今、知っておきたい 40代転職の最前線から見えてきたもの

doda X(旧:iX転職)は、パーソルキャリアが運営するハイクラス転職サービス。今すぐ転職しない方にも登録いただいています。
今の自分の市場価値を確かめてみましょう。

 

doda X キャリアコンパス(旧“未来を変える”プロジェクト)では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。某金融ベンチャーでマネジャーを務める40代中盤の方に「はたらく軸」に関する考え方について寄稿いただきました。実際に40代で転職活動をして見えてきた、キャリア構築で大事にすべき考え方があるといいます。

 

あなたは、転職活動をしたことがありますか?

私は30代前半に転職して某金融ベンチャーに参画し、同社を立ち上げた後、40代中盤になったつい最近も転職活動をしました。

転職というと、自分とは縁遠いと感じる方が多いでしょう。私も、20代のころはあまり転職について深く考えたことはありませんでした。しかし、今になってみると、転職・仕事選びは、常に考えておくべきことであると感じています。より自分に適した仕事、より面白い仕事が社外にあるかもしれませんし、ひょっとすると、今の会社が来年つぶれるかもしれません。

そして、40代になって分かったことは、40代の転職はそれまでの転職よりも求められる条件が高く、その条件をクリアするには、自らの行動を変革し、時間をかけて経験やスキルを得ていくことが必要になるということです。

本記事では、私が40代での転職活動の中で経験したことと、その経験に基づき人事のプロと議論した内容から、40代での転職を成功させるために必要な四つのポイントについてお届けします。

PROFILE

社外編集長
某金融ベンチャーマネジャー
“未来を変える”プロジェクト 社外編集長
30代前半に転職して某金融ベンチャーの立ち上げに参画。現在も同社においてマネジャーを務める40代中盤のビジネスパーソン。

本記事の構成です。

INDEX読了時間:5

それでは、本文です。

ポイント1:40代では遅い。若い頃からマネジメント経験をとりにいく

40代の転職では、基本的にマネジメント経験が問われます。これは、転職先は既存の人事システム・ピラミッドの中であなたを受け入れるため、年収・ポストを考えると、必然的に管理職として迎え入れることになるからです。加えて「20人以上の組織を5年以上マネジメントしたことがある」というように、マネジメントした組織の人数や年数を条件として明示する企業も多く存在します。

「管理職として、それなりの規模の組織をまかせようとした場合には、同じ規模のマネジメント経験がある方だと安心ですね。私が以前勤務した人材系企業では、大体30代前半で20人を部下に持つマネジャーになります。40代の方には、最低限マネジャー×2(40人以上)をマネジメントした経験を求めていました」(サービス業の元人事マネジャーAさん)

また、40代では人数だけでなく、どのような業種、組織形態でマネジメントした経験があるかも、極めて重要です。同質性が高い集団でのマネジメントと、個人意識が高いチームでのマネジメントでは、必然的にマネジメントの手法も変わってくるからです。

「コンタクトセンターで100人をマネジメントするのと、コンサルティングファームで5人のメンバーをマネジメントするのとでは、全く異なるスキルが必要とされます。コンタクトセンターで100人をマネジメントするときには全体に対して「こうやりましょう」と唱和し、そこから外れた2、3人を叱り、脱落してしまいそうな数人をフォローすべきとリーダーにアドバイスしていきます。

一方、5人のコンサルティングチームでは、個別に対話していくことが必要とされます。マネジャーは、部下の仕事をモニタリングし、毎日1対1のコミュニケーションをとる仕事に忙殺され、自分で手を動かす仕事はできないのが一般的です」(人材開発・組織変革のコンサルティングを行ってきたBさん)

「面接では管理職経験の有無だけでなく、その内容も聞いています。どのようなことを成功させたのか、どのような課題に当たり、どのように試行錯誤して、どのように切り拓いていったかというストーリーが伝わってくると評価が高くなります」(前出のAさん)

しかし、いまや多くの企業において、40代中盤以上の層は厚く、早い段階からマネジメントを経験する機会は少なくなってきています。だからこそ、人事のプロはもっと積極的にマネジメント経験をつかみにいくべきだと説きます。

「最近の若手ビジネスパーソンは、上司と部下の板挟みになってつらい思いをするのが嫌だし、給料もそこまでよくないというので、マネジャーになるのを断る人もいます。しかし私は、マネジャーになれる機会があれば、積極的になるべきだと思っています」(Aさん)

「きっと面倒臭い」という思い込みを捨てて、できるだけ早くから積極的にマネジャーをやってみた方がよいと思います。かならず想像とは異なる経験をすることになります。マネジメントは個別性が高く、PDCAを回すことによってのみスキルが習得できる分野であり、最初は必ず失敗の連続ですが、そこから学んで伸びていくものです」(Bさん)

実は私もマネジメント職を打診されたことがありましたが、プロジェクトに没頭していたこともあり、消極的な態度をとりました。みなさんも同じような経験はないでしょうか。

マネジメント経験は、一朝一夕で積み上がるものではありません。くわえて、マネジメントの規模や内容は多様なため、自分が思う規模や内容のマネジメントを望んだときに得られることは極めて稀だと言わざるを得ません。40代までに積極的にチャンスをつかみ、早いうちから時間をかけて、マネジメント経験を積み上げていくべきでしょう。

ポイント2:40代までに1つの領域に安住せず、3つの強みを伸ばす

新規事業や海外展開など特定の業務経験や、法務や財務、知財などの専門スキルがあると転職に有利になります。特に現在は、新規事業経験者と海外展開経験者のオファーが圧倒的に多く、転職市場においては引く手数多となっています。

ただし、こういった経験はかならずしも必須とされているわけではありません。あなたの業務の中で、新規事業や海外展開などにつながり得るような経験ができていれば、それを転職活動に活かすことができます。

「たしかに、超専門的な領域で経験が決め手になって採用されることはありますが、必ずしもそうした経験を持っている必要はありません。会社の中で、新規事業に携わっている人は数%しかいないと言われていますし、その人がやりたかったことが、その会社では新規事業に当たらなかった可能性もあります。採用する側からすれば、決められたルールがないところで新しく企画する力があるかを知りたいという意向があります。通常の業務であっても、なにかを企画した経験は、転職活動の際にアピールできると思います」(Aさん)

このように、新規事業や海外展開といった特定の業務経験がないと転職できないというわけではかならずしもありません。

ただし、自分の得意な領域を持ち、ユニークな存在になることが必要です。突き抜けた領域を1つ持つか、自分の得意な領域が3つ程度あると、その掛け合わせによってユニークな存在になることができます。

「自分が得意な領域(コンフォートゾーン)を超えて、他の領域にチャレンジすることが大切です。もしも、今の自分の領域のみで勝負することを選択するのであれば、論文を発表したり、メディアに取り上げられるくらいのレベルまでその領域を突き詰め、世の中で認められることが必要です」(Bさん)

転職の成否を決める得意領域の広げ方
転職の成否を決める得意領域の広げ方

同じ仕事を3年も続けていると、全力を出さなくても仕事ができてしまうので、楽ができますよね。ただし、自分の得意な領域ばかりで仕事をしていると、新しいスキルや経験は得られません。

私の場合は、金融ベンチャーの立ち上げに参画したために「金融✕事業立ち上げ✕BtoC」という掛け合わせならば、転職市場においても戦うことができています。

転職したときは、スピード感がまったく違いましたし、業態もBtoBからBtoCへと変わりましたし、本当に苦しかったですが、今となっては、大変貴重な経験をさせてもらったと思っています。

年を重ねるに連れて、失敗は許されなくなっていくものです。失敗が許されるうちに、得意領域以外にもチャレンジして3つ以上の強みを持つようにするか、1つの領域で世間に認められるように努力しておくべきでしょう。

ポイント3:TOEICのスコアではなく、真の英語力をつける

ビジネスレベルの英語でコミュニケーションできることで、転職の可能性は一気に広がります。外資系のみならず日系企業であっても、スキルベースでない求人、新しいことにチャレンジする求人、おもしろい人材を入れて組織を活性化させようという意識が見える求人では、ビジネス上で英語が使えることを求める傾向にあります。

ただし、英語については、どのような転職を志向するかによって、必要となるポイントが異なります。

「英語については、仕事で英語を使うか否かによって大きく変わってきます。40代で英語を使うポジションに就つきたいのであれば、英語を使ってビジネスをした経験が必須となります。

仕事で英語を使わない職場であれば、TOEICが700点を超えていれば英語がある程度できるとみなすという基準になっています」(Aさん)

「グローバル化が進んでいる現代において、英語がまったくできない人は自己革新が足りないと見られる場合もあります。そういった意味では、英語を話すことができるという意味で、TOEICで700点程度の英語力をつけておく意味はあると思います。

ただし、英語を話すことができることと英語でビジネスができることは切り分けて考えた方がよいです。英語を話すことができることの先に英語でビジネスができることがあるのではなく、両者はまったく別、並列関係にある話です」(Bさん)

TOEIC700点というスコアがあれば、転職に有利に働くこともあるでしょう。ただし、活力ある職場に転職しようとすると、TOEICの点数ではなく、ビジネスで英語が使えること、そしてその経験が求められると人事のプロは言います。

「TOEICの点数が低くても、英語でビジネスをしている人は多くいます。英語でビジネスをしたい人は、英会話教室に通うのではなく、早く英語を使う職業に転職したり、社内異動の希望を出した方がよいと思います。仕事上で使うという目的があれば、自分の英語が下手でも臆せずに使わなければならず、英語に慣れていくことができます」(Bさん)

「ある転職エージェントからビジネスレベルの英語を条件とする募集をもらったことがありました。しかし、英語力に自信がなく、辞退しました。それ以降、彼からの連絡はありません」

私の場合、ある転職エージェントからビジネスレベルの英語を条件とする募集をもらったことがありました。しかし、英語力に自信がなく、辞退しました。それ以降、その転職エージェントからの連絡はありません。

もしも、あなたが将来的に活力ある職場で働きたいのであれば、できるだけ早い年代から、ビジネス上で英語を使う機会を積極的に求めていくべきでしょう。

ポイント4:自分の殻に閉じこもらず、挑戦を続けることが何よりも重要

ここまで、1. マネジメント経験、2. 得意領域、3. 英語の3点について整理してきましたが、人事のプロと議論して見えてきたのは、こうした経験以上に重要なものがあるということでした。

「転職や職種の転換など、自分の今いる位置に留まらず、環境を変える経験をした方がよいでしょう。環境、立ち位置が変わった瞬間、ものすごいエネルギーが必要になります。「できない自分」に一回リセットされ、変化に対する対応力がつきます。

また、社外の一流の人との交流も重要です。なにか一緒にやる経験があるとよりよいです。社内だけで閉じこもっていると、自分の立ち位置を勘違いしてしまいます。自分の現時点での能力を適正に測るアンテナは常に立てておいたほうがよいでしょう。

仕事は、3年くらいで慣れてきて、80%くらいでこなせるようになってしまいます。そのときに、ぐっと自分を厳しい立ち位置に立たせられるかどうかで、10年後の結果がまったく変わってきます。立ち位置を変える経験の方が、単なるマネジメント経験よりもよほど価値があります」(Aさん)

「転職とまでいわなくても、異動や出向など、環境をガラリと変える経験をした方がよいです。飛び込んでみると、視野がガラリと変わります。

たとえば、組織の中でしか通用しない専門用語を使っていて、かつ、そのことを自覚せず、社外に出たときでもその言葉を使ってしまう場合。もしくは、自分がそういった組織にいる場合、積極的に社外に出ることをオススメします。

苦しくても、コンフォートゾーンの外に出ることが重要だと思います」(Bさん)

私も金融系ベンチャーに参画した際、転職元の上司から「今の実力は、組織に長くいることで積み上げてきたものの上に成り立っている部分がある。転職すれば、それをまた一から積み上げることを肝に銘じなさい」と言われ、実際転職をして、そのような苦しい体験をしました。また、転職活動中の面接でも「転職回数は、よほど多くなければ問題ありません。むしろ、転職経験がないひとの採用には慎重になります」と面接官に言われたこともあります。

40代の転職に最も必要な経験、それは自分の殻に閉じこもらず、社外へ、不得意な領域へ挑んでいくことです。私も苦しみながらも、今この瞬間もチャレンジしています。みなさんもぜひ、社外に飛び出して自分の力を試したり、不得意な領域へと挑んでいただければと思っています。

いかがでしたでしょうか。

本記事では、リアルな40代の転職と、40代で転職するために必要な4つのポイントについてお届けしました。

・40代では遅い。若い頃からマネジメント経験をとりにいく
・40代までに一つの領域に安住せず、三つの強みを伸ばす
・TOEICのスコアではなく、真の英語力をつける
・自分の殻に閉じこもらず、挑戦を続けることが何よりも重要

40代のキャリア選びも、他の年代と同じく、何が正解かは誰にもわかりません。

ただ、自分が決断し、選んだキャリアなら、納得した人生を過ごせるのではないでしょうか。転職活動をし、今回、人事のプロと議論をして、あらためてそう思いました。

最後に、今回、転職活動を通して、相談したり、面接いただいたり、なんらかの形で関わったみなさんに感謝します。

特に2人の人事コンサルタント、そして、悩んでもがいているわたしを見守ってくれた家族に、深く感謝します。

今すぐ転職しなくても、
まずは自分の市場価値を確かめて
みませんか?

変化の激しい時代、キャリアはますます多様化しています。
ハイクラス転職サービス「doda X(旧:iX転職)」に登録して、
ヘッドハンターからスカウトを受け取ってみませんか?