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新たな競争力の源泉「組織文化」を作り出すためのリーダー人材向け書籍6選
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成長を続ける企業組織の共通点の一つに、「組織文化」が浸透していることが挙げられます。組織文化がそこに属する人びとの判断基準となり、社員が上からの指示を待つのではなく自律的に動けるようになるからです。つまり、組織文化は「競争力の源泉」と言えるのです。

組織文化への注目の高まりを受け、『”未来を変える” プロジェクト』では、組織文化の変革に携わってこられた方と、ビジネスパーソン読者40名をゲストに迎え、個人として文化の形成にどのように関わっていくことができるか、議論を行うイベントを開催いたしました。

本記事ではその参加者らが推薦する「組織文化」に関する書籍を6冊厳選して紹介。これからの変化の激しい時代に求められる、硬直した組織文化の変革・最適な組織文化の醸成など、さまざまな切り口でヒントを与えてくれるでしょう。

『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』

『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 著(中央公論社)
『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 著(中央公論社)
組織文化を変えられなかった日本軍の課題がよく分かる(40代・男性・小売業界)

本書は1984年に初版が出版されて以来、現在も人気が衰えない名著です。第二次世界大戦における日本軍と米国の戦い方を比較しながら、日本軍が負けた本質を歴史研究と経営組織論の視点から分析しているのが特徴です。

取り上げられているのはミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、ノモンハン事件、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦の6つの戦局。これらの戦局における戦略策定・実行、そして敗北に至るまでの過程が分析されています。6つの戦局における日本軍敗北の共通点はどこにあるのか。

著者らは、近代組織の典型ともいえる軍隊において、日本軍は合理性・効率性に欠いた行動が見られたことを示し、このことが日本軍の敗北につながった可能性を指摘しています。また、このような行動が起こってしまったその組織的な要因はどこにあるのかを推察しています。

本書のタイトルが示すように「失敗の本質」はどこにあるのか、このことを組織論の切り口から考えるヒントを与えてくれるはずです。組織文化が良くも悪くも持つ力の大きさ、文化の変革を考える上で必須の1冊といえるでしょう。

『「ウェイ」のある強い経営ー第5の経営資源を磨け!』

『「ウェイ」のある強い経営ー第5の経営資源を磨け!』 野口吉昭 著(かんき出版)
『「ウェイ」のある強い経営ー第5の経営資源を磨け!』 野口吉昭 著(かんき出版)

本書の著者、野口吉昭さんはコンサルタントとして700社以上の事業企画・商品企画に携わった経験を持つ人物。本書では、さまざまな組織・チームを見てきた知見から、全社が1つとなるための仕組みを構築する方法を伝えています。

人・モノ・金・情報に続く第5の経営資源「ウェイ」とは、よく流儀、スタイル、遺伝子、イズムなどで表現される「企業らしさ」のこと。文化と言い換えてもよいかもしれません。著者はこの「ウェイ」を持つ組織は強いと主張した上で、ウェイを育む具体的な仕組みづくりを説明します。

ビジョンやミッションを掲げる企業が多い中で、これらが美辞麗句に終止している場合がほとんど。しかし、ウェイがある組織は、社員がビジョンやミッションに共感し、それが行動、そして結果に表れてくるといいます。

本当に強い組織とはどのような組織なのか。「ウェイ」、組織文化という切り口からこれまでにないアイデアを与えてくれる1冊となるでしょう。

『学習する組織――システム思考で未来を創造する』

『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著、枝廣淳子 訳(英治出版)
『学習する組織――システム思考で未来を創造する』 ピーター・M・センゲ 著、枝廣淳子 訳(英治出版)

社員が自律的に動ける組織文化を構成する重要な要素が書かれています。著者のピーター・センゲ博士はMITスローン経営大学院・上級講師を務めるシステム科学の世界的権威。本書では、システム思考を経営の世界に応用しながら「学習する組織」のコンセプトと構築方法を紹介しています。

「学習する組織」とは、目的を達成する能力を学習を通じて伸ばし続けることのできる組織・チームのこと。この考えは、VISA、ユニリーバ、インテルなど世界的大企業だけでなく、学校、地域コミュニティなど多様な組織に導入されています。本書では、それらの参考事例を踏まえ、変化の激しい現代において、真の組織文化の「変革」とは何かを伝えようとしています。

学習する組織を構築する上で重要となるのは5つのディシプリン、つまり「システム思考」「自己マスタリー」「メンタル・モデル」「共有ビジョン」、そして「チーム学習」といいます。これらの重要要素を組織内でどのように醸成していくのか、実践を通して説明しています。

組織をスタティックなものではなく、ダイナミックかつ自律的・柔軟に進化するものと捉え、そしてその進化においてチームの学習する文化、能力をどう引き出していくのか。マネジメントの考え方に新しい視点を加えてくれるはずです。

『ヤフーの1on1ーー部下を成長させるコミュニケーションの技法』

『ヤフーの1on1ーー部下を成長させるコミュニケーションの技法』 本間浩輔 著(ダイヤモンド社)
『ヤフーの1on1ーー部下を成長させるコミュニケーションの技法』 本間浩輔 著(ダイヤモンド社)
「1on1」の必然性に懐疑的だったヤフーが半ば強制的に導入を進め、結果につなげた好事例。1on1を「部下のための時間」と理解し、自ら率先して「コミュニケーションを取る」というスタンスそのものを学ぶ機会になると思います。上司と部下が対等かつ信頼し合える関係作りは必須で、そのためのベースとなる要素も学べる一冊です(30代・男性・人材業界)

組織文化を醸成・浸透する上で、有効な施策が「1on1」です。本書はヤフーで行われている「1on1ミーティング」の意義と手法を紹介したもの。著者の本間浩輔さんはヤフー上級執行役で「1on1ミーティング」を社内に広めた人物でもあります。「1on1」は上司と部下が1対1で行う対話で、週に1回30分かけて実施されます。

通常上司による面談では、上司が部下の目標達成度合いや今後の目標などを確認することが多いのですが、「1on1」では部下がテーマを決めて上司に話をします。この際、上司は先に自分の考えを言ったり、部下の話をさえぎったりしません。部下が自分の経験から、内省し、教訓を得たことを上司と共有し、それを次の行動につなげることに焦点が当てられています。

また本書では「1on1」を効果的に実施するための、アクティブリスニング、レコグニションなどの技術も紹介されています。

組織がうまく機能するには、組織内のメンバーが同じ目標を共有し、目標を達成するために各々が自分の役割を全うすることが求められます。これには、組織内メンバーの連携が緊密に取れていることが前提となります。しかし、組織内で十分にコミュニケーションが取られていないことが多く、それが信頼関係の欠如につながり、連携が取れていない状況を生み出してしまいます。

「1on1」という具体的な事例は、コミュニケーションを促進し、信頼関係に基づく組織文化を醸成するためのヒントを与えてくれるでしょう。

『デザインの伝え方』

『デザインの伝え方』 トム・グリーバー著、武舎広幸、武舎るみ 訳(オライリージャパン)
『デザインの伝え方』 トム・グリーバー著、武舎広幸、武舎るみ 訳(オライリージャパン)
ステークホルダーを巻き込む技術、ノウハウは社内文化を変える取り組みをする上でも有効そう(20代・男性・フリーランス)

タイトルが示す通り主にデザイナー向けに書かれたものですが、本書の中で説明されるデザインに関わるステークホルダーにデザインの意図を正しく伝え、承認・合意を得るための考え方・方法は、デザイナー以外の人にも役立つはずです。

プロジェクト開始前から、ステークホルダーへのデザインの説明、そしてその後のフォローアップまで、どのようなコミュニケーションが好ましいのかを紹介。また、デザインの専門知識がないステークホルダーに対してどのようにコミュニケーションを取り、関係を構築していくのかが示されています。

組織文化を変革する上では、自分の意思やその意図を他部署など関連するすべての人びとに説明しなければならない状況が起こり得ます。そんな認識の異なる人びとに対してどのように接するべきなのかのヒントが散りばめられています。

『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』

『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』 C・オットー シャーマー 著(英治出版)
『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』 C・オットー シャーマー 著(英治出版)

本書はMITの上級講師オットー・シャーマ博士が世界のトップリーダーやイノベーターへのインタビューを通じて構築した、集団・組織のイノベーション理論「U理論」を紹介しています。

U理論は集団や組織がイノベーションを生み出すためのリーダーシップ能力をどのように開発できるのかを説く理論で、従来とは異なるレベルの意識・視点で問題を捉え、本質的な解を見いだすことを目指すものです。

本書は理論の説明だけでなく、実際に理論を実践するためのプロセスを具体的な7ステップに落とし込み紹介しています。

U理論の7ステップ

  1.    ダウンローディング:過去の経験から培われた思考パターンにとらわれる
  2.    観る:思考パターンに意識を奪われず、目の前の事象に意識の矛先を向ける
  3.    感じ取る:他者など過去の思考パターンにとらわれていない立場から見つめる
  4.    プレゼンシング:自分のより深いところからアイデアが浮かび上がる
  5.    結晶化:未来の最高のイメージからビジョンを具体的な言葉で形作る
  6.    プロトタイピング:ビジョンを具現化し、形を与える
  7.    実践:プロトタイプを通して得たものを世の中に提供していく

過去から学ぶことも重要ですが、より本質的な組織文化の変化を生み出すには未来から解を得ることが必要であると教えてくれる理論。変化速度の速い現代において、過去の手法が通じない状況は増えてきているのではないでしょうか。U理論は、個人・組織が現代を生き抜くために必須の考え方といえるでしょう。

その他の推薦書籍

*()内は推薦者のコメントです

  • 『仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント』 アン=マリー・スローター 著

  • 『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』 河合雅司 著(危機感を煽るツールには良いかと思います)

  • 『Team of Teams』 スタンリー・マクリスタル、タントゥム・コリンズ、デビッド・シルバーマン、クリス・ファッセル 著

  • 『エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』 ハンナ・アーレント 著(「組織文化」「働き方改革」を唱えることそのものの背景を考えることにつながりそう)

  • 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著(会社にしがみつかない人生、主体的にやりたいことを選ぶことの大事さを再認識した)


変革を生み出す組織・組織文化を創り出すために必要なことは何か。さまざまなヒントを与えてくれる6冊を紹介してきました。気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?

[文] 細谷元

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