会社で出世競争に敗れた状態になったとき、どうすべきか?

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今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「出世競争に敗れた後の人生」について寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える。

はたらき始めて20年弱、40歳前後にもなれば、自分ができる方なのか、そうではないのかだいたい分かってくる。

2009年の「労政時報」の調査によれば、役職が就く年齢は、最短では係長30歳→課長34歳→部長40歳、標準では係長33歳→課長39歳→部長47歳という(*1)。つまり、40歳で課長かどうか、これは一つの指標となるだろう。

*1 日本の人事部

だが、現実は厳しい。1000人以上の会社、いわゆる大企業で課長以上になれる人は全体の8%〜9%程度、中小企業を含めた全体でも30%程度だ(*2)。

*2 プレジデント・オンライン

実力と、そしてある程度の運を兼ね備えた人だけが、人を束ねる管理職となれる。大企業では9割の人、中小企業を含めても7割の人が、「平社員」で会社人生を終える事実を受け止めなければならない。

だが、会社員の人生は、実は40からが長い。多くの人は定年延長、または再雇用の制度により65歳まではたらくことになるだろう。現在40歳の人は、もしかしたら70歳まではたらくことになるかもしれない。

はたらき始めてから20年弱、出世できるかどうかはこの時点である程度決まってくるが、実ははたらく期間のまだ半分にも達していないのだ。残り25年から30年を「出世が見込めない状態」でどう過ごすか、これは多くの会社員にとって大きな課題の一つである。

余談だが、私は前職、大手のクライアントを抱えていたとき、定年間近の「課長代理」「担当課長」「特命課長」「課長補佐」といった役職の方をたくさん見た。

恥ずかしながら、新人だった頃、「この『課長代理』はどういう役職なのですか?」と無邪気にたずねた私に対してある年配の方が苦笑いしながら、「課長になれなかった人たちだよ」と答えてくれたとき、申し訳ない気持ちになったのをよく憶えている。その方は数年後に定年で引退していった。

また、ある50台半ばの課長代理の方は一緒に飲みに行ったときに、「この役職は、私のキャリアの終点」と言い、「私は出世できなかった。もうそのつもりもない。定年まで穏便にやりますよ」と話してくれた。

しかし、定年まで25年、30年という長い時間を残している「出世競争に敗れた人びと」を、大企業が生かさず殺さずの状態で囲っている現状はいかがなものかと思う部分もある。これこそ、「中年の危機」の本質だ。

ピーター・ドラッカーは著書(*3)の中で、中年の危機について次のように語る。

今日、中年の危機がよく話題になる。45歳ともなれば、全盛期に達したことを知る。同じ種類のことを20年も続けていれば、仕事はお手のものである。学ぶべきことはさしてない。仕事に心躍ることはない。

さらに、

知識労働者にとって、第二の人生を持つことが重要であることには(中略)誰でも、仕事や人生において挫折することがありうるからである。昇進しそこねた42歳の有能なエンジニアがいる。大きな大学へ移ることが絶望的になった42歳の立派な大学教授がいる。(中略)逆境のとき、単なる趣味を超えた第二の人生、第二の仕事が大きな意味を持つ。

*3 『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)

そして、彼はそういった人びとに向け、「第二の人生を設計すべき」という。その方法は3つある。

1. 組織を変える

一つの組織で行き詰まったとき、はたらく組織を変えることは一つの処方箋となる。中小企業において、大企業に在籍していた人間の人脈や技術は貴重なものとなる場合も多い。「給料は下がっても、挑戦の機会があるほうがはるかに充実した人生が得られる」との理由で、大企業から中小企業に活躍の場を移す人は決して少なくはない。

2. パラレルキャリアを得る

出世できない組織で、しかも大して面白くもない仕事に熱心になれる人はいない。ただ、独立したり転職をするのはリスクもある。そこで、「もらっている給与分」ははたらきつつも、余った時間はパラレルキャリア、すなわち複業に充てるという選択肢を持つことを望む方もいる。

「複業」を解禁している大企業も最近ではよく目にする。企業側も従業員が「ただ目の前の仕事をこなすだけ」になるよりは、他の組織ではたらくことで活性化したり、場合によってはほかで役に立つ知識や人脈を組織にもたらしてくれる可能性を探ったほうが生産的な関係である。

3. 非営利の仕事を始める

競争に長い期間さらされると、世の中が嫌になるときがある。そんなときに競争の不要なコミュニティに属しておくことで、救われる方もたくさんいるだろう。自分のことを無条件に受け入れてくれる場、競争の中ではなく、貢献することで尊敬を得られる場こそ、出世競争にうんざりした会社員に必要な場である。

確率から見れば、会社で出世することは至難の業である。だが、30年前のように「会社以外に選択肢がない」という時代ではない。

早くから第二の人生を設計し、会社以外の場を育てておくことこそ重要だ。逆説的ではあるが、選択肢が増えることで逆に仕事にも身が入るのである。

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