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僕はかなりの安定志向 nanapiけんすう氏にとってリスクとは何か?
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変化に対応しながら、もっと仕事を楽しみたいーー。と思ってはいるものの、いざ新しいことを始めるときに、頭をよぎるのが「リスク」の不安です。特に安定志向のひとほど、リスクを回避することを考えて、新たな挑戦を控えてしまう傾向にあるかもしれません。

今回お話を伺ったのは、nanapi代表の古川健介さん。浪人時代に手がけた受験生コミュニティサイトが大ヒット。現在は起業家として、生活情報サイト「nanapi」などさまざまなサービスを手がけており、日本のメディア界をけん引する一人として知られています。

新境地を次々と開拓する古川さんですが、意外にもご自身のことを「かなりの安定志向」と分析します。安定志向ならあえてチャレンジしないのでは?と思ってしまうのですが、なぜ古川さんは挑戦し続けることができているのでしょうか。

株式会社nanapi代表取締役 古川健介

PROFILE

株式会社nanapi代表取締役 古川健介
古川健介
株式会社nanapi代表取締役
早稲田大学政治経済学科卒業。浪人時代に受験生コミュニティ「ミルクカフェ」を立ち上げ、ピーク時には月間1000万PVに到達するまでにサイトを成長させる。2004年、したらばJBBSを運営する株式会社メディアクリップを立ち上げ代表取締役に就任。翌年には株式会社ライブドアに事業譲渡し代表取締役を辞任。ライブドアにてCGM事業の立ち上げに携わる。2006年に株式会社リクルートに入社し、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2007年に株式会社ロケットスタート(現nanapi)を立ち上げ、代表取締役に就任。2009年にリクルートを退社。nanapiは、生活の知恵ハウツーサイト「nanapi」、コミュニケーションアプリ「アンサー」、日本文化やビジネスなどを海外に紹介する英語メディア「IGNITION」、起業家たちの体験を紹介するメディア「The First Penguin」などを運営。2014年10月にKDDIの子会社となった。

安定志向「だからこそ」チャレンジする

古川さんが挑戦し続ける動機は「将来への危機感」。それは、リクルート勤務時代にわいてきたそうです。

優秀な人材が集まる環境のなかで「自分のような凡人は埋没してしまう。なんでも挑戦して、勉強し続けなければ」と感じたそう。さらに、時代の急速な変化にも危機意識をあおられ「この時代の流れについていき、食べていくためには、具体的なスキルよりも“学習して新しいことを学んでいくスタイル”が重要」だと気付いたそうです。

古川さんは、スマートフォンやTwitter、Facebookなど時代を革新してきたテクノロジーを挙げながら、ここ10年間とそれ以前の10年間とを比較。ある技術が突然普及し、私たちの生活やビジネスに大きな影響を与えるようになった。そんな変化の激しい現代にあって、キャリアを設計することはますます難しくなっていると指摘します。

今のような時代に、キャリアを設計することは無理なのではないかと思っています。今後はこれまでよりも、変化のスピードが速まるはず。となると、今持っているスキルがこの先も安定して使えるという保証はどこにもありません。常にチャレンジして変化に対応していかなければ厳しいでしょう。

つまり、これから求められるのは、あらゆることにチャレンジして変化に対応できる力。だから「本当に安定志向のひとならば、新しいことに挑戦して勉強し続けようとするはず」だと話します。「むしろ、特定の会社でしか通用しないスキルを磨いて社内で重宝され、会社にとって都合のよい存在になるほうが、よほどリスキー」だと感じるそうです。

安定志向「だからこそ」チャレンジ

会社員には失敗はあってもリスクはない

新しいことへの挑戦が、ひとを成長させる。古川さんが初めてそう実感したのは、学生時代にさかのぼります。浪人時代に立ち上げた大学受験情報サイト「ミルクカフェ」が、瞬く間に受験生の間で広く知られるサイトに成長。その反面、書き込まれた情報が原因で裁判や警察沙汰になってしまい、法律を勉強せざるを得ない状況になってしまいました。

まさか法律を勉強することになるとは、サイトを立ち上げたときにはまったく考えていなかった古川さん。この想定外の状況に直面したことで「新しいことに挑戦をすればするほど予期せぬことが起き、そして学ばざるを得ないことが増える。すると、必然的に成長できる」と気付いたそうです。

これが原体験となり、後に就職したリクルートでは新規サービスの立ち上げに積極的に携わり、事業開発室でホットペッパーを補完するレビューサイトやブログ検索サービスなど、数多くの新規事業をディレクターやプロデューサーとして担当。と同時に、会社の業務とは関係ないプライベートでも新しいサービスを多く立ち上げました。

会社員として新規事業に携わるときに、失敗やリスクに対する恐れはなかったのか聞くと、

会社員は失敗してもリスクはほとんどありません。借金を背負わされたり、クビにされることも法律上は難しいし、社内で嫌われても退職して会わなければいいわけです。事業や会社の成長のためにひたむきになるという前提さえあれば、どんな挑戦をしても個人のリスクはない。私も当時はとにかく行動してみるという感じでした。

とのこと。

古川さんが現在代表を務めるnanapiも、会社員時代に実行に移した挑戦の延長線上で生まれたもの。2007年に起業して今年で9年目を迎えますが、さまざまな新サービスを手がけ、日本のIT界をけん引する企業として今も成長し続けています。

失敗して迷惑をかけてもかけられても気にしない社会がいい

古川さんは2015年6月に、起業家たちの体験を紹介するメディア「The First Penguin」をオープンしました。先人の成功や失敗体験、直面したリスクに対応する方法などを共有することで、これから起業を目指すひとたちの役に立ちたいという想いが込められています。

失敗って何万通りもパターンがあるけど、ひとが成功するパターンは、そんなに多くなくて、せいぜい数パターンなのではないかな。だから、成功や失敗体験をうまく共有することで、起業や何か新しいことに挑戦するひとの無駄を減らせたらいいですね。
偉そうに話しましたが、僕自身、そんなにリスクをとっていないのが正直なところです。借金をしたわけでもなく、6億円を資金調達したからといって、個人で返済するわけでもありません。たとえ事業に失敗しても、真面目にやっていれば評価してくれる人もいるし、次のチャンスをくれる人もいます。
失敗は山ほどしていますが、多く行動すると、失敗の数は増えるので仕方ないかなと。迷惑をかけてしまうこともありますが、人間、生きている限り、迷惑をかけたりかけられたりするのはお互いさま。なので、迷惑をかけてもかけられても気にしない方が社会にとってはいいと思っています。

本当に安定志向だからこそ、新しいことに挑戦して勉強し続けなければならない。新しいことへの挑戦がひとに成長を促し、またひたむきに挑戦すれば周囲からの評価もついてくるもの。だから「安定志向」の古川さんは、常に挑戦し続け、実力を磨いているのですね。

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[取材・文]早川すみれ

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