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「これからの生き方」を考える、示唆や洞察を与えてくれる読者推薦5冊
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テクノロジーの発展と普及で、昔と比べ経済や社会のあり方は大きく変わっています。この変化を目の前にして、自分の人生をどう生きていくべきなのか、自問自答することが多くなっているかもしれません。

本記事では「これからの生き方」について、示唆や洞察を与えてくれる名著5冊を紹介します。

今回は昨年12月に実施した読者参加型の書評プレゼンイベント「ビブリオバトル」で、参加者から特に好評だった5冊を選りすぐりました。書評プレゼンターの生の声を中心に、書籍レビューをお伝えします。

『人を伸ばす力ー内発と自律のすすめ』

『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ』 エドワード・L.デシ、リチャード・フラスト 著、桜井茂男 訳(新曜社)
『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ』 エドワード・L.デシ、リチャード・フラスト 著、桜井茂男 訳(新曜社)

3歳や4歳の小さな子どもたちは、絵や文字を学ぶとき一心不乱に楽しそうに取り組みますが、大人はなぜ楽しそうに勉強できないのか。そんな問題意識を持ったプレゼンターが推薦するのが本書です。

内発的動機づけに関する実験を紹介しながら、これまで常識とされていた考えを覆していきます。本書で紹介されている実験は以下のようなものです。

1つの部屋で学生を2グループに分け、それぞれにタスクを与えます。タスクはパズルを解くこと。一方のグループにはパズルを解くと1ドルの報酬を与え、もう一方のグループには報酬を与えません。30分間でパズルを解かせ、その後係員は部屋を退席します。

ここからが実験の本番。学生2グループのうち、報酬のない自由時間でどちらのグループがパズルを解く人数が多いのかを調べます。つまり、インセンティブがない状態で、パズルを解くのかどうかを見るわけです。部屋には雑誌など時間つぶしができるアイテムも用意してあります。

実験の結果は、1ドルの報酬がないグループのほうがパズルを解く人数が多いということが分かりました。つまり、報酬が介在してしまうことで、パズルが手段に成り下がってしまい、パズルの楽しさが減退してしまったことを示唆しています。

プレゼンターの男性は、「普段、インセンティブを与えないと人は動かないと考えがちですが、この実験結果は反対のことを示しています。会社であれば営業成績の結果で賞罰があったり、子育てで宿題をしたらゲームをやってもいいなど、外部報酬を紐づけることで、本来の興味・関心を損なっているかもしれません」と説明しました。

生き方・働き方におけるインセンティブについて考える上で、重要な示唆を与えてくれる1冊となるでしょう。

『喜嶋先生の静かな世界』

大学での勉強に楽しさを感じられない学生が喜嶋先生(教授)に出会い、「学び」の楽しさに気づいていく自伝小説『喜嶋先生の静かな世界』

書籍プレゼンターの男性は、「楽しく新しいことをするときは、喜嶋先生のようになれたらと思う。絵に書いたような教授で、知的好奇心を満たすための考え方や生き方が美しい」と語ります。

また、「勉強」とは答えのある先人の知識を追いかけること。一方、「研究」とは新しいことを追求し、知的好奇心を満たすこと。この違いが重要であると言います。

自身の研究テーマを見つけて、考え、研究を続けること。結果が出ない可能性もある中で、純粋に研究に取り組む姿は小説の中の学生だけでなく、読者にも感銘を与えるようです。

人生を豊かにする「学び」。喜嶋先生の「学び」への姿勢はどのようなものなのかーー。小説の中に入り込み、喜嶋先生からその極意を習得するのもよいかもしれません。

『すでに起こった未来―変化を読む眼』

『すでに起こった未来―変化を読む眼』 P.F.ドラッカー 著、上田惇生、林正、佐々木実智男、田代正美 訳(ダイヤモンド社)
『すでに起こった未来―変化を読む眼』 P.F.ドラッカー 著、上田惇生、林正、佐々木実智男、田代正美 訳(ダイヤモンド社)

現代経営学の父とも呼ばれるピーター・ドラッカー著の『すでに起こった未来―変化を読む眼』。小論文集となっている本書から書籍プレゼンターが紹介したのは「もう1人のキルケゴール」です。

キルケゴールは、現代実存主義の創始者、プロテスタンティズムの革新的思想家として知られる哲学者です。キルケゴールの考え方はドラッカーの思想に大きく影響したといわれています。

プレゼンターの男性は、「キルケゴールによると、人間は絶対に両立しえない2つの世界で生きています。1つは社会、もう1つが実存の世界です。社会では社会構成員となり、社会をどう永続していくのか、どう構築していくのかを考え、行動します。一方で、自分という人間を個の存在として見ると、1人の親でもなく、子どもでもなく、自分自身という存在として見ることができます。この視点は自分の生き方を考える上で非常に重要になると思います」と語りました。

ドラッカーの現代経営学的な視点とキルケゴールの哲学的視点、これらは自分自身を失いがちな現代社会に特に必要とされるものなのかもしれません。

『二番目の悪者』

『二番目の悪者』 林木林 著、庄野ナホコ 絵(小さい書房)
『二番目の悪者』 林木林 著、庄野ナホコ 絵(小さい書房)

動物たちが暮らす国で、王様になろうとする金のたてがみを持つライオンの物語。一見子ども向けの絵本のように思えますが、大人の考えや行動に警鐘を鳴らすメッセージが込められています。

金のライオンは自分が国王にふさわしいと思っていますが、国の動物たちは親切で優しい銀のライオンこそが国王にふさわしいと噂をしていました。金のライオンは銀のライオンの評判を落とすために、ありもしない悪評を広めようとします。

最初は気にも留めなかった動物たちですが、だんだんとその話を信じるようになり、悪評は広がり、結果金のライオンが国王となってしまいます。しかし、金のライオンの傍若無人な振る舞いにより、国民は貧しくなり、最終的にその国は廃れてしまいます。

根も葉もない悪評を流布した金のライオンが一番の悪者といえますが、二番目に悪いのは誰か、というのが著者が伝えたいメッセージ。

書籍プレゼンターの女性は「根も葉もない噂を信じて、真実を確かめようともせずにメールやSNSで情報を拡散してしまうことは人間の世界でもよくあること。情報過多の時代において、情報の信憑性や意味をよく考えて扱う重要性を伝えてくれる書籍だと思う」とコメントしました。

生き方や働き方を考える上でも、外部からの情報は意思決定に少なからず影響してしまいます。情報の取捨選択の重要性を再確認するために読んでみるのもよいかもしれません。

『みえないかたち〜感覚をデザインする』

デザイン、建築、現代美術などさまざまな領域で活動するデザイナー、吉岡徳仁さんの著書『みえないかたち〜感覚をデザインする』

プレゼンターであり、『”未来を変える” プロジェクト』編集長の三石原士は、「デザイナー向けの本ではあるが、働き方やキャリアに通じる部分があると思う」と述べ、本書を紹介しています。

吉岡さんは100年後の未来に当たり前になることを作りたいと考え、デザインをしていると言います。そのデザインの特徴は、米国ジャーナリストに言わせると「どのジャンルにも属さない」こと。既存のジャンル・カテゴリにとらわれていては、遠い未来でも伝わる普遍性を生むことは難しいでしょう。

これまでのジャンルやカテゴリーに属さないことで、型にはまらない発想や行動がしやすいことは明白です。「属さない」ことから何か新しいモノを作っていこうと考える人に大きなヒントを与えてくれる1冊となるでしょう。

「これからの生き方」についてさまざまヒントを与えてくれる5冊を紹介してきました。気になったものから、ぜひお手に取ってみてください。

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「ムーブ型組織 VS ステイ型組織」長時間労働が改革される会社のメカニズム
あなたの組織に合った、働き方改革のためのアプローチは?

[文] 細谷元

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