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「厳しいが、人を本当によく育てる上司」が持っていた6つのルール

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに「厳しいが、人を本当によく育てる上司」をテーマに寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える。

あなたには記憶に残る先輩や上司がいるだろうか? 私にも、よく覚えている人がいた。

私にとって彼はとっつきづらく、何を考えているのかサッパリわからなかった。いつも怒っているようであり、下のことなど歯牙にもかけないような雰囲気だった。

後になって、それはまったくの誤解だということがわかったのだが、とにかく当時はそんな余裕は一切無く、

「今月中にこれやって」(この量を今月中に・・・?)

「これじゃまったくダメだね」(一生懸命やったんだけど・・・)

「何か発言しなよ」(って言われても・・・ 年上ばかりだし・・・)

と言った具合に、彼の発言一つひとつに四苦八苦したことを記憶している。

だが、特に最初につく指導者は、とても大事だ。

「最初の指導者の仕事ぶりで、基準ができてしまう。だから、実は新人の扱いはものすごく注意が必要だ」

と、彼は言った。

まさにその通りだった。

自分が手を抜けば、新卒にそれがそのまま伝わる。自分が気合いを入れれば、新卒も熱心にやる。そして、一旦変な癖がつくと、それはなかなか解消できない。

私の観察では、彼は誰よりも厳しかったが、「下の人を育てるルール」を持っていた。それは、以下のようなものだった。

1.目標は高く持たせる

下に「一見無理だったけど、達成できてしまった」という体験をさせられるかどうかが、

その後のその人物の伸びしろを決める。彼はそのような思想のもとに動いていた。

「絶対に出来そうなことを、予定通りできたというだけの仕事の与え方をしてはいけない」と、その上司は言った。「いいか、目標を高く持たせて、かならず部下には失敗させろ」と、ときには極端なことも言った。

人によっては彼を「単に無茶を言う上司」と捉えていたが、自分が予想した範囲で仕事をするだけの人にはブレークスルーもない。

2.手取り足取り教えてはいけない

「失敗して、上司がきちんと助けたとき、そこで上司を初めてありがたいと思うようになる。ただし、手取り足取り教えるな」と彼は言った。

「必ずヒントだけ与えて、考えさせろ」

その言葉通り、彼は決して答えをそのまま教えることはしなかった。「自分で考えたことだけが、血肉となって身につく」。それが、彼の信念だった。

下に教えることは自分の知識を披露することであり、一種の快感である。だが、安易に教えてはいけない。「見て盗め」という言葉が嫌われがちな昨今だが、結果的に「見て盗め」が知識や技能を昂進させることもある。

3.失敗を責めない、ただし「怠けているとき」には容赦なく叱る

彼は失敗しても新人に対して怒ることは一切なかった。なぜなら彼は「怒れば挑戦しなくなる」ことを知っていたからだ。「そんなものは失敗のうちに入らない」と彼はよく言った。

だが、「怠けていること」に関しては人一倍厳しかった。

  • 手抜き
  • 短慮
  • 不作為

これらに対しては、彼は烈火のごとく怒った。彼は「妥協」を教えたくなかったのだ。「妥協に逃げるようになると、ずっと妥協する人生だ」と彼は言った。

妥協のまったくない仕事をするのは難しいことだが、はじめから妥協ありきでは、高みに到達することはできない。

4.仕事は成果が出るから楽しい

彼は「つまらない仕事も楽しくやれ」とは言わなかった。彼が言ったのは「つまらなかろうと、面白かろうと、そんなものはどうでもよい。成果が出ることをやれ」だった。

「でも、面白いと思わない仕事では、成果が出にくいのでは?」と反論すると、彼は「逆だ。成果が出るから楽しいのだ」とだけ言った。

彼にとっては面白いか、つまらないかは単なる「手段」や「過程」の些細な話だった。そもそも、面白い、つまらないというのは、本人の主観によるものであり、「成果」が出ればおよそどんな仕事でも楽しくなる。

どんな仕事であっても、うまくできれば楽しい。昨日よりも今日のほうが上達していれば楽しい。彼は、それを知っていた。

5.細部が重要

「仕事のクオリティを決めるのは細部である」と彼は言った。その言葉の通り、彼は下の仕事に対して、おそろしく細かい指摘をした。

例えば、提案書のタイトルとサブタイトルの細かな違い、語尾の用言・体現の使い分け、項目の算用数字と漢用数字の統一感など、挙げていけばきりがない。

もちろん、サーバーのフォルダ名、ファイルネーム、マニュアルのバージョン管理などにも非常に細かい指摘をする。彼は「重要だと認識する部分」については、細部まで徹底して管理をした。

「細部まで指摘しなければ、本当に仕事を教えたことにはならない」と彼は言った。

その反面「成果と無関係」と認識された部分についてはまったく関知しなかった。席次や肩書、紙か電子ファイルか、メモの取り方、服装、上司との飲み会の有無などについては、大雑把だった。

ゆるめるところはゆるく、こだわるところは細部まで、メリハリが重要なのだ。

6.カネを与えるかは短期的な評価。地位と権力を与えるかどうかは長期的な評価

「短期的な業績は、その人の能力を測る材料にはならない」と彼は言った。

最終的に地位と権力を与えるかどうかは、人からどれだけ信用されているかという話に基づくべきであるという信念を、彼は持っていた。

逆に、短期的に成果が出ている人には惜しみなく褒賞を与えた。「業績に対して、カネを惜しむ上司は信用されない」とも彼は言った。

地位と権力は、信用に対して与えられるもの、お金は業績に対して与えられるもの、その二つを切り離して考えることこそ、人事の要諦だと彼は考えていた。

昨今は「サーバントリーダー」や「優しい上司」が若手に人気があるという。だが、人気があるからといって人を育てることができるかといえば、そうではない。

また、考えなしの理不尽な要求や暴言を吐くリーダーも、「人を育てるリーダー」とは異なる。

そうではなく「人を育てるリーダー」は、上のような厳しい規範を持ち、下にとって何が良いかを真剣に考えている人物なのだ。

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