りに行く:実力以上のことに挑戦し、人脈レイヤーを上げる

このステップを「スパイラル」させるために特に重要なのが、5の「人脈レイヤーを上げる」点です。

スパイラルが一周するたびに、自分の能力、付き合う人、活躍するステージ、それぞれのレベルが昇華していくという考え方。

つまり、人脈構築と能力開発とが同時に促されることで、抜擢の機会の質と頻度が増してくるのだそうです。

仕事のプロセスに人脈を組み込む『スタンフォード大学dスクール』

『スタンフォード大学dスクール 人生をデザインする目標達成の習慣』
『スタンフォード大学dスクール 人生をデザインする目標達成の習慣』

先ほどの抜擢のみならず、ビジネス全体を俯瞰し、その中に人脈の効果を組み込む視点を与えてくれるのがこちらの書籍です。

スタンフォード大学dスクールとは、同大学の「プロトタイピングスタジオ」で、学生同士が議論をしたり、モノづくりを行うためにさまざまな空間の工夫が施されている場。

日本でも注目を集める、経営や問題解決のプロセスそのものを研究し、他に適用しようとする「デザイン・シンキング」の発祥地の一つでもあります。

その教授であるバーナード・ロス氏が、「デザイン思考」の5つのステップを本著で紹介しています。

  1. 共感:問題は何であるかを知るため、他人のニーズや要求を念頭に置く
  2. 問題定義:どの問題を解決すべきか、どの疑問に答えるべきか、絞り込む
  3. アイデア創造:マインドマップなどの方法で実行可能な解決策を生み出す
  4. プロトタイプ:完璧にしようとせず、プロジェクトを目に見える形にしてみる
  5. テストしてフィードバックを受ける

どの過程においても「頼れる」人脈が必要不可欠で、教授は人からの支援を受けたい場合、「直接頼み、誠実に感謝する」「時間を使ってもらうことを感謝して、毎日メールをしない」など、気をつけているそうです。

人脈を築く前に、築いた人脈をビジネスプロセスの中にどう組み込み、活かすかを明確にすると、人脈形成も捗るでしょう。

人脈作りを楽しめる人になるなら『GIVE & TAKE』

『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』 アダム・グラント 著、楠木建 監訳(三笠書房)
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』 アダム・グラント 著、楠木建 監訳(三笠書房)

最後は、人脈形成を楽しめる人に備わる資質に関する書籍をご紹介します。

トップビジネススクールの一つ、ペンシルベニア大学ウォートン校、史上最年少終身教授であるアダム・グラント氏は本著で、人は3つの類型に分かれると言います。

  1. ギバー:人に惜しみなく与える人
  2. テイカー:真っ先に自分の利益を優先させる人
  3. マッチャー:損得のバランスを考えて行動する人

テイカーは、仕事において重要な人との伝手をなんとか探し出し、短期的には利益を得られるかもしれませんが、同時の身のまわりの信頼関係が失われていくのも確か。また、多くの人はマッチャーとして振舞います。

そして、ギバーは人脈の取捨選択こそするものの、ある人との関係作ったり、自分が他人に誰かを紹介したりすることそのものを楽しめる人。

その最たる動機は「自分がやりたい、おもしろいと感じることがあるけれど、時間など制約がありできないため、他の人にやってもらおう」という意識。

そこに「自他」の区別はなく、結果自分のまわりの系が豊かになりやすいため、回りまわって良い出会いに恵まれるのかもしれません。

ギバー、テイカー、マッチャー、自分はどれなのかに気づくことで自己変容、成長につながると思います(20代・女性・学生)

他にもこんな書籍が推薦されました

  • 『HARD THINGS』
  • 『その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く』
  • 『たった5つの感情でお客さまは動き出す!!―売り込まなくても結果が出る “感情集客術”』

読者がお薦めする「人脈本」、いかがでしたか? 気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?

[文] 岡徳之

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