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初めて上司になったら知っておきたい5つの技術

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『“未来を変える” プロジェクト』では記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は、人材開発系コンサルティングに従事し、現在は独立してベンチャーの立ち上げ・成長を支援するインクルージョン・ジャパン株式会社の吉沢康弘さんに「初めて上司になったら知っておきたい5つの技術」について寄稿いただきました。

PROFILE

インクルージョン・ジャパン株式会社 取締役 吉沢康弘
吉沢康弘
インクルージョン・ジャパン株式会社 取締役
P&G、組織開発コンサルティングHumanValue社、および同社でのWebベンチャー創業プロジェクトを経て、ネットライフ企画(ライフネット生命保険の前身)に参画。ライフネット生命保険にてマーケティング・事業開発を担当後、ベンチャーの創業・成長を支援するインクルージョン・ジャパン株式会社を創業し、現在に至る
部下に大いに働いてもらうコツの一つは、部下が働こうとするのを、邪魔しないようにするということだ(松下幸之助)

この言葉に代表されるように、初めて部下を持つときから、多くの方は「部下にはとにかく、主体性を発揮してもらい、どんどん自分から挑戦し、試行錯誤し、成長し、成果をあげてもらいたい」と思うもの。

ですが実際には、

  • 「まかせておくと、いつまでたっても歯がゆいし、目線感が低い気がする。やっぱり、叱ったりするのも必要かもしれない・・・」
  • 「まずはまかせてみるけれど、やってきた仕事を見るとあれこれ言いたくなってしまう。結局、長い時間をかけて試行錯誤してもらったものの、最後は自分が手直しをしてしまい、ほとんど自分の案みたいになってしまった・・・」

という壁に突き当たるのではないでしょうか?

そんなとき、マネジメント理論の中でも多くの上司経験者たちが「これを知っておくと、部下との接し方が劇的に良くなる」ということで活用している観点を、5つ紹介します。

1:部下との関係性は喋っている時間の長さに比例する

「ストレングスファインダー(StrengthFinder)」などで知られる米国のGallap社は、数多くの組織に関するリサーチ結果を発表しています。その中でも最もインパクトのある調査結果の1つが、「部下のモチベーションは、上司とのコミュニケーションの総量との相関が高い。そのやりとりが、ポジティブかネガティブかよりも、そもそもその絶対量が大切なのだ」という点。

つまり、まずは自分が上司になりたてのときは「要領良く回そう」「なるべくまかせよう」といったことをする前に、とにかく部下との接点、会話量を多くすることが関係性を高め、仕事をやりやすくするベースになるということです。

2:「関係性を向上」→「思考が高まる」→「自分ごととして行動する」→「成果が出る」を意識

続いて、MITのダニエル・キム氏らが提唱する「成功循環」というモデルについても、ぜひ知っておきたいところ。簡潔に言えば、

  • 部下を「まずは上司と良い関係になり、守られている気持ちにする」ことで、
  • 「自由に発言し、考えるように」なり、
  • 「そこで考えたプランに自ら納得し行動」し、
  • 「その結果、高いコミットで行動して成果を出す」

ということが起きる。そして、一度成果が出れば、当然上司との関係性は、雰囲気の高まりとともに良くなりますので、上記の流れが続くというもの。

最も参考になるのは「まずはなにより、関係性を高めるというところからスタートするのが着手しやすい」という点。ですから、1にあるアプローチのとおり、まずは会話量・接点を増やすべしということになります。

3:学習促進させるときは「怒り」や「おそれ」の感情を抱かせてはいけない

最近、脳神経科学の分野は急速に組織論・人事のトピックに浸透し始めています。主な要因は、MRAの発展に伴い、脳の中の動きと人の行動の紐づけが大いにしやすくなったこと。

この中でまず参考になるのが、「何か新しいことにチャレンジしてもらおう、試行錯誤で学んでもらおう」というときは、怒りやおそりの感情を抱かせてはいけないという点。これらの感情が起きると、脳の中の学習が促進されないことが解っています。

ですから、「叱って、奮起させて・・・」というようなアプローチは、元々持っている行動を促進させるときには有効ですが、新しいことを学ばせようとするなら行わないほうがいい。「いつまでもあいつは成長しないんだよな」という上司の方は、ひょっとしたら部下のことをいつも「奮起してもらいたい」と思い、叱ってばかりいませんか?

4:チームとしての目標や方針だけは適度に思う水準の4倍繰り返す

米国の著名な心理学者ミハエル・チクセントミハイは、自身の有名な理論「フロー理論」の中で、人が最も成長し、成果を挙げるのは、時間の流れも忘れるような没頭状態(フロー状態)をどれだけ作り出せるかにかかっていると指摘します。その重要な要件の1つが、「自分が何に集中すればよくて、何をしてはいけないか(範囲外か)が明確になっている」という点。

これを、上司の立場で一番実践できるのは、部下に対して「目指しているのは何で、どこまでそれを達成すべきか」ということを明確にすること。そのためには、上司が「自分ではこれくらい言ったら伝わっているだろう」と普通に思う水準の4倍ほど、日々その目標を繰り返し伝え、会話の中に折り込むことです。「押しつけっぽくなって嫌だ、しつこいと思われる」と臆すことはありません。

高業績をもたらしているマネジャーたちの共通点は、「目標について、しつこく伝える」こと。気をつけるべきは、その言い方が、3にあるような「怒り」や「おそれ」につながるような高圧的なものにならないようにすることだけです。

5:上司が不完全であることを積極的に認め、改善点を定期的に部下に聞く

そして、いろいろと仕掛け続け、積極的に部下に関与しようとする上司ほど行うべきが、この点。人によっては「部下に ”自分の改善点を教えて” なんていうと、弱くなってしまう、なめられる気がする」と思いがちですが、まったくそんなことはありません。むしろ、精神的に強くないとこれは聞けません。

このコミュニケーションには、もちろん上司としての自分の行動が適正かどうかを修正する効果がありますが、それにも増して、「上司もこういうふうに、不完全であることを認めてくれている。だったら、自分も自分の不完全さを認めて、直していってもいいな」と部下に思ってもらえることです。

変化の時代には、学ぶ者が地上を制し、学ぶことをやめた者は、自分の力を発揮できる世界がもはや存在しないことに気づく(エリック・ホッファー)

この点を常に胸に留めながら、日々の部下との接し方を磨いてみてはいかがでしょうか?

『YLOG走り書き』より転載(2017年7月5日公開の記事)

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