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転職の唯一の秘訣について

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間180万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「転職の唯一の秘訣」について寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は180万を超える

今から30年前、まだ世の中で「転職」はそれほど一般的ではなかった。

多くの学生は「一生面倒を見てもらえそうな会社」に入りたいと思うことが普通であったし、転職を積極的にする人は、外資系を目指すちょっとした変わり者で、会社が肌に合わない一種の「はみ出し者」とみなされていた。

しかしここ10年ほどで、「転職」に対する抵抗は減った。

例えば、独立行政法人、労働政策研究・研修機構による「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」(2007年)によると、転職した人のうち、離職を評価する者(「離職をしてよかった」と「どちらかといえば離職をしてよかった」とする者の合計)の割合は90.1%となっている。

また、厚生労働省の白書によれば、日本の若者は諸外国に比べ、「強い不満があれば転職することもやむを得ない」とする割合が高いそうである。

実際、日本労働研究機構による2003年の調査『転職のプロセスと結果(概要)』でも、転職者の増加傾向が以下のように報告されている。

「1991年以降、日本をおそっている長期不況の中、マクロデータを見ても失業者、転職者の量が増加していることは見て取れるが、本調査では、全回答者の53.2%が転職経験を持っていた。この結果、1985年に東京で行われた調査(渡辺 1992、1999)の結果と比較すると、やはり転職者経験者の増加が認められる(1985年調査:40%)」

だが、「人びとは転職を望んでいる」と捉えるのは早計である。

実際、前出の厚生労働省の白書でも、「職場に不満があれば、転職するほうがよい」および「才能を活かすために積極的に転職するほうがよい」とする割合は低く長期雇用を望む傾向が強いと結論づけられており、日本人の多くは「転職」を望んではおらず、「最後の手段」と考えているのである。

できれば転職はしたくない、だが今の職場がどうしようもないならば転職を躊躇すべきではない、それが多くの人の偽らざる本音だろう。

実際、「あのとき会社を辞めなければよかった」と後悔している転職者も少なくはない。労働白書によれば、「転職に満足」と回答している転職者は全体の5割程度に留まっている。

また、転職して「給与がアップした人」の割合は35〜40%程度であり、残りの人は給与は「変わらず」か「減った」となる

————–

では、慎重に転職したはずなのに、一体なぜ「転職で後悔」してしまうのだろうか。

ここからは若干の推測だが、私の経験では多くの人が転職する最大の理由は、キャリアアップ、将来性、給与などの外形的な理由などではない。最も大きな理由は、おそらく「上司とソリが合わないこと」である。

これはGoogleにおいても同じようで、人事責任者であるラズロ・ボックは次のように述べている。

最高のマネジャーを要するチームは業績もよく、離職率も低かった。実際、マネジャーの質は社員が辞めるか残るかを予測する唯一にして最高の指標だった。社員は会社をやめるのではなく、ダメなマネジャーと働くのを辞めるのだという格言を証明した格好だ(『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』 東洋経済新報社)

この知見はおそらく正しい。結局のところ、ほとんどの人は「嫌な上司や経営者」と働くのが心の底から嫌になって、仕方なく転職をするのだ。

そう考えれば、「転職して後悔する人」が多いのもうなずける。そう、「あのとき会社を辞めなければよかった」と転職者が後悔しがちなことは、「転職しても上司が嫌なやつだった」ということなのである。

待遇や仕事の内容は、ある程度納得して転職することができる。だが、「どんな上司」が上につくのかは事前に知ることはほとんどできないし、選ぶこともできない。

しかも、多かれ少なかれ、どこの会社でも嫌な上司は存在している。転職した当初は「いい上司」であっても、人事異動で「嫌な上司」が上についたら、状況は転職前とさほど変わらないのである。

これが、「せっかく転職して、給与ダウンもあえて受け入れたのに、状況が変わらない」という最悪の状況を生み出してしまうのだ。

では、「後悔しないため」にはどうすればよいのだろう。「嫌な上司」はどこにでもいるから、転職しても状況はほとんどの場合変わらない。

だから、やれることは1つ。どこへ行っても使える技術である、「上司をマネジメントするスキル」を身につける他はない。

例えば、ピーター・ドラッカーは「上司の強みを生かすことの重要性」を説く。

もちろんへつらいによって、上司の強みを生かすことはできない。成すべきことから考え、それを上司に分かる形で提案しなければならない。上司も人である。人であれば強みとともに弱みを持つ。しかし上司の強みを強調し、上司が特異なことを行えるようにすることによってのみ、部下たるものも成果をあげられるようになる。上司の弱みを協調したのでは、部下の弱みを強調したときと同じように、意欲と成長を妨げる。したがって、「上司は何がよくできるか」「何をよくやったか」「強みを生かすためには何を知らなければならないか」「成果をあげるためには、私から何を得なければならないか」を考える必要がある。上司が得意でないことをあまり心配してはならない(『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社)

そうして、「上司との人間関係」でほとんど悩まなくて済むような世界を自分自身が作ることができれば、あとはどこに転職しても決して後悔しないはずである。

そしてそれが、転職を成功させる唯一にして無二の秘訣なのだ。

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