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ジョブズ、マスク、ブリン、シュルツ… イノベーターたちの「夫婦の形」
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キャリアを築いていくビジネスパーソンと、その配偶者など、いわゆる「パートナー」との関係において現在生じている数々の課題を、弊誌では「パートナーの壁」と呼んでいます。

この他の記事では、私たちの身に起こりうる等身大の課題や、解決に導く実践的なアイデアをご紹介してきましたが、今回は趣向を変えて、「イノベーター」、社会を革新してきたビジネスパーソンたちの、パートナーの壁をご紹介します。

ビジネスにおける功績にばかり注目が集まりがちですが、いわずもがな、彼らにも家庭のパートナーがいます。オフィスを出て、自宅に戻った後のオフの時間、彼らは家族、特に配偶者とどのような関係を構築していたのでしょうか。

家庭でもそのユニークぶりを発揮していたのか、それとも・・・・・・。イノベーターを「4つのタイプ」に分けてご紹介します。もしかしたら、ご自身との共通点も見つけられるかもしれませんよ。

「イノベーター夫」を分かつ4象限

今回は、4名の著名なイノベーターを2つの軸で分けてみたいと思います。1つめの軸は、パートナーとの「ビジネスでの結びつきの強さ」です。ビジネスパートナーといえるほど結びつきが強いのか、それとも仕事と家庭はきっちりと切り分けるのかを指します。

2つめの軸は、パートナーとの「家庭での結びつきの強さ」です。パートナーの意志や同じ空間で過ごす時間を尊重することに対して積極的か、それともビジネスに邁進しすぎるがあまり、家庭を犠牲にしてしまうこともあったのかを指します。

イノベーターたちのプライベートに関わる情報はあまり表には出てきませんので、一概にこうと言い切ることは難しいのですが、これまでの逸話から、彼らなりのパートナーの壁に対する考え方を推測していきたいと思います。

スターバックスCEO ハワード・シュルツ氏

今では世界66カ国の国と地域に21,000以上の店舗を展開し、世界的なコーヒーチェーンブランドとなった「スターバックス」ですが、シュルツ氏が入社した1982年にはアメリカ・シアトルに4店舗あるのみでした。

シュルツ氏は入社する前、キッチン用品などをあつかう北欧系企業のニューヨーク子会社に、副社長として務めていました。そんな同氏がスタバに惹きつけられたのは、顧客に高品質なコーヒー豆を販売し、その豊富な知識を伝えることで、ドリップ式のコーヒーメーカーを多く販売していたという、非常に強い商品へのこだわりと顧客志向でした。

参考:伝記ステーション

そして同氏はそれまでのおそらく好待遇を手放し、ニューヨークからおよそ4,500キロ離れたシアトルに移り住むわけですが、この一大決心を支えたのが彼の妻です。実は彼女、元イタリアの家具メーカーでデザイナー兼マーケティング担当者として働いていたと言われています。定かではありませんが、彼女もまた大きな決断をしたのでしょう。

シュルツ氏は毎朝4時30分に起床し、朝の時間を大切にする人物としても知られていますが、なにをしているかというと、「妻にコーヒーを淹れてあげるんだ」そうです。まだ成功するかどうか誰にも分からなかった頃から自分のビジョンを理解し続けてくれたパートナーと、自宅ではゆったりとした時間をともに過ごしているようです。

参考:スターバックスCEOが毎朝4:30に起きる理由「21世紀の歴史は朝に作られる。」 | Leading & Co.

アップル元CEO スティーブ・ジョブズ氏

2011年にこの世を去ったジョブズ氏。彼の人生を題材にした映画などでも伝えられているように、一度目の結婚で失敗を経験したことはやはり記しておかなければなりませんが、二度目では家庭的で、家族を大切にしたと言われています。逸話を2つご紹介します。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、コラムニストのニック・ビルトン氏が「ジョブズ氏の自宅は、壁には巨大なタッチスクリーン、ダイニングテーブルにはiPadが埋め込まれていて、ゲストにはiPodが配られる、”ギークの天国” のような場所なのでは」という空想話を彼にぶつけたところ、ジョブズ氏はそれを否定。返ってきたのは、「自分の子どもたちには、テクノロジーに触れるのを制限しているよ」というあまりにも意外な答えだったそう。

彼の自叙伝『Steve Jobs』(日本版『スティーブ・ジョブズ〈Ⅰ〉』『同〈Ⅱ〉』(井口耕二・訳、講談社)の著者であり、彼の自宅でともに多くの時間を過ごした作家 ウォルター・アイザックソン氏から聞いたところによると、「毎晩の夕食のとき、彼は決まってキッチンにある長いテーブルに座り、本や歴史などあらゆることについて会話する。子どもたちは決してデジタルデバイスの中毒になっているようには見えなかった」そうです。家族やパートナーと過ごす時間を尊重していたようですね。

参考:Steve Jobs Was a Low-Tech Parent | The New York Times

 

グーグル共同創業者 セルゲイ・ブリン氏

ブリン氏は、今回ご紹介する4人のイノベーターの中で、パートナーとのビジネスにおける結びつきがもっとも人物と言えるでしょう。

妻のアン・ウォジツキ氏は、グーグルも出資する遺伝子情報サービスのベンチャー企業米23andMeの創業者の一人。個人がウェブ上のツールと最新のDNA分析を通じて、自分の遺伝子情報を入手できるサービスを展開しています。

参考:Google出資のゲノム企業立ち上げーーWebベースの遺伝子情報サービス開始 | ITmedia ニュース

さらにブリン氏は、ウォジツキ氏の姉 スーザン氏とも結びつきが。スーザン氏は、グーグルの広告事業責任者、そしてYouTubeのCEOを歴任した人物。しかもブリン氏はグーグルを立ち上げた直後、彼女も暮らしていた父親の家のガレージを借りていたのです。

ブリン氏は自身の浮気が原因でウォジツキ氏との不仲も取り沙汰されているため、家庭的かと言われると疑問符が付きますが、このようなパートナーとの関係も成り立つのですね。

参考:【コラム】世界エンタメ経済学 (75) | マイナビニュース

連続起業家 イーロン・マスク氏

最後は、ある意味「番外編」。決済システム「ペイパル」、電気自動車「テスラモーターズ」、宇宙ベンチャー「スペースX」などの創業者として、これまで革新的なアイデアを具現化し続け、成功を収めてきたマスク氏ですが、私生活では二度の離婚を経験するなど、パートナーの「壁」に苦戦してきたようです。

マスク氏にとって初めての妻で作家のジャスティン・マスク氏は、マリ・クレール誌の取材に対して彼らの結婚生活について以前語ったことがあります。

二人が出会ったのはお互いがまだ大学生の頃でしたが、結婚し、夫のマスク氏が成功を収め、二人の間に経済的な格差が生じると、マスク氏はジャスティン氏の粗を見つけてはそれを厳しく追求するようになってしまったそう。ある日、ジャスティン氏がマスク氏に対し、「私はあなたの妻よ。部下ではないの」と言うと、彼は「もし僕が君の上司なら、君はクビだ」と返したそうです。

そうして二人の関係がギクシャクし始めた後も、マスク氏は自宅に仕事を持ち帰り、「家にいても、心はどこかにいってしまっている感じ」(ジャスティン氏)でした。さらに、執筆の締め切りが迫るジャスティン氏が自宅で仕事をしていると、「君はいつも本を読んでばかりだな」と非難。こうしたやりとりを経て、二人の関係は冷えきっていったそうです。

マスク氏の事例はあまり参考にはできませんが、イノベーターにはまわりが見えなくなるほどの思いが時には必要なのかもしれませんね。

参考:”I Was a Starter Wife” : Inside America’s Messiest Divorce | Marie Claire

 

ジョブズ氏が妻に宛てたラブレター

ご紹介した4人全員に共通していることは、いずれもビジネスで成功しているという点です。しかし、家庭のパートナーを幸せにできているかはそれぞれ。あなたはどのイノベーターとそのパートナーの関係に共感できますか。

おそらく夫婦双方の満足度が高いのは、スターバックスのシュルツ氏とジョブズ氏ではないでしょうか。シュルツ氏は朝4時30分に妻にコーヒーを淹れ、ジョブズ氏は子どもや家族のことを第一に考えていました。彼らがどれほど家族に尽くしていたのかは想像しにくいですが、ただどれほど家族を愛していたかは、ジョブズ氏の伝説的なラブレターから伝わってくるでしょう。

ジョブズ氏の自叙伝(日本版『スティーブ・ジョブズ〈Ⅰ〉』『同〈Ⅱ〉』(井口耕二・訳、講談社)でも紹介されている、彼が亡くなる前に妻のローレン・パウエル・ジョブズ氏に送ったとされる手紙の一節をご紹介します。

 

 

“We didn’t know much about each other twenty years ago. We were guided by our intuition; you swept me off my feet. It was snowing when we got married at the Ahwahnee. Years passed, kids came, good times, hard times, but never bad times. Our love and respect has endured and grown…”

”20年前に出会ったとき、僕らはお互いのことをよく知らなかったね。でも直感に導かれて、一緒になったんだ。ヨセミテ国立公園のアワニーで”結婚式を挙げたとき、外は雪が降っていた。月日が流れ、子どもたちが生まれ、良いときもつらいときもあったけど、悪いときは一度もなかった。”

“We’ve been through so much together and here we are right back where we started 20 years ago – older and wiser – with wrinkles on our faces and hearts. We now know many of life’s joys, sufferings, secrets and wonders and we’re still here together. My feet have never returned to the ground.”

”僕たちはこれまで数えきれないほどの経験をしてきて、年をとって、賢くもなった。顔にも心にも皺は増えたけどね。だけど、君への想いは20年前と何も変わらないよ。楽しいこと、つらいこと、二人だけの秘密、驚き、僕らはすべて分かち合ってきたね。今だって、出会った頃のように君に夢中なんだ。”

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[文] 岡徳之

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