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年功序列の会社にいる人ほど「会社によらず個人で自立すること」が重要な理由とは

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに「年功序列制度のリスク」をテーマに寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える。

先日、商社の方とご一緒したとき、「今の世の中で、人生における究極のリスクの一つは、年功序列の会社で競争に敗れること」と、その方が言っていた。

「年功序列は気楽じゃない。めちゃめちゃコンペティティブ(競争的)な制度ですよ。実感として、年功序列は参加者にとって残酷なレースです。下手をすると、会社に人生を翻弄されて終わります」

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東京大学の高橋伸夫教授は、著作(*1)の中で年功制は競争期間の長い選抜制度であると述べる。もちろん、数多くの日本企業が年功制を採用したのは、年功制には競争期間の長さ故のメリットがあるからだ。

  • 短期的なパフォーマンスだけで選抜を行わない。「長期的に成果を出し続けられる人物か」を見ることができる。
  • さまざまな失敗をさせることでより多くを学ばせることができる。
  • 職種のローテーションで適正を見極めることができる。
  • 多様な部署の人と仕事をすることで、社内的な人脈を構築させることができる。

年功制による競争は、大体入社してから15年〜20年ほど続く。年功制はほぼ一律で給与が上がっていくので、金銭面でこの間に大きな差はつかない。

高橋伸夫教授はこれを「金銭ではなく、次に与えられる仕事で報いる制度」と評した。できる人はどんどん面白い仕事を与えられ、さらにできる人になっていく。

そして、当然の帰結として社内の評価には大きな差がついてくる。そして、40歳を超える頃に、それまでの結果で「課長」「部長」「役員」への道が開かれるかどうかが決まる。できる人は管理職になり、競争への道を。できない人は引退までヒラ社員の道を。そのように道が分岐していく。

一昔前までは、このシステムはそれなりに納得感があり、競争で敗れてもそれほどリスクが高くなかった。管理職になれなかったとしてもそれなりの処遇が約束され、その会社にいれば身についたスキルで定年まである程度食べていけたからだ。

高度成長期の人気歌手である植木等が「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ。二日酔いでも寝ぼけていても、タイムレコーダーガチャンと押せばどうにか格好がつくものさ」と歌ったのは、その当時の「サラリーマンという身分」の安定を物語る。

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しかし、現在は「年功制で競争に敗れるリスク」が徐々に大きくなっている。

労働政策研究・研修機構の資料によれば、部長や課長になれる人の比率、部長や課長となった後の部下の人数、ともに減少傾向にある。「上に立つ人物」は減ってきている。

さらに「競争で敗れたときのリスク」も大きい。出世の見込みがなくなった社員であっても、かつては「面倒を見てくれる」という安心感があったが、現在は事情が異なる。

50代ミドル社員、「希望」退職の先にある絶望(日経ビジネスオンライン) “今年に入ってからこれだけの “名の知れた” 東証一部上場企業で、人員削減が実施されている。”

次は自分? 「黒字なのに2割クビ」納得できるか(プレジデントオンライン) “好業績企業であってもリストラに躊躇しなくなっている。”

これらの記事を見てわかるように、大手であっても成果を出せない人物の人員削減は普通に行われるようになった。だが、再就職はそれほど簡単ではない。よく知られているように、40代、50代の転職は給与が下がる転職のほうが、上がる転職よりもはるかに多い。

年功制の会社において「長く勤めた人」は必ずしも転職市場で価値が高いとはいえない。社外人脈がなく、スキルが見えづらいからだ。

だから、会社を飛び出せず、しぶしぶ昇進の見込みのない会社で働き続ける人も数多くいる。だが、仕事は楽しくなく、飽きもきている。これでは、「会社が嫌いなサラリーマン」が増えるのも無理はない。

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年功序列は終身雇用とセットだからこそ価値があった。だが現在は違う。自分から行動を起こさなければ逆にリスクが高い、という事実を受け入れる必要がある。

終身雇用はすでに崩壊している。だから、年功序列は制度として機能不全を起こしている。いま単に「大企業に行け」が正しくない理由はここにある。

特に学生や若手は早いうちに、年功序列の会社で競争に敗れるリスクを加味し、

  • 転職時に売りとなる技術の習得
  • 社外人脈の形成
  • 副業による複数の収入源の確保

など、できうるかぎり「会社によらず個人で自立すること」を模索しなくてはならない。

さらに、はたらく期間が長くなり、一つの会社に在籍する期間が短くなると「新しい環境に適応する能力」が重要になる。具体的には以下の能力だ。

  • 環境によらず自分をヤル気にさせること
  • 新しいことを学習すること
  • 初対面の人とコミュニケーションをうまくとること

これらの能力は一朝一夕に身につくものではなく、仕事を通じて徐々に身につくものだ。

「就職がゴール」だった時代は、とうの昔に去った。「就職がようやくスタート」という事実を受け入れ、早く行動を起こした人が、会社に翻弄されず、自分の人生を生きることができる。

*1 『虚妄の成果主義』(日経BP社)

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