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「2人が最高のパートナーになる」小室淑恵さん、駒崎弘樹さんに学ぶ共働き戦術
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女性の活躍促進が盛んに言われる昨今。女性のキャリア形成についても関心が高まっています。

社会で活躍する女性が増えた場合、例えばみなさんの配偶者が昇格や転職などして今よりもキャリアアップした場合、夫婦などパートナー同士の関係にはどのような変化が起こり、そしてどのような支え合いが必要になるのでしょうか。

実際にそうした状況に直面した、女性の社会進出の分野で著名な株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役小室淑恵さんと、病児保育に力を入れるNPO法人フローレンス代表理事駒崎弘樹さんのお2人の経験談から、必要な備えを学びたいと思います。

お2人の共著である、『2人が「最高のチーム」になる ワーキングカップルの人生戦略』では、お2人がさまざまなデータを引用したり、実際の夫婦の悩みを聞いたりしながら、共働き夫婦が「チーム」としてどのように機能していけば良いのかについて語ったお話が書かれています。

女性は男性の「プレッシャー」、男性は女性の「覚悟」を知ろう

駒崎さんは、女性の活躍促進が注目を集めるようになる前、男性はある「プレッシャー」を感じていたといい、それを「大黒柱ヘッドギア」という言葉で表現しています。「自分が家族を養っていかなければならない」という強いプレッシャーのことで、共働き家庭で育ち、女性が働くことに理解のあった駒崎さんでさえ、心のどこかで感じてしまっていたのだとか。

戦後の日本は男性が働き女性が家を守るというあり方が「普通」とされてきました。力強く厳しい父親と母性にあふれる優しい母親が「理想」という考え方です。共働き家庭が過半数を超えた近年では、女性が働くことについての理解は少しずつ広まってきたように見えます。しかしその一方で、男性が「妻子を養って一人前」というプレッシャーを感じ続けていることは、実はまだそこまで理解されていないかもしれません。

小室さんも書籍の中で、「結婚はさまざまな意味で人生に責任をもつことだから、それに耐えるだけの自信がない」と言う彼に対して、こんな風に思ったと書いています。

それを聞いた私は「え? 私はあなたに何か重たいものを背負わせようとしているの?」とショックを受けました。そして、「彼は私のことを自立したパートナーとして見てくれているのだろうか?」と悩みました。

女性が当たり前のように「結婚・出産後も働く」と思っていても、男性にはそれが伝わっていなかったり、伝わっていても彼のプレッシャーを取り去るほどのことにはなっていなかったり……。

このようなプレッシャーを男性が感じ続けてしまっている理由の一つは、男性が女性の頑張りに気付いていない、ということでもあるのかもしれません。駒崎さんは、起ち上げたNPOの資金繰りが悪化し、自分の給料が出ない事態になってしまったときに妻から「私も働いているんだから2、3カ月は大丈夫だよ」と言われ、大黒柱ヘッドギアが外れたといいます。男性が考えているよりも、もしかしたら現代の女性は強く、「覚悟」があるかもしれません。

女性が男性のプレッシャーに気付くためにできること、そして男性が女性の覚悟に気付くためにできることは、「情報の共有」です。私たちの世代には、「専業主婦家庭で育ったけれど、自分は共働き家庭をつくろうとしている」という人も多いはず。共働き夫婦とはどんな夫婦なのか、共働き家庭はどんな家庭なのか。迷ったときに、共働きの先輩である2人が書いたこの本は道しるべになってくれるかもしれません。

忙しい毎日でも濃いコミュニケーションを取る方法

お互いをほめるコミュニケーションの取り方、共働きならではの時間の使い方、子育てを通しての地域との関わり方、お金の管理法……。『ワーキングカップルの人生戦略』の中には夫婦が前向きに助け合うための具体的な方法がいくつも提案されています。

たとえば、コミュニケーションが大切なことはわかっていても、共働き夫婦は忙しいもの。どうしたらいい?

紹介されている具体的な方法は、子どもを寝かせた後の「夜お茶タイム」、戦場のように忙しい朝でも忘れずに「しっかり見送り」すること、家族みんなで入ればパソコンやケータイに邪魔されない時間をつくれる「朝バスタイム」、勤務地が近いカップルであれば「ウィークデーランチ」。コミュニケーションを取る工夫を2人で考えることも、コミュニケーションの1つになりそう。

女性が育休中なら、家事の分担も忙しい夫婦のコミュニケーションにおいて重要です。

「育児のために休んでいるのだから」と思って、育児を全て自分でやろうとしてしまう女性も多いかもしれません。でもこれはNG。これが習慣になってしまうと、「家事も育児も一手に引き受けたまま」仕事に復帰することになってしまう、と小室さんは指摘しています。小室さんが深夜2時帰宅が当たり前だった夫にまず提案したのは1週間に1日、早く帰る日をつくってもらうこと。育休中こそ、その後の「予行練習」だと考え、役割分担を決めていく必要があるようです。

ちなみに、子育てが落ち着いたら女性は仕事に復帰しようと考えている夫婦にとって、産休・育休に入る前の引継ぎが実は大切。体調が良いうちは部署のリーダー的な人の仕事を率先して手伝いましょう、と書かれています。なぜかといえば、「自分はもうすぐ休みに入るから」と遠慮して消極的になると、周囲からは「休むから手を抜いている」と見えてしまうから。仕事を率先してやり、チームワークを大切にしていることを覚えておいてもらうことが大切です。

たくさん書かれている具体例を夫婦2人で読み、自分たちに合うものを選択していくのも良いでしょう。もしかしたら、本を読むうちに自分たちなりの方法がいくつも見つかるかもしれません。パートナーと何度も話し合い、日々リサーチし、将来像を常に更新していきましょう。書籍のタイトル通り、夫婦は「チーム」なのですから。

記事監修:株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵さん

1997年、日本女子大学文学部在学中に、渡米し住み込みのベビーシッターとして生活。1999年、株式会社資生堂に入社。2006年、株式会社ワーク・ライフバランス (http://www.work-life-b.com/)を設立。育児休業者の職場復帰支援サービス「armo (アルモ)」を開発し約500社に導入。900社以上の企業に「ワークライフバランス コンサルティング」を提供し、残業を減らして業績は向上させるという手腕に定評がある。安倍内閣 産業競争力会議の民間議員や、文部科学省 中央教育審議会、内閣府 子ども子育て会議委員、経済産業省 産業構造審議会委員、厚生労働省 年金部会委員など公務を務める。著作多数。

 

参考書籍:『2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略単行本』 小室淑恵・駒崎弘樹著(英治出版)

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[文] 岡徳之

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