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上司は部下と「フラット」だけど「ナメられない」関係づくりを目指すべし

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「仕事がつまらない理由」について寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える

従来、会社は軍隊のように、上司が考えたことを「上意下達」でそのまま実行させることが不文律であった。組織をフラットにすること、従業員が決定に対してあれこれ意見を述べることは、施策の実行力やスピードに欠ける行為とみなされた。

だが、会社が現在のように専門家集団でなくてはならない世の中となると、上意下達の限界が露呈する。すなわち、「ボスがすべてを知っているから、言う通りにやれば良い」とすることがリスクとなった。

ジェームズ・W・ヤングは、「アイデアは、既存の要素の新しい組み合わせ」と著書(*1)で述べたが、上司だけで考えるよりも部下がもつ知識を活用したほうが、組み合わせの数が多いのは自明である。したがって、アイデアが必要な仕事においては上司は部下の力を借りなければならない。

*1 『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)

そのためか最近では、上司と部下とで、何かと「フラットな関係」を築こうとする会社が増えている。上司は専門家たる部下の知識を必要とするし、部下は自分の知識を活かす方法を知っている上司に頼らざるをえない。そこにあるのは、黒澤明の「七人の侍」のように、個人が独立して成果に責任をもつ組織である。

部下は上司にきちんと意見が言え、上司は権威を振りかざすことなく、部下の信頼を得る。これが理想的な組織の姿である。

だが、「フラットな関係」にはデメリットもある。ある会社の役員は、「最近、部下が私のことを軽んじるようになった」と感じている。

以前は彼をおそれ、「命令」をよく聞いてくれた部下たちが、会社の経営方針に「フラットな組織」が入ったことを皮切りに態度を変えたのだ。彼はフラットに信頼されるどころか、

「どうせあの役員は現場に疎いから」

「システムのことなんて、何も知らないんでしょ」

「時代遅れだよね」

そういう話を耳にするようになったという。

そして、彼がもっともそれを感じたのは「人事評価」の時期だ。彼が悪い評価をつけた部下が、あからさまに「アンタなんかに評価ができるのか」と不満を表明した。この役員は「フラット」を通り越して、「ナメられている」状態となってしまったのだ。

では、「フラット」で「ナメられない」という状態は存在するのだろうか。かのマキアヴェッリは、『君主論』(*2)の中でこんなことを書いている。

「君主は常に人の意見を聴かなくてはいけないが、これは他人が言いたいときにそうするのではなく、自分が望むときに聴くべきである。いや、君主が訊ねるとき以外は、だれも君主に助言しようなどという気持ちをもたせないようにすべきである。しかも、君主は幅広く自由な聴き手でなくてはいけない。その上、訊ねたことについて、忍耐強い、真実を知る聴き手でなくてはいけない。いや、おそれ敬うあまり、誰かが返事をしないとわかればむっとした顔を見せるべきだ」

そして、マキアヴェッリはこう続ける。

「要するに、このような結論になる。誰から立派な進言を得たとしても、良い意見は君主の思慮から生まれるものでなければならない。良い助言から、君主の思慮が生まれてはならない」

件の役員は、「フラットな関係」を築こうと、部下の意見を重視し、部下と親しくなろうとしてしまったのだ。それは、逆に「フラットではない関係」を生み出してしまう。

部下と親しくしてはならないし、部下の意見を必要以上に重視してはいけない。そうすれば、彼は間違いなく、勘違いする。「この上司は、オレがいないと何もできない」と。その考え方は、上司を侮ることにつながるのだ。

*2 君主論(中公文庫BIBLIO)

つまり、「フラットな組織」を実現する条件は以下の通りである。

  1. 上司は部下の進言、知識に関して、自ら勉強し、判断できなくてはならない。「この上司は部下の言うことを鵜呑みにするぞ」と思われれば、上司は部下に「ナメられる」のだ。
  2. 上司は部下と親しくしてはならない。ピーター・ドラッカーでさえ、「一流のチームを作る者は直接の同僚や部下とは親しくしないということである。好き嫌いではなく、何をできるかで人を選ぶということは、調和ではなく成果を求めるということである。そのため彼らは、仕事上近い人間とは距離を置く」と述べている(*3)。フラットな関係は、親しくすることと同じではない。フラットでいればいようとするほど、親しくするのではなく、逆にある程度の距離を取ることが必要となる。
  3. 上司は「尊敬の対象」であるときに初めて、「部下とのフラットな関係」を保つことができる。言うまでもないが、無能な上司はもっとももちたくない上司の一つである。したがって、常に上司は視座を高く保ち、自己研鑚に励む必要がある。

*3 経営者の条件(ダイヤモンド社)

上司は、部下と「フラット」だけど「ナメられない」関係づくりを目指さなくてはならない。それは、今まで以上にバランスの取れたマネジメント能力を必要とする。

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