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トップビジネスパーソンたちが実践するGRITの本当の高め方

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脇目も振らず、集中して1つのことに取り組み続けることが、何よりも高い成果と成長をもたらす。

この主張には、多くの人がうなずくのではないでしょうか。実際、この「1つのことに集中する」というテーマをあつかった書籍『GRIT』は、2016年にビジネス書のベストセラーになっています。

ところが、『“未来を変える” プロジェクト』の編集部で、この書籍で紹介されている「GRITスコア(1つのことに集中し、あきらめずに取り組み続けることができるかのスコア)」を実際に約200名に調査した結果、「極めて高い業績を出している人のGRITスコアがとても低く出る」という、予想外な結果が出ました。

そこで本記事ではあらためて、「高い成長をもたらすために、GRITにどのように取り組めばよいのか?」という点を深掘りしました。特に仕事に取り組む際のスタンスについて、約100名の現役ビジネスパーソンとの議論・フィードバックを踏まえてご紹介します。

本記事のアウトラインです。

INDEX読了時間:7

書籍『GRIT』で紹介されている「GRITと高業績者との関係」

まず、書籍『GRIT』では、モノごとに取り組む姿勢「GRIT」は下図に紹介される「情熱」と「粘り強さ」の2要素で定義され、GRITスコアが高い人ほど、業績・成果が高くなるという内容が紹介されています。

書籍『GRIT』で紹介されている「GRITと高業績者との関係」

これをイメージ図で描くと、下図のような「目の前にいくつかのテーマ、取り組む内容の候補があっても、脇目も振らずに1つのことに時間を使い続ける」というものになります。

書籍『GRIT』で紹介されている「GRITと高業績者との関係」

この内容を深掘りすべく、本プロジェクトにて約200名のビジネスパーソンに実際にGRITスコアを自己申告でつけてもらったところ、意外な結果がもたらされました(書籍の中の研究でも、自己申告スコアがベースとして使われています)。

GRITスコアを検証してみたら、高業績者のGRITスコアが軒並み低く出た

約200名の回答を回収後、GRITスコアで回答者を並べてみたところ、意外にもGRITスコアが低く出た回答者の中には、明らかに卓越した業績を出し、世間的にも著名な人物がかなり含まれるという結果が出ました。

そこで、この200名について各回答者の業績や成果をプロジェクト側で点数化。そのスコアとGRITに関する各スコアとの相関係数を取ったところ、以下のような結果となりました。

「社会的成功」との相関関係

なんと、ほとんどの個別項目、そして統合されたGRITスコアについて、成果との相関が見られない結果となりました。一般論として、絶対値で0.5を超えれば強い相関、0.3以上でそこそこの相関があると言われますが、これを見るかぎり、成功とGRIT指数とは「ほぼ無関係」ということになってしまいます。

高業績者に個別ヒアリング

これらの結果を踏まえ、回答者の中で高い業績を残している一方、GRITスコアが低く出ている方たちにヒアリングを行ったところ、下図のような構造が見えてきました。

高い成果を挙げている人に見られる取り組みのパターン

この面々は、時間を使っている一つひとつのテーマは、本人が持っている根源的な大元のテーマや価値観(図で「☆☆☆」と示しているもの)につながっていました。一方、大元の「☆☆☆」につながっていないことには時間を割いていない、というのが共通項として見えてきました。

例えば、卓越した成果を出している本業の銀行での業務に加え、国際会議で特定分野をリードするある回答者は、以下のようなコメントを寄せてくれました。

銀行屋なもんなので、人生のバランスシートマネジメント(非金銭含む)、ポートフォリオ論、キャリアマネジメントからいっても、いろいろやるほうがいいんです。どんな場所、仕事、年齢で自分軸と社会軸のシナジーが生まれるかについては、これだけ不確実な時代ですからセレンディピティ的なワークが大事だと思います(30代・男性・銀行)

逆に、GRITのアンケート上では高いスコアになっているものの、特筆すべきような成果を出すには至っていない方々に話を聞くと、自省も含め、以下のような構造が明らかになっていきました。

GRITは高いが成果を挙げていない人の取り組みパターン

大組織の中で、自分が与えられたテーマについて愚直に時間を使っているものの、自分が会社の方向性やその仕事の方向性・価値観とずれてしまっている。

そして、自分が本当に価値を高く感じ、取り組みたいと思っている活動は、所属している組織の中では行うことができず、平日の日中にそれができないもどかしさに悶々としている。

そんな声が、「GRITスコアは高いけれど、成果につながっていない」方々のパターンして浮かび上がってきました。

では、こうした「大元の☆☆☆が見えており、それに忠実なことだけに時間を割く」というパターンは、どのようにして形成されていくのでしょうか。

今回の記事に対して集まったフィードバックの内容をもとに、「2つのパターン」についてご紹介します。

  • パターンA:初期から明瞭
  • パターンB:模索して到達

パターンA:人生の目標が最初から明確

これは、才能に恵まれたスポーツ選手などのパターン。幼いころからいくつかのスポーツをする中で、割と早い時期、10代の前半で特定の競技で圧倒的なパフォーマンスを発揮することができ、「オリンピックで金メダルを獲る」など非常に明確で取り組みやすく、なおかつ自分の才能に合致しているテーマを追い求めるパターンになります。

これがうまくいくと、最初は下図のようなことが起きます。

パターンA:人生の目標が最初から明確

ただ、書籍『GRIT』で触れられていたのは、こうした「テーマが明確なとき」にGRITし続けることの難しさです。具体的には、以下のような点がこのパターンにおいて重要になります。

  1. 自分が成長するにつれ、さらに成長を引き出すような特殊で工夫がある鍛錬を試行錯誤する必要がある
  2. 手本となるような存在を持ち、その取り組みの姿勢を盗むことが重要
  3. くじけたり、希望を失ったりしないよう、一定の刺激やフィードバックの仕組みが必要

そして、当初の領域で一定の成功を収めると、その成功のパターンをどんどんと他のテーマ・領域へと応用していきます。

特定領域の成功横展開

実際、オリンピックのゴールドメダリストなど、卓越した実績を挙げたスポーツ選手が事業においても成功することは少なくありません。そのときに彼らが取るアプローチは単に名声が高いというだけではなく、

  • 事業領域の第一人者にどんどんと会いに行く
  • 必要な人材・コーチとなるような人を惜しげもなく巻き込む
  • 取り組みの成果・プロセスを細かく設定し、それを成し遂げていく

といった勝ちパターンを、スポーツ以外の分野でも同じように発揮することができるからです。

パターンB:模索しながら「☆☆☆」を見つけていく

先ほどのパターンに対して、今回多くの高業績を挙げているビジネスパーソンから圧倒的に支持を集めたのが、「模索しながら☆☆☆が見えてくる」というパターンでした。このパターンの典型的な変遷を図で示しながらご紹介していきます。

まず、このパターンの人の場合、仕事を始めた当初は自分の「☆☆☆」となるようなものは持ち合わせていません。

社会人になりたてのころ

ほんの軽い動機だったり、会社でたまたま取り組み始めたことについてとりあえず時間を使って取り組んでみる、というのがたいていスタートパターンです。

子どものころからコンピュータが大好きで、迷うことなく理系に進学。その流れのままにSIerに就職してシステムエンジニアに。志はありませんでしたが、自然体でとても充実した日々を当時は過ごしていました(40代・男性・SIer勤務経験者)
大学は偏差値が高めの大学が良いと聞いたので、自分で行ける一番偏差値の高い大学を志望し、大学卒業したら一度は大手に行ったほうが良いという親の勧めもあり、給料と企業規模だけで就職先を決めました(40代・男性・AI系ベンチャー代表)

こうして1つのことに取り組み、そこで仕事のスキルや型を身につけると転職をしたり、今までとまた違った仕事に取り組むことで「専門分野の壁」「会社の壁」といったものを超え、また違う強みを身につけていろいろな能力を伸ばしていく、ということを次に経験していきます(下図)。

社会人になって数年経過後
これまでの自分のビジネススタイルを思い返すと、常に複数のプロジェクトを走らせ、その中に型を見いだし、次のプロジェクトに応用し、その違いを明確にすることで、元のプロジェクトが止まったとしてもナレッジと型は残す。また新しいプロジェクトに取り組む際には型を応用(すべてではなくエッセンス)、そしてその型が成長を続け、また新しい局面に対しての応用力を持つ。ただしその型のみにこだわらず、いろんな型を局面ごとに持ち、新しいプロジェクトに対して型の選択と複合を手掛けてきました(50代・男性・事業開発)
会社の先輩が独立起業するとき、自分にも声がかかりました。声をかけてもらった嬉しさと、なんか楽しそうという感覚であっさり転職。動機としては「こっちが面白そう」くらいでしたが、新しい会社・事業の立ち上げは想像とはまったく違い、本当に何もないので何でも自分でやらなければなくなり、馬車馬のように働き続け、役員にまで昇進しました(前出の40代・男性・SIer勤務経験者)

そして、いくつかのきっかけ、あるいは時期が来ることで、自分が目指す「☆☆☆」が突然見えてくる瞬間が訪れます。

いろいろな試行錯誤の結果
起業した当初は社長という意識も責任感もありませんでしたが、何年かやっていくうちに気がつけば意識と責任感が身につく。以前では考えなかった「世の中のため」や「会社を良くするため」みたいなことが重要な価値観になりました(前出の40代・男性・AI系ベンチャー代表)
シグマクシスの立ち上げをやっている中で社会に求められる人材はアグリゲーターだという思いに至り、アグリゲーターを輩出し、事業開発を作り出す営みが一番できる状態がハッピーだなと思い、今年までやってきた感があります。そして2017年初めに、シグマクシスもまだやりたいし、アグリゲーターも増やしていきたいのですが、そもそもちゃんと社会のあり方をもっといろいろな人と語り、作っていきたいという想いに至りました(シグマクシス社・柴沼俊一氏)

そして、この「☆☆☆」が見つかるタイミングには個人差があり、かなりの割合の方が、40代、50代になってから、自分の手応えとして「☆☆☆が明確になってきた」ということに言及していました。

「☆☆☆」に関して参考になる3つのTips

さて、以上のさまざまな方からのインプットをまとめていくと、高業績をもたらす「GRIT」について、人生をかけて追い求める「☆☆☆」を得る道程について、以下の点が参考になりそうです。

  1. 「☆☆☆」が明確になっていなくても、成果を挙げることも成長もできるし、その模索期間そのものが楽しい
  2. 「☆☆☆」が訪れるタイミングは、Aパターンで10代の人もいれば、40代、50代の人もざらにいるから、焦る必要はない
  3. ただし、自分の本来の「☆☆☆」と違うところで、とりあえずの勝ちパターンに安寧とし、次の変化や他の「☆☆☆」の模索を止めてしまうのはもったいない

特に、最後の点について、こんなコメントが寄せられました。

誰しもGRITは持っているのに、それを自覚するタイミングは人によって違うということです。そしてほとんどの人は気づく前に寿命を迎えてしまうのだと思います。より多くの人が自分に課せられた役割とか成し遂げたいことを自覚できるといいなと思います。残念ながら、私たちの世代までは社会のフォーマットに縛られるほうが幸せという教育だったので、ほとんどの人は現在の変化を受け入れられない。電機メーカーの凋落は最たるものです。おそらく今の世代が、そうしたフォーマットを壊す世代で、多様性と幸福感が変わるのはあと20〜30年必要なんだと思います。でも、そうして自分のGRITに気づける人がもっと増える世界を見てみたいです(創発計画株式会社代表・高野元氏)

人生が100年、そしてビジネスパーソンとしての現役生活が80年続くと言われている現代、ご自分のGRIT、そして「☆☆☆」というテーマについて、一度考えてみてはいかがでしょうか?

[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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