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危機的状況に強い「しなやかなチーム作り」を学べるビジネス名著5選
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強力な競合企業が宣戦布告してきたり、主力事業の市場自体を破壊しうる新たなテクノロジーが生まれたり…。そのような危機的な状況に組織が巻き込まれた際、柔軟に対応し、これまでとは異なる均衡された環境を創り出す力を「レジリエンス」と呼びます。

時代の変化が激しくなるにつれ、このレジリエンスの力を高めることは、企業組織、特に変化への対応にどうしても慎重にならざるを得ない大企業にとって、ますます重要になるでしょう。そこで、その力を高めるための示唆を与えてくれるビジネス書を5冊、ご紹介します。

ご紹介する書籍は、『”未来を変える” プロジェクト』が「大企業のレジリエンス」をテーマに開催したイベントに参加したビジネスパーソン40名が推薦したものの中から厳選されたものです。

『HARD THINGS』 ベン・ホロウィッツ 著

『HARD THINGS』 ベン・ホロウィッツ 著、滑川海彦、高橋信夫 訳(日経BP社)
『HARD THINGS』 ベン・ホロウィッツ 著、滑川海彦、高橋信夫 訳(日経BP社)

ドットコム不況、資金不足、IPOを目指し投資家へのロードショウ中に妻の呼吸が止まる、上場後の株価急落、最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客からの解約の申し出、3度にわたる社員のレイオフ… 「かならず避けたい」と思われることばかりですが、これらはすべて著者が経験したことです。

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ」の共同創業者、ベン・ホロウィッツを起業家時代に襲った「HARD THINGS(これでもかというほどの困難)」と、そこからの復活劇を本人が記したリアルストーリー。

組織、業務プロセスのデザイン、業務の計量化、採用と解雇… 著者はあらゆる手を尽くして困難を切り抜け、1700億円超で会社を売却する大成功を収めました。その手のうちを知り、偉大な経営者たちに共通する「投げ出さない」という教訓を感じ取ることができます。

「レジリエンス」とはどのような力を指すのか。つまり、組織が危機的な状況に巻き込まれた際、柔軟に対応し、新たに均衡された環境を創り出すとはどういうことかを知るには、この書籍がいちばん手っ取り早いでしょう。

生々しく「チャレンジ」が描かれています。企業のレジリエンスとは何か、その要点を抑えるのにお勧めです(30代・女性・IT業界)

『GE 世界基準の仕事術』 安渕聖司 著

『GE 世界基準の仕事術』 安渕聖司 著(新潮社)
『GE 世界基準の仕事術』 安渕聖司 著(新潮社)
「レジリエンスのある大企業」と言われて、真っ先に思い浮かんだのが「GE」でした(20代・男性・コンサルティング業界)

一世紀を超える歴史の中で、ウェルチ、イメルトをはじめ数々の名経営者を輩出し、今なお「エクセレントカンパニー」として世界中の企業の規範であり続けるGE(ゼネラル・エレクトリック)のリーダー育成、人事評価、組織運営、危機管理… マネジメントの工夫をすべて明かした一冊。

GEは以前、『“未来を変える” プロジェクト』でも取材しましたが、こうしたGEの試みは「社員一人ひとりの成長」を立脚点に生まれていると感じます。

本書の中でも、「組織が官僚的にならないように、誰でも言いたいことが言える仕組み」「評価者をきちんと評価するシステム」「経営戦略を立案する部門がない」など、自ら危機的な状況を招くのを防ぐのはもちろんのこと、起こった危機に対応できる組織作りの方法論が挙げられています。

マネジャーがメンバーの自発性を引き出し、成長へと導くことが、変化の激しい時代に組織のレジリエンス力を高める秘訣なのかもしれません。

組織として、また社員個人として、どうレジリエンスを担保しているかがよく分かる本です(同上)

『ゴールは偶然の産物ではない 〜FCバルセロナ流世界最強マネジメント〜』 フェラン・ソリアーノ 著

『ゴールは偶然の産物ではない 〜FCバルセロナ流世界最強マネジメント〜』 フェラン・ソリアーノ 著、グリーン裕美 訳(アチーブメント出版)
『ゴールは偶然の産物ではない 〜FCバルセロナ流世界最強マネジメント〜』 フェラン・ソリアーノ 著、グリーン裕美 訳(アチーブメント出版)

スポーツの世界にも、レジリエンスに長けたチームがいます。サッカースペイン一部リーグの強豪「FCバルセロナ」です。海外サッカーに詳しくなくとも、メッシやネイマールなど所属選手の名前を聞いたことはあるかもしれません。

今となっては世界で最も成功したスポーツチームの一つですが、実は同チームは以前、毎シーズン計上される損失が増加の一途をたどり、負債が1億8600万ユーロ、日本円にして「230億円」近くにまで膨らみ、破綻寸前にまで追い込まれたことがありました。

そんなFCバルセロナが数年で再生したわけですが、その再生の時期を含む2003年から2008年に、最高経営責任者を務めたフェラン・ソリアーノ氏が書いた一冊。端的に言えば、スポーツのクラブ経営に戦略とマネジメントを持ち込んだプロセスが書かれています

FCバルセロナが窮地に立たされたとき、まず取り組んだのは「自分たちの存在意義」を再定義することでした。「全世界におけるクラブ以上の存在」として、スポーツと平和の価値を伝えていくことを掲げ、ユニセフなどスポンサー集めや人材採用を首尾一貫して進めていったそうです。

市場がめまぐるしく変化するときこそ、そのキャッチアップに追われるのではなく、「自らの存在意義を再認識すること」がレジリエンスの向上につながる。その教訓と企業戦略への落とし込み方を、FCバルセロナは教えてくれます。

「バルサ」が強い理由が分かります(30代・男性・金融業界)

『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』 ラズロ・ボック 著

『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』 ラズロ・ボック 著、鬼澤忍、矢羽野薫 訳(東洋経済新報社)
『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』 ラズロ・ボック 著、鬼澤忍、矢羽野薫 訳(東洋経済新報社)

「レジリエンスが高い企業」と言われて、Googleを想起される方は少なくないでしょう。複数のビジネスパーソンの方が、「レジリエンスを高めるならこの本」と推薦していたのが、こちらの本です。

Googleの人事トップで、同社の従業員が6000人から6万人に増えていく過程で、人事システムの設計と進化を担った責任者の著者が、企業の創造性を増幅させるために採用、育成、評価の仕方など、マネジメントについて語った一冊です。

例えば、ユニークな施策の一つが、Googleでは誰かを新しく採用する際、その人の上司ではなく、部下となる人に面接の権限が委ねられるのだそうです。そうすることで、「自分はこの人から学びたい」と、社員が自分よりも優秀だと認める人材が集まってくるからです。

たしかに、これが逆に(多くの企業ではそうですが)、上司となる人に委ねられていた場合、「上に立つ人」にとってのみ都合が良く、メンバーから自発的な取り組みが生まれにくい組織が生まれてしまうおそれがあります。レジリエンスの高い組織とは対極の姿です。

GEと同じく、Googleも社員一人ひとりの成長を支援することで、組織全体としてのレジリエンスを高めていることが伺えます。そのための実践的な方法が、この本には満載です。

Googleの働き方を通じて、日本や日本企業の常識が見えてくる(60代・男性・コンサルティング業界)

『マインドセット「やればできる!」の研究』 キャロル・S・ドゥエック 著

『マインドセット「やればできる!」の研究』 キャロル・S・ドゥエック 著、今西康子 訳(草思社)
『マインドセット「やればできる!」の研究』 キャロル・S・ドゥエック 著、今西康子 訳(草思社)

最後は、自分が上司やマネジャーとして、社員一人ひとりのレジリエンスを磨くための一冊をご紹介します。20年以上の長年の調査から生まれた、スタンフォード大学発の成功心理学の古典的名著。

一度の危機や失敗で「もうダメだ」と落ち込む人と、そうではない人の違いは何かーー。著者はそれを、「しなやかマインドセット」だと説きます。

しなやかマインドセットとは、挫折や失敗から学び、さらなる失敗をおそれず挑戦を続けられる姿勢のこと。それを育むことが、組織のレジリエンスを高めるためのマネジメントの要諦だと。

例えば、ロサンゼルスのスラム街にある高校に赴任してきた教師が、勉強に対するやる気をまったく感じられない生徒たちに、大学レベルの微積分法を教えたエピソード。

その教師は、「どうすれば分かりやすくなるか」と発想し、のちにこの高校の数学レベルを全米トップレベルにまで引き上げてしまったそうです。

反対に「硬直マインドセット」を持つ教師だと、「彼らに理解できるだろうか」と生徒の潜在能力を過小評価、ときには端から否定し、挑戦の意欲を失わせてしまったかもしれません。

人の能力というものは、その人の才能や生まれつきだけではない。メンバー一人ひとりの力を信じることが、企業組織の力を大きくすることの始まりなのかもしれません。

「レジリエンスのある人」って自己肯定感、自己効力感のある人と近いのでは? 人は成長できるものという「グロース・マインドセット」を持つことで、レジリエンスが高まるような気がします(50代・女性・一般財団法人)

レジリエンス本は他にも…

  • 『老子』 老子 著
  • 『論語と算盤』 渋沢栄一 著
  • 『学問のすすめ』 福沢諭吉 著
  • 『電通「鬼十則」』 植田正也 著
  • 『ストーリーとしての競争戦略』 楠木建 著
  • 『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル 著
  • 『シジフォスの神話』 アルベエル・カミュ 著
  • 『「日本の経営」を創る』 三枝匡、伊丹敬之 著
  • 『やりとげる力』 スティーブン・プレスフィールド 著
  • 『DNAでたどる日本人10万年の旅ー多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』 崎谷満 著
  • 『ヒトはなぜ戦争をするのか?ーアインシュタインとフロイトの往復書簡』アルバート・アインシュタイン、ジグムント・フロイト著
  • 『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』 ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル 著(出世競争で勝ち上がりたいという欲求に関する書籍です)
  • 『ライフ・シフト』 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著(未来が予測不可能で今の生活・働き方を変えて行かなくてはいけないと痛感できる)

*カッコ内は推薦コメント

ご自身が気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

[文] 岡徳之

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