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不確実性と直観に学ぶ、これからの仕事選び

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「米国で2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」

これは、米デューク大学キャシー・デビッドソン氏が2011年8月のニューヨーク・タイムズのインタビューの中で紹介され、世界に衝撃を与えた未来予測です。

同じく「ワーク・シフト」「未来企業」などベストセラー本の著者としても知られ、未来の企業の在り方・個人の在り方をテーマに研究するロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授は、

「これからのキャリアは、平均して2回、自分の専門性を変える必要が出てくる」

と著書の中で触れています。

そこで“未来を変える”プロジェクト 編集部では「仕事」そのものへの変化が押し寄せる時代にあって、どのようなことを考え、「これからの仕事」を選ぶべきなのかを議論するために、企業やベンチャーの第一線で働く方を中心とした約80名によるイベントを開催しました。

本記事はこの議論をベースに“未来を変える”プロジェクト 編集部が追加取材や検討を行い、とりまとめた内容です。
本記事の構成です(読了5分)

INDEX読了時間:5

それでは、本文です。

 

 

30歳までの貯金で65歳まで逃げ切る世界観の崩壊

まず、これまでとこれからの仕事選びの環境がどのように変化しつつあるかについてレビューしてみましょう。

現代では、大企業を中心に20代は自身のベースを構築し、専門性を磨く時期。そのためにさまざまなことを学び、吸収する期間として捉える傾向が根強くあります。

そのため30歳を超えた人材は、それまでに蓄積したものをベースとして、仕事でアウトプットしてくれることを企業側から期待されています。30歳までは充電期間、そして30歳以降〜定年を迎える65歳までは放電期間とも捉えられます。

ところが、現在では目まぐるしい勢いで進化するIT技術と東南アジアやインドを始めとする開発途上国の人材が、先進国のホワイトカラーが手がける仕事をすぐに低コストで代替してしまいます。こうした背景により、30歳前後を境として個人が充電・放電してきた専門性は、そのほとんどが数年のうちに代替されてしまい、能力を発揮していた多くのひとが働く機会を失ってしまう可能性があります。

そのため、個人は「コモディティ化(一般化)」した領域の仕事から、新しく生みだされる仕事へと自分の専門領域をシフトさせなければならない。これが冒頭に紹介したデューク大のデビットソン氏やリンダ氏の主張です。

さらに少子高齢化や医療の発達などにより、これまでの65歳定年ではなく、80歳まで職業人生を全うする必要性が出てくるかもしれません。結果、個人は自分の専門分野や強みを発揮する方法を、一生のうちに3回は変えなければなりません。

考えるべき点その1:自分の予測範囲を超えた仕事に取り組んでいるか?

冒頭に話をした議論の中で、まずホットトピックとなったのは「リスクをどう取るのか?」という点です。

これからの仕事を選ぶとき、

「過去の事例に頼っていては、リスクの幅を想定できないような領域に挑戦し続ける」ことが大切であるというのが、一つの仮説としてイベント参加者から提示されました。

また、イベント参加者からはこんなコメントも。

  • 年次で施策のレビューをしていくと、年初の予測と合致することが起きる割合は、極めて低いと言わざるを得ない。よって、予測の有効性はあまりない。
  • 一度、ある幅のリスクを取ることを回避すると、次はより小さいリスクしか取れなくなる。

こうした発言にも表れているように、二つの要素の組み合わせによって、自分が予測できる範囲を超えた仕掛けを行えば、取り組めるリスクの幅、変化の許容量は拡大していきます。一方で、認知できる範囲のリスクしか取らない場合、時間が経過する程、前例のほぼ踏襲のようなことしかできなくなってしまうことになります。

もしも「キャリアの途中で自分の専門性を変化させる」ことが不可欠であれば、たとえ時間が経過し、キャリアが進んでいたとしても、個人は新たなリスクを広い幅で対応できるようになっていなければなりません。

つまり、キャリアの中で不確実性の高い仕事に取り組み続けて初めて、専門性を複数回変化させるというアプローチが可能になります。(図表の赤線参照)

従って、考えるべき点その1は、

「自分の予測範囲を超えた仕事に取り組んでいるか?」

ということになります。

考えるべき点その2:不確実性に挑むとき、自分の指針となる軸を持っているか?

このようにして不確実なものに取り組むことが重要だとすれば、次に大切となるのは「どのような軸で、不確実性に取り組む方向性を定めるか?」という点となります。当てではなく、そこにはなんらかの指針や決め方のセオリーがあるのではないか?というのが、次の論点としてイベント参加者から意見が挙がっていました。

ここで現役で転職支援を行っているキャリアコンサルタントから、「これからの仕事選び」について、こんなコメントがありました。

「従来の転職は、今までの経験を活かせる環境はどこかというこれまでの経験を重視したマッチングでした。しかし、未来の変化が激しく、予想が難しくなっている中で、キャリア設計に意味はあるのか、また転職アドバイザーがどうあるべきなのかを考えるきっかけになりました」

過去の経験や専門性をベースとして軸を定めてしまうと、それは結局、不確実性の低い領域に仕掛けることになってしまいます。

そこでイベントで注目されたのが、これからの仕事選びは「直観的に好むことを選ぶ」ということでした。今回のイベント参加者の中で、不確実性の高い取り組みにチャレンジしている方々からは、

「日本発の世界に突き抜けるベンチャーをつくる」

「社会に広く何かを還元できる仕事をする」

「とにかく楽しさを追求できる」

など、個人的に軸としているものがさまざま表明されていきました。共通するのは、この軸が「直観的に好き」であるということでした。

直観的に好むことを選ぶことの効能は、状況が不安定で、継続的な取り組みをちゅうちょしてしまいそうであっても、取り組みを強力に後押ししてくれる点です。

「直観的に好むことを軸にする、という部分が自分的には響きました。スティーブ・ジョブズも言ってますね。あれは真理だと思います。不確実性の海を渡るのもイノベーションを起こすのも、自分の中にある軸を大事にしきれるかどうかにかかっていると思います」(元マーサ・ジャパン代表 古森剛氏)

同時に、直観的に好むことを重要視する理由として、

「転職する上で、自分が本当にやりたいことや軸を突き詰めて考えることが大事なんだけど、それって意外と頭より心(感情)が欲するシンプルな構造だったりする」

という声も挙がっていました。理屈で考えて得られた軸よりも、直観に頼る方がよい軸を得ることができそうだと経験を踏まえて語る参加者が数多くいました。

このように、考えるべき点その2は、

「何を軸として不確実性に挑むか?」

となります。

考えるべき点その3:軸を探すための試行錯誤に時間を割いているか?

「不確実性に挑むための軸」

このテーマが論点となると、多くの参加者からさまざまな観点が寄せられました。「直観的に好むことを軸とする」という点については、おおむね全員が同意しているようでした。その上で直観的に好むことを探し出すために、各人各様の工夫があることがわかってきました。

その典型的なアプローチを、紹介します。

自分の過去を分析する

「私の場合は、起業するにあたり、自分が過去に好きだったこと、楽しかったことをレビューして、そこから何を仕掛けるか、どのような仕事をするかを考えました」

こう語るのは、仔細な書籍レビューを制作し、法人に対してこのレビューを提供するサービス「flier(フライヤー)」の立ち上げを行った、大賀康史氏。同氏は、それまで勤務していたコンサルティング会社での経験を基に、次のような観点で、新たな仕掛けを検討したといいます。

「過去を振り返ってみると、“新しいビジネスを立ち上げるなど、自分の好奇心を刺激されること”、“チームとして楽しめること” というのが、自分にとって重要な軸だということが分かってきました。それを踏まえて考えると、この“フライヤー”サービスの立ち上げだな、という結論に至りました」

このように、過去の自分の取り組みの中で、好きだったこと、熱中したことを冷静に振り返り分析することが、軸探しの一つのアプローチとなるかもしれません。

他人に聞いてみる

「よく思うんですよね。昔の会社の同僚で、本当はこんなことしたらいいのになってこちらは思っているということが」(30代男性)

「今回の転職、自分の直観に頼って決めたんですよね。ただ、その直観をひとに説明するのが中々難しくて・・・・・・」(20代女性)

普段の仕事の中で「自分が直観的に好むこと」を他人に話し、そこにフィードバックを得るという機会は、ほとんどありません。一方で、今回の議論の中では、自分と親しいひと、近くのひとの多くに「本当はあのひと、もっとこういう会社、こういう仕事をしたら才能が伸ばせるのにな。きっとこういう仕事の方が向いているんだろうな・・・・・・」と感じていることが少なくないという指摘がありました。

こうした「本当は、自分は◯◯をしているときにいきいきしている」というのは、実は他の誰かと話をすることで、意外なほど簡単に明らかになっていくのかもしれません。例えば、受け入れる企業側からするとこんな話がありました。

「話さえしてくれたら、そこからお互いにいろんな発見ができますよね。例えば、いくつか仕事の状況に関する質問をこっちが投げかけて、それに対して回答をする中で、自分には何が向いていそうなのかを自分で自然と感じることができるかもしれません」(大手コンサルティング会社 採用担当)

「直観的に好むこと」というのは、自分自身で捉えにくいものです。だからこそそれをテーマに色々なひとと話をしてみるのも、この軸探しに役立つのかもしれません。

プロトタイピングしてみる

「”自分の予測範囲を超えた仕事” “直観的に好むこと” はどちらも行動しないと見つからないものだと思いました。つまり、机上でどんなに考えてもそれは過去の情報の整理であって出会いではない。それは長い目でみた成功には繋がらないのかも。”どのように行動して視野を広げるか” というTipsの方が重要な気がします」(30代男性 コンサルティング会社を経て起業)

三つ目の試行錯誤の方法は、自分が好きかもしれないと感じたこと、興味惹かれたことに対して、本業とは別に時間を割き、行動してみることかもしれません。

よく製品を作るときに、その製品を粘土や木材といったもので簡易に制作し、お客さんからの反応を聞くという「プロトタイピング」という作業を行います。これと同じように、まずは不確実な状況において自分の好むことを探るために、キャリアにおけるプロトタイピングをしてみるという方法です。

例えば、自分が教育業界に関する事業に興味があったら、近しい事業に取り組んでいるベンチャー企業のイベントに参加してみたり、そうした会社ではたらく友人をつくって、ちょっとした仕事を手伝ってみるのもいいでしょう。あるいは、イベント参加者からこんな実体験も紹介されていました。

「最初は “とりあえず書くか” という気持ちでブログを開始したら、その内容が友人の目に留まり、その推薦でメディアの公式ブロガーになりました。そこで偶然にも大ヒットした記事が生まれ、そこから出版のオファーをいただき、今では3冊目の執筆をしています」(30代男性 ブロガー)

このように、自分自身の過去の分析や、他人との会話の中で「このあたりが自分の好むことかもしれない」というものが見えてきたら、それをいきなり無理に本業にしようとするのではなく、こうしたプロトタイピングを通して実際に取り組んでみるのもよいでしょう。普段触れ合わない分野のひとたちとの交流を増やすことが「自分の軸」を探すことに貢献するのかもしれません。

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介した三つの点

「自分の予測範囲を超えた仕事に取り組んでいるか?」

「不確実性に挑むときに、自分の指針となる軸を持っているか?」

「軸を探すための試行錯誤に時間を割いているか?」

これらを現在取り組んでいる仕事に照らし合わせ、果たして3点についてクリアな回答を持っているのか、レビューしてみることが、変化の激しい時代におけるこれからの仕事選びに役立つかもしれません。

 

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今、知っておきたい 40代転職の最前線から見えてきたもの
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[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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