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クックパッド新卒2年目社員が新規事業「Holiday(ホリデー)」に挑む!社内リソースを活用するには?
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多くの企業がいま新規事業の開発に力を入れています。読者の中には、当事者として事業の創出に取り組んでいる方もいるでしょう。そんな方々の中には、

自社のリソースを活用すれば、本来はベンチャーのように事業をスピーディーに立ち上げ、成功に導くことができるはず。しかし、組織特有の力学などさまざまな理由から事業がなかなか思うように進まない。

そうジレンマを感じている方もいるのではないでしょうか。ではいったいどうすれば・・・。

日本最大の料理レシピサイトを運営するクックパッド株式会社は、新規事業の開発に積極的に取り組んでいることでも知られています。そんな同社は、休日のおでかけプランを投稿・共有できる新サービス「Holiday」を2014年9月にリリースしました。

このサービスを運営するのは、実は4名の新卒2年目社員たち。今回ご取材した友巻憲史郎さんらが学生時代に前身となるサイトを立ち上げ、大学卒業後、2014年にそのチーム全員がそろってクックパッドに入社しました。現在は、子会社のホリデー株式会社として事業を推進しています。

これまでの同社のレシピサイトとは異なる分野の事業を手がけるこの若いチームは、いかにして国内随一のIT企業であるクックパッドのリソースを発掘し、活用しているのでしょうか。サービス統括責任者の友巻さんにお話を伺いました。

ホリデー株式会社 サービス統括責任者 友巻憲史郎

PROFILE

ホリデー株式会社 サービス統括責任者 友巻憲史郎
友巻憲史郎
ホリデー株式会社 サービス統括責任者
関西大学在学中に学生起業家として「Holiday」の前身となるレジャー予約サービスなどさまざまな事業を立ち上げる。大学3年生のときすでに別会社への内定が決まっていたが、自ら手がけるサービスの運営を続けたいという想いを諦められずベンチャーキャピタルや事業会社に出資を持ちかけ始める。クックパッドが新規事業に力を入れていることを知り、知人伝いに担当者と面会。これを機に2014年に学生時代に協働していたチームごと新卒入社し、現在もHolidayの運営に携わっている。

学生起業チームごとクックパッドに入社

Holidayは「休日をもっと楽しくする」をコンセプトに、ユーザーがおでかけプランを投稿・共有することのできるWebサービスです。ユーザー数やPV数は公表していませんが、現在日本全国1万6千以上のスポットが投稿者によって紹介され、その数は着実に増え続けています。

休日のおでかけプランを投稿・共有できるサービス「Holiday」
休日のおでかけプランを投稿・共有できるサービス「Holiday」

事業を主に担当しているのが、友巻さんをはじめとする2014年入社の4名。そこに業務委託・アルバイトのスタッフ数人を加えた約10名の体制で取り組んでいます。

この新卒チームには、学生時代にHolidayの前身となるサービスを立ち上げ、そのときに協働していたメンバー全員がクックパッドに入社したというユニークな経緯があります。友巻さんは当時を振り返り「手がけていたサービスをメンバー全員で継続したいと考えてベンチャーキャピタルや事業会社を数多くまわり、いくつか出資の話をいただいた」と話します。

では、なぜクックパッドを選んだのでしょうか。

新規事業に積極的な企業は、事業をバンバン立ち上げて短期的視野でKPIを設定し、それを達成しなければ即撤退というイメージを持っていました。実際に話をしたほとんどの会社には短期的な数字の握りが強い印象を抱きました。それに対して、時間をかけてでも本当に価値あるサービスを作りたいという自分たちの気持ちとの折り合いがつかなかったのです。

いくつもの企業との協議を重ねるうちにクックパッドが頭に浮かんだという友巻さん。日本最大の料理レシピサイトを生み出した「国内随一のインターネットサービス企業に憧れていた」そうです。知人伝いに当時の執行役と面会し、その憧れはここで挑戦したいという確信に変わったと言います。

Webサービスの場合、一般的にはPVやユニークユーザー数などのサイトを訪れるひとの規模や、ある期間までのマネタイズに焦点を当てた目標値が設定されると思います。一方、クックパッドがもっとも重視しているのは、いかに投稿しやすいサービスを作るか。KPIを単に数字を追うためのものではなく、ユーザーの問題を解決し体験の質を高めるために使っています。

こうした事業のKPIに関する考え方からも、クックパッドには時間をかけてでも価値あるサービスを作るための土壌がすでにあると実感したそう。

その上で自らが手がけるサービスを成功させるためには、クックパッドのリソースが必要で、おでかけ情報サービスの市場のポテンシャルは大きいことを自分たちの熱意とともに力説。やる気とサービスの可能性が認められ、入社に至りました。

クックパッドは2012年ごろから主軸事業のレシピサービスに加えて、新規事業の開発に会社全体として意識が向かっていたそう。友巻さんらHolidayチームにとっても、会社にとっても、この上ないタイミングというまさに縁だったのです。

Holidayを運営する新卒2年目社員のみなさん
Holidayを運営する新卒2年目社員のみなさん

隠れたリソースの発掘は、謙虚さと素直さで切り込む

クックパッドが提供するレシピサービスも、Holidayも、ユーザー投稿型のサービスであり、どちらもユーザーの投稿しやすさを重視しています。

実際にクックパッドの持つノウハウがHolidayに生かされているところは多く、例えばHolidayのエンジニアはレシピサイトで培われた技術を参考にプログラミングを学び直しました。

その学びを生かして、投稿されたおでかけプランに対して「行ってきました」とレポートすることができるフォトレポ機能を追加し、大きな反響があったそう。この機能には、クックパッドが投稿レシピに「作りました」とフォトレポートができる「つくれぽ」機能を実装したことが成長する上で重要な要素だったという成功体験が生かされています。まさに、こうしたクックパッドの築いてきた技術と経験こそが友巻さんが求めていたものでした。

コンシューマ向けWebサービスとして確かな実績と知名度があり、20〜40代の女性を中心に幅広い世代のユーザーを抱えている。そして、食だけではない新規事業の開発にも強い。

クックパッドはレシピサイトのほかにも、食材宅配サービス「クックパッド 産地直送品」や管理栄養士の個別指導サービス「クックパッド ダイエット」、結婚式場の口コミサイト「みんなのウエディング」や習い事サービス「サイタ」など、人びとの生活を豊かにすることをコンセプトにさまざまなサービスを手がけています。

そうしたクックパッドの強みや市場における優位性に由来するメリットを享受していると話す友巻さんですが、入社まもない若いチームにとって社内のリソースを発掘し活用するのは決して容易なことではないはず。

そのあたりに苦労はないのか聞いてみると、社内のほかの部署のひとなどを巻き込む際のポイントは、謙虚さと積極性だと友巻さんは言います。

社内には必ずすでに同じような挑戦をし、成功・失敗体験をしたひとがいます。クックパッドは300人規模ということもありますが、自ら動けば社員全員と話をすることができます。ほかのひとには迷惑がられているかもしれませんが、私はどうしてもHolidayを成功させたい。だから、遠慮はしません。しかし、快く教えてもらえるよう、常に謙虚さを心がけています。
クックパッドやHolidayでは、社内連絡にチャットツールを使っていますが、ひとに協力を仰ぎたいときは、テキストでは危機感や焦り、熱意などの温度感が伝わりにくいので対面で話すようにしています。

経営者でないかぎり、企業全体を見渡して社内のリソースをすべて棚卸しして把握するということは現実的には難しいのかもしれません。だからこそ、友巻さんのように普段から周囲に積極的に働きかけ、サポートしてもらえるような信頼関係を築くことが重要なのです。

社内リソースが勝手に集まってくる工夫

取材に同席したクックパッド広報担当の河邊美穂子さんは友巻さんについて、

オフィスのいろんな場所に出没して、ほかの社員にとにかくたくさん質問している姿をよく見かけます。サービスに対するやる気や危機感や焦りも伝わってくるので、周囲も思わず協力したくなる。

と言います。クックパッドならではのこんなエピソードも。

同社は昨年のオフィス移転に伴い、すべての機能をワンフロアに集約させました。その共有部分にはいつでも社員が自由に使えるキッチンが設けられ、事業部を超えたフラットなコミュニケーションが生まれているのだとか。

友巻さんがサービスリリース直後にそのキッチンで料理をしていると、先輩社員から「Holidayの調子はどう?」「使ってみて、ここはいいけどここは改善できるね」と話しかけられたそうです。

他のチームのひとからアドバイスをもらえたことにとても驚きましたし、励みになりました。Holidayのチームは若く、知識も経験も足りません。このとき、社内のリソースを発掘するためにも、自分の部署だけで閉じこもらず、社内の優秀なひとには垣根を越えて積極的に働きかけることは大切だと感じました。

友巻さんを始め、Holidayチームの活発な動きによって、絶対に成し遂げたいという彼らの熱意が社内に伝わり、Holidayの存在感が高まっていったのでしょう。それが結果的に、周囲からの自発的な協力を得られる環境づくりにつながっていったのです。

最後に友巻さんは、社内のリソースを発掘し、活用しようとする際、新規事業の担当者が必ず保ち続けなければならない姿勢があると教えてくれました。それは、

目的意識だけは常に社外に向かせること。Holidayの場合なら、世界中のサービスに負けない世の中に価値を与えるものを作り、いつかクックパッドを超えるほど育て続けるという目線で取り組んでいます。

その目線を持つことで自ずとハングリーになり、超えたい存在であるクックパッドのリソースをより積極的に活用しようとなるそうです。

ベンチャーと比べると、たしかに企業の中の新規事業の担当者は、そのハングリー精神を保つことが難しいかもしれません。Holidayの場合は、自分たちがどうしてもやりたくて得た機会。会社に命令されたわけでもなく、出世のためにやっているわけでもないので、モチベーションは下がらない。もっと働きたいし、もっとやりたい。

目標やライバルを社内に置かず、社外の競合や海外のサービスに意識を向けることがヘルシーな焦燥感につながり、それが原動力にもなるそうです。

クックパッドのように、いずれは海外展開をしていきたい。その際にもきっとクックパッドから多くのことを学べると思っています。

友巻さんはどこまでも突き進みます。

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[取材・文] 早川すみれ

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