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あなたの生み出した「知識」は、他の人に使われているか?

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「仕事の価値」をテーマに寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える。

科学論文が掲載されるジャーナルの影響度を表す一つの指標として「インパクトファクター」というものがある。

インパクトファクター(文献引用影響率)とは、特定のジャーナル(学術雑誌)に掲載された論文が特定の年または期間内にどれくらい頻繁に引用されたかを平均値で示す尺度です。これはトムソン・ロイターの Journal Citation Reports® (JCR®)が備えている評価ツールの1つです。毎年Journal Citation Reports が公開するインパクトファクターは、被引用数と最近出版された論文との比率です。特定のジャーナルのインパクトファクターは、対象年における引用回数を、対象年に先立つ2年間にそのジャーナルが掲載したソース項目の総数で割ることによって計算します。(トムソン・ロイターより引用)

単純に言えば、「引用された回数が多い雑誌は、影響力のある雑誌だ」という考え方に基づく指標である。利用については賛否両論あり、その利用方法についても議論があるが、論文を投稿する学者としては「インパクトファクター」は無視できない存在の一つではある。

また、インパクトファクターはGoogleのページランクの考え方の礎ともなっており、Googleの検索結果は学術論文と同じく、「より多くの優れたページからリンクされているページは優れているページのはずだ」という考え方に基づく。

この二つの存在は、「知識」に関する重要なことを示唆している。つまり、「知識はそれを利用する人が多ければ多いほど、有用だ」とみなされているということだ。

この話を踏まえ、「現代の企業」について考えてみよう。現代の企業においては「知識」が資源としてもっとも重要な位置を占める。

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例えば、ある商社における人事評価で、ある社員が「評価に納得いかない」と上司に説明を求めたことがあった。

「課長、私は今期の売上をトップではないにしろ達成しました。なぜ、同じくらいの売上の同僚と評価が異なるのですか」

「もう何度も注意しているはずだ。『営業会議は非常に大事な場であり、アイデアを出し合う場だ。そこでの発言が極端に少ない場合は評価を下げる』と」

「営業は、数字を作るのが仕事でしょう。本当は会議に出席したくないくらいです」

「あなたは数字を作る『だけ』が仕事だと思っている。仕事はそういうものではない」

「数字以外に何があるんですか!」

「いいか、売上の数字は結果にすぎない。それまでの努力が正しかったかどうかの一つの指標だ。だがわれわれは『過程』も重視している。なぜならば、結果ばかりを気にすると『プロセス』が徐々におろそかになっていくからだ。そして、われわれはより良い仕事のやり方や、新しいアイデアを生み出すために人を集めて会議をやっている。その重要な場で、皆に貢献できない人物、自分のことしか考えていない人物は評価を下げるしかない」

「しかし…」

「ウチの評価の基準は知っているな。『会議で価値ある発言をすること』が書かれていることも。あなたはそれを怠った。自分のことばかりを考え、『他の人物に価値ある情報を提供すること』を怠った。だから評価を下げた」

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また、とあるソフト開発会社では、リーダーへの昇格の条件に変わった条件が付いており、次の期にリーダーに昇進できそうであると目される人物には、以下のような話が伝えられる。

「今期はよくやった。来期はぜひリーダーを狙ってほしい」

「ありがとうございます!」

「それにあたって、今期、今まで以上に熱心に取り組んでほしいことがある」

「どういったことでしょう」

「君が持つ知識を、他の人も使えるようにしてほしい」

「あ、例の標準化の話でしょうか」

「そうだ。リーダーという存在は、自分さえ良ければ良いという存在ではない。ノウハウをまとめて、全員が使えるようにすることも大きな一つの仕事だ」

「はい」

「期末までに、いくつかのマニュアルや様式などを作ったり、手を加えて使いやすくしたり、より成果が上がるように工夫してほしい」

「わかりました」

「特に君は、生産性において他の人よりも優れた結果を残している。全員の生産性を向上させる施策を考えて、具現化してほしい。それがリーダーだ」

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ある製造業では、現場からの細かい「改善提案」を何より重視している。「大きな飛躍は、細かい改善を続けた先に突然やってくる」という考え方からだ。

レベルによって、改善提案にはランクが付けられ、経営陣、管理職によって期末の評価にそれらが反映される。

どんなに細かい提案であっても、経営陣や管理職はすべてに目を通すことになっており、「製造業であっても、新しい知識を生み出し続けなければならない」という信念で、彼らは動いている。

「いやー、最初の方はめちゃめちゃ提案のレベルが低かったですけどね。評価に組み込んで、真面目にやりました。提案活動をさせるための勉強会みたいなものも開催しました。知識がないと、提案もできないですからね。2年ほど活動を続けると、だいぶ提案のレベルが上がってきて、ようやく少し効果を実感できたかなという感じです。頭を使わないではたらくのはラクなんですが、どうしても仕事の楽しさや、やりきった実感を得にくいんです。『頭を使ってはたらく』というのがどういうことか、それを教育するのが大変ですね」

ーーーーーーーーーー

テクノロジーにおいても、マーケティングにおいても、マネジメントにおいても、成功した企業には「特別な知識」が存在し、活用されている。だから、企業は従業員に対してホワイトカラーでもブルーカラーでもなく、「有能な知識労働者であること」を求める。

つまり、企業は、

「新しいやり方を」

「より良いアイデアを」

「優れた解決策を」

労働者に求めている。指示されたことをどれだけ効率よく早くこなしても、それだけでは価値を生み出しているとはいえない世界になった。

自分が他者にとってどれほど価値のある知識を生み出しているのか。常に振り返ることが必要となってきている。

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