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「キャリアは誰のものか」を考えさせられた転職相談

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キャリアの大きな転機となる「転職」。では、これからの転職においてはどのような視点を持つべきなのか。数々の転職やキャリアに関する相談を受けてきた、元大手IT企業事業部長の50代後半の男性に「印象に残っている転職相談」について寄稿していただきました。

PROFILE

元大手IT企業事業部長(50代後半男性)
元大手IT企業事業部長(50代後半男性)
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大手IT企業で、ミドル部門全般を経験。最終は、法務部門の部長職で退職し、現在は中小のIT企業を中心に法務関連の制度整備を行う

私が受けた転職相談の中で最も印象深かったものは、妻からの転職相談でした。当時は夫婦ともに40代半ばで働きざかり、子ども二人は中学生で育ちざかりという家庭の状況でした。そんな中での妻からの相談でした。

大阪に行ってもいい?

私の妻は、中堅規模のIT企業で人事職についていました。子どもが中学生になり、進路については少しずつ話すようになっていたのですが、俗にいう「お財布が別」の夫婦だったため、お互いの仕事やその評価、キャリアプランに関してはほとんど話したことがありませんでした。

夫婦仲は悪いということもなく、一般的な円満家庭だったと今でも信じています。そんな夫婦関係の中で妻が何かに悩んでいるような素振りが見えたため、子どものことかなと思い何気なく話を振ってみました。すると、思いもよらない方向へと話が進んでいきました。

「大阪に行ってもいい?」

当然出張かなと思い、どれくらいの期間かと尋ねると、「期間は分からない」という答えでした。状況が理解できず、詳細な説明を求めると元上司から転職して大阪で働かないかという誘いを受けているということでした。

家庭の中で、妻、母親というポジションの彼女しか見ていなかったので、元上司に誘われるくらい彼女はビジネスパーソンとしての立ち位置を築いていることをそのとき初めて知りました。

評価を受けているということは、すばらしいことです。ただ、私は動揺を隠せませんでした。相談しているということは、彼女なりに家庭のことも考えた上でその仕事が魅力的だと考えているのだという理解はできました。さすがにすぐには返答ができなかったのでじっくり話し合うことにしました。

一番悩んだのは、まず子どもたちのことでした。東京と大阪、母親と父親、どちらと生活するのがベストなのか、そもそも親の仕事の都合、ビジネスパーソンとしての欲に彼らは納得がいくのか不安でした。中学生という微妙な年齢も考慮はしましたが、正直に子どもの意見を尊重することにしました。

一家の大黒柱が一番遠い存在

私の想像よりもはるかに答えはシンプルでした。「東京で暮らすから、お母さんは頑張ってくればいい」というのが子どもたちの答えでした。

あっけにとられた感じはありましたが、母親が自分の意志を持って働くことに対して子どもたちなりに尊敬をしているようでした。また、子どもたちのほうが私よりも、妻がどのようなキャリアビジョンを持っているかよく知っている様子でした。

妻は子どもたちと進路の話をする際に自分のキャリアについても話していたようです。この相談をしたときに子どもたちから私のキャリアについても質問を受け、驚きました。

私が家族の中で一番、キャリアについて考えていなかったことと家族に共有できていない事実をその瞬間に知ったのです。恥ずかしい話ですが、一家の大黒柱として日々過ごしているつもりでしたが、家族から一番遠いところにいたのが私でした。

キャリアプランは家族のもの

結婚してから今まで家庭とキャリアは別物だと考えていましたが、家庭を持つと、キャリアも家庭に含まれる、家庭もキャリアに含まれる切り離せない存在なのだと知りました。キャリアは自分だけのものではなく、家族のものでもあると認識する必要があると思います。

私がその認識を持っていれば、妻も今回の相談以前に違う相談ができていたと思いますし、私も考えていたキャリアプランを実行できたかもしれません。

これから結婚する方はその認識を持っていただきたいと思いますし、結婚している方はパートナーとキャリアについて話す機会をしっかり持つことをお勧めします。

最後に、この出来事から10年ほどが経ちますが、いまだに夫婦円満、幸せな家庭を保てています。

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