脳が勝手に学びたがる!「無意識学習モード」のススメ

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「学習のモチベーションはあるけれど、なかなか行動に移せない、習慣化できないーー」このような悩みを持つビジネスパーソンは多いかもしれません。しかし一方で、何を学んでも短期的に自分のものにしている「学習の達人」がいるのも事実。両者の間にはどのような違いがあるのでしょうか。

「無意識」を使って学習の習慣化を促す

そもそも学習が習慣化している状態というのは、学習を「無意識」に始められるということです。無意識に学習モードに入ることができると、意識的に学習を行うことに比べ、学習の効果は飛躍的に高まります。だから、学習が習慣化されるのです。

このことは、最新の脳科学でも実証されています。ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授、ジェラルド・ザルトマン博士によると、人間の生命・思考活動の95%は無意識下で起こっています。

そして、無意識下で行われる計算の量は意識下のそれとは比ではありません。意識が1秒間に処理できるデータ量は40ビットほどなのに対して、無意識が処理するデータ量は約1100万ビットといわれています。

学習においても、この「無意識」の力を使うことができると、圧倒的に効率よく学習を行い、習慣化を促すことが可能です。

無意識学習のサイクル

筆者の知人にプロの通訳・翻訳家がいますが、彼も無意識の学習モードに入るコツを得ている一人です。彼いわく、プロになるための必要条件は「自分の身長の2倍の高さに相当する英語文献を読むこと」。相当量の英語をインプットすることが、プロに近づく方法だというのです。

そんな彼も20歳になるまで勉強が苦手で、学習開始当初は英語に関してまったくの素人でした。ですから、「この文法はSVO」「この文は現在完了」など、意識しなければ内容が理解できませんでした。しかし、文法と単語を中心に基礎的な英語の学習を続けていると、文法などを意識しなくても読めるようになったそう。一旦英語がスラスラ理解できるようになると、それが楽しくなって、英語でいろんな論文を読んでみたり、海外ニュースを見たりするようになったというのです。

「意識的」な努力を持続させる方法

無意識の学習モードに入ることが習慣化の要。ですが、そうなるまでが大変です。

初めは意識的に学習を行う必要があるのですが、エネルギーを多く消費するためつらいと感じてしまいます。つらいと感じると脳はリラックスしていないので、インプットが非効率になり、学習効果を感じられません。すると、意義を感じられず長期的に続けることが苦痛になり、やめてしまいます。まさに、悪循環です。

無意識の領域になるまでは自制心を持って意識的に取り組むことが必要ですが、その秘訣を、ケリー・マクゴニガル氏の有名な著書『スタンフォードの自分を変える教室』から紹介したいと思います。

同著が指摘する意識的な取り組みを阻害する要因はストレス。ストレスがある状態では、いろんな焦りや不安が頭をよぎり、学習に没頭することはできません。これでは先ほどの悪循環に陥ってしまうのは無理のない話です。

同著によると、ストレス解消に最も効果的だったのは、5分間のエクササイズとのこと。ストレスがあるな、と感じたら家の周りを5分間だけ散歩してみる。これだけでも意識の持続力は長くなるはずです。

十分な睡眠も、ストレス解消には効果的です。睡眠不足では、ストレスが高まるだけでなく、欲求や誘惑に負けやすくなるため、意識的な取り組みは長く続きません。1日6時間以上の睡眠を確保するように。

就寝時間も重要です。身体の疲労を取る成長ホルモンは夜10時〜夜中2時までに分泌されるます。夜更かしをせず早く就寝すると、翌日はスッキリした状態で目覚められ、集中力を保つことができます。

また、同著が主張する重要なポイントとして「意志力は鍛えられる」ということがあげられます。意志力は筋肉のように鍛えられるのです。毎日、意識的に取り組みを行うことで、最初はすごくつらいことでも、時間が経てば、そのつらさは軽減するはずです。そして、さらに継続すると、それが無意識の領域に到達するのです。

無意識で学習モードに入れると、意識して「学習しなければ」と思っているときに比べ、疲れません。学習を無意識に始められるひとたちは、自転車を無意識で乗るがごとく、スイスイと学習を進めていきます。このとき意識は「学習すること」ではなく、学習する内容に向けられているので、学習内容の理解が進み、いわゆる「アハ体験」を多くすることになり、楽しくなってくるのです。このサイクルが一度できると、学習が止まらなくなるのです。

学習が重要だとわかっているけど、なかなか行動に移せない、習慣化できない。そんな悩みを持つひとも、最初の「学習を意識的に持続」するという難関を超えることができれば学習をすることが習慣となり、いろんな分野の知識・スキルを習得することが楽しくてしかたなくなるかもしれません。そうなれば、キャリアだけでなく、人生そのものがより充実したものになると思います。

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[文] 細谷元

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