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【ツール付】上司・部下の関係が劇的に良くなる5つの観点

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2017年3月に現役の大企業役員・現場で活躍するビジネスパーソンなど、『“未来を変える”プロジェクト』参加者40名ほどで「最高の上司とは?」というテーマで議論しました。

そこから見えてきた状況は、「今の時代の “上司” は本当にしんどい。上司なんかしたくない」という人で溢れているというもの。

自分と年齢が20歳も離れた課長は、いまだに社内会議であってもめちゃくちゃ細かく作り込まれた資料制作を要求してきます。明らかにオーバースペックだし、今のスピード感に合っていない(若手参加者Aさん)
頭ごなしにいろいろな技術的な話や仕事の進め方を指導されるけど、その人が知っている技術内容は業界の技術革新によってすっかり古びたものになっていて、時代遅れ。自分たちからすると “そんなやり方じゃダメでしょ” って、冷淡な気持ちになってしまいます(若手参加者Bさん)

上司がかつて活躍した時代と現状の乖離が大きく、メンバーへの接し方に違和感を憶える若手も少なくありません。

一方で、上司を取り囲む状況、求められることも激しく変化しています。かつて、GDPの成長率が5%を超えた時代はいわば「下り坂のマネジメント」。勝手にスピードが出る好景気の中でその方向性を統率し、適度にブレーキをかけながら進めばよく、その先にはさらに加速した状況が待っていました。

それに比べ、GDPの成長率がガクッと落ちた2000年代以降、求められるマネジメントは大きく転換しています。放っておいておいても大きな成長は起こらず、一方で技術面の進歩は早い。変化する状況の中、何もしないと加速するどころかどんどん減速してしまう「上り坂」のマネジメントの時代と言えます。そんな中で歯を食いしばって成果を出した平社員は、大した準備期間もなしにいきなり「上司になる」ことになります。

どんなふうに上司として振る舞えばいいか、どのようにすれば部下のパフォーマンスを上げることができるか。予備知識も練習も不十分な中、いきなり上司としてこれまで得意だった仕事の仕方を制限され、部下との時間を中心にせよと言われます。これでは、辞退したくなる気持ちも分かる気がします。本記事では、こうした変化の激しい時代における「上司」と「部下」のリアルを掘り下げながら、どのようにすればこのギャップを埋め、「最高の上司」を生み出すことができるのかについてご紹介します。

今回のアウトラインです。

INDEX読了時間:5

それでは本文です。

現代の上司を取り巻く過酷で困難な状況

今回の議論では、参加者の半数が管理職・マネジメント経験者、残り半分が20〜30代前半の一般社員などマネジメントされる側を占めました。

いずれのグループからも出た話題が、「環境が激しく変化していて、上司がすべきことが変化していて大変」という内容でした。参加者からは、以下のようなコメントが相次ぎました。

今は少し昔とは状況が変化していて、過去の成功パターンを部下にコピーさせる上司ではなく、部下の力を引き出す上司が求められると思います(20代・女性・会社員)
上司の定義や求められるものが急速に変わってきていることを実感している。それは組織が変化していることの表れなのだろう。さて自分はどう生きていくのか悩ましい(40代・男性・介護事業企画マネジャー)
みんなで自身が思い描く最高の上司像について話し合ったが、社会の変容、ライフスタイルの変化≒価値観の変化をみな捉えながら話をしていた(40代・男性)

こうした上司の側からも、部下の側からも「時代が変化しているから、上司って大変だよね・・・」という話はデータからも裏づけられます。例えば、経済環境の大きな変化。

日本の実質GDP成長率推移

図のとおり、1990年以前の日本は成長期。多くの企業は好景気に後押しされ、自然と業績が伸び、全体的なムードは肯定的。そんな中、上司が果たすべき役割は「みんなが流れの中で暴走せずに、1つの方向に向くようにコントロールする」というスタンスが主流でした。

ところが、1990年以降、低迷する景況感の中ではいかに部下のやる気を引き出し、チームに高揚感や肯定感を生み出すかというアプローチが必要となってきました。以前と同じように、統制とコントロールを中心としたアプローチを続けてしまっては、チームの勢いややる気がどんどん減退してしまうモードに入ったわけです。

さらに、2011年の東日本大震災以降、日本ではTwitterの台頭を皮切りとして、多くのSNSが活用される流れが生まれました。

SNSの利用は2011年以降、爆発的に伸びている

その結果、多くの企業では若手は社内ではなく、社外の同世代とのコミュニケーション量が増え、以前のように会社内で上司と会話をする時間が減り、同世代同士で考えを交換する割合が増加しています。

これは、上司からすると「若手が何を考えているのか、分からない・・・」という状況を加速させています。

いきなり丸裸で上司にさせられる悲劇

そんな中、会社の状況によって突然部下を持つという流れは災難とも言うべき状況かもしれません。

「上司」としての振る舞いについては、企業ごとの文化や蓄積されてきたアプローチ、あるいは外部の研修会社から提供されるトレーニングなどがあります。しかし、その内容は断片的。突然上司になった場合、人は「自分がどのように上司にマネジメントされてきたか」を頼りに行動するか、部下だったときの行動を変化させずにそのままの流れで上司になってしまいます。

これでは、急激に変化している「部下に対する接し方」を学ぶ時間が不足するのも当然です。

それでも、会社からの期待やこれまでの自負、そして新たに部下になったメンバーを育てようとする熱意によって、その人物は精一杯、試行錯誤しながら「最高の上司」になろうと努力します。

実際、企業でローパフォーマンスと呼ばれる上司の人たちにインタビューをすると、ほぼ例外なく “部下を育ててやりたい” など善意に溢れています。ただ、そこにスキルやアプローチが伴っていません(40代・男性・組織開発コンサルティング)

その結果、上司であることに疲弊し、部下に対してこんなことを言ってしまうようになります。

昔の上司が、“上司になるのは大変だ” “管理職になんてなるもんじゃないよ” と疲れきった感じで言っているのを憶えています。あんな姿を見たら、誰だって上司になんてなりたくなくなっちゃう・・・と思いました(30代・女性)

上司と部下の期待値がすれ違う5つの要素

そんな中、ある若手参加者からこんな話が出ました。

この間、ある知り合いが言っていた話です。その人は、部下にまかせるマネジメントをしたい。一方で部下は、本当はマイクロマネジメントを求めていた。そこで解り合えない間に、最終的に部下に「あなたは最低の上司だ」と言われたらしいんです。

この話をきっかけに、こんな議論が続きました。

  • 「自分はこういうマネジメントをしたい」という上司の考えと、部下からの「こういうマネジメントを求めている」というのを対話する場があってよいのでは?
  • 一概にすべての上司が「こうあるべき」「こんなことをするのは今の時代としてNG」ということではなく、状況や上司と部下次第で、その組み合わせは変わるのでは?

これらの流れの中で、特に上司と部下との間で「すれ違い」が発生しやすく、本来すり合わせておくべき要素として以下の5つの点が出てきました。

  • ポイント1:勝ちパターンを教えるのか、勝ちパターン探しは部下にまかせるか
  • ポイント2:成長の責任は上司が持つのか、それとも部下が自己責任で探求するのか
  • ポイント3:会社・組織の目指すスタイルで成果を目指すのか、それとも一人ひとりの個性・強みに根ざしたスタイルで成果を目指すのか
  • ポイント4:「仕事」の前提は、やるべきことを責任感でこなすものか、それともどれだけ楽しめるように工夫するものなのか
  • ポイント5:上司は、仕事上で部下が安心できる「安全地帯」を作り出すのか、それとも部下が自分で「安全地帯」を作り出すことを求めるのか

これらの内容について、「臨機応変にどちらも正しい」とするのではなく、その上司と部下の組み合わせ、その会社・組織・チームが置かれた状況に応じて、まずはこの話し合いを行うことが重要であるというのが今回の議論から出てきたポイントでした。

今日からできる「上司と部下」の期待値すり合わせシート

以上の内容を踏まえ、ご紹介するのが「上司と部下の期待値すり合わせシート」です。

上司と部下の期待値すり合わせシート「上司の行動はどうあってほしいか」

このシートは先ほどご紹介した「5つのポイント」に加え、今回の議論の中で「よく上司と部下の間で食い違う、期待がズレてがっかりすることが多い」要素を加えたものになっています。

これを使って、上司と部下で以下のようなやりとりを30分程度行うだけで、上司と部下の求める期待値の認識をすり合わせることができます。

  • ステップ1:上司と部下でそれぞれ、上記のシートの各項目に5段階でマークをつけます。その際、上司は「自分はこうしたいと思っている」というマークを行い、部下は「自分はこういうふうにしてほしいと思っている」というマークを行います
  • ステップ2:上司・部下ともに「自分のシートはすべて記入を終わりました」と伝え、記入済みの紙を裏返しにして目の前に置きます(これによって、お互いに相手の話を聞いて自分の素直な気持ちを話さず変更してしまうことを防ぎます)
  • ステップ3:まっさらなシートを新たに用意し、一番上の項目について、まずは部下が自分の期待する点数を上司に伝え、マークします。上司はここでは、自分のやろうとしている点数を言いません
  • ステップ4:部下は、なぜその点数を選んだか、希望するかの理由を述べます
  • ステップ5:次に、同じ項目について上司は自分の点数を部下に伝え、同じくマークをします(部下のマークと違う文字で)
  • ステップ6:上司は、なぜその点数を選んだか、その理由を述べます
  • ステップ7:以上のステップ3〜5をすべての項目について繰り返します。この流れが終わるまでは、お互いに議論はせず、相手がどうしてその点数をつけたかをよく聞き、理解を深めます
  • ステップ8:以上の流れを踏まえ、それぞれの項目を今後どの点数で行うかを議論し、決定します

そして、ここで決定した内容を踏まえ一カ月ほど仕事をし、再びこのシートに立ち返って、今度はお互いにどのような点数を希望するかすり合わせを行います。

このシートを使った経験者からは、以下のようなコメント・感想が寄せられています。

「部下が仕事そのものを楽しめるように助力しますか?」という項目で、自分は4点とつけたら、上司は5点とつけてきました。自分としては「仕事なんだから、楽しむだけじゃだめだよね・・・」と遠慮があったのですが、上司はニコニコしながら「いやぁ、楽しんで仕事しないとパフォーマンスも上がらないしね」って言ってくれたんです。この一言で2人の合意の元、ここは5点、「上司は仕事が楽しめる環境を作ってくれるから、それを自分はとことん活かして伸び伸びと仕事する」ということになりました(20代・女性・金融関係)

上司と部下の期待値すり合わせシートは「こちら」からダウンロードいただけます。

部下を叱るな来た道だもの、上司を笑うな行く道だもの

さて、最後に。今回の議論およびその後にやりとりを行ったベテラン・若手多くのビジネスパーソンから、さまざまな反響が寄せられました。

ウチの組織では、口では「責任取るから自由にやっていいよ」と言いつつ、最後のほうになって上司が急に不安になり(それはその上司もさらにその上から糾弾されるからなのですが)、 「聞いてない」「こうしろと言ったはずだ」「書類は出ているのか」みたいなことを言い出したりします(こちらとしては、「言ってるよ」「聞いてないよ」「きちんと手続き踏んでるよ」という気持ち)(40代・女性・外資系)

こうした自分の上司に感じる不甲斐なさを率直に指摘する声もあれば、一方で上司の立場に立つ方からはこんな声もありました。

ある出来事がきっかけとなり、以降「自分の部の運営のやり方どう思う?」とか「自分のマネジメントのやり方で気づくことある?」と部下に折に触れてぶっちゃけ聞いています。(中略)聞いても、言ってくれる人、言わない人、さまざまです。そこはしょうがないと思いますし、言ってもらえるような関係性を一人ひとり地道に作っていくことかと思います。(中略)一方で、まだまだ自分は修行が足りないので、部下からフィードバックを受けることに対し、正直言って、「怖さ」も感じます。自分のやり方、進め方への意見、異論はどうしても「自分への否定」に感じてしまう。「行為」と「人そのものの存在」は別と頭で分かっていても、感情がついてこない・・・。これは心理学的(?)には防衛反応ということでしょうか? どんなフィードバックを受けても、冷静に客観的に受け止めるという「覚悟」がないと真の意味での「安全地帯」は作れないのかもしれませんし、そこを乗り越えていくことで今の環境に適用したスゴイ上司になっていくのかなあと思いました(50代・男性・流通)

さらに、こうした「上司と部下」のいろいろな困難な状況について、上司は部下とだけ、部下は上司とだけという関係で解決を目指すのは過酷だという指摘もありました。

(ここまでの内容を読んで)上司と部下以外の登場人物(部下と同年代の社員や社内外のメンターなど)をどうレバレッジすべきかという話につながるような結び方になっていてもよかったかなと感じました。「上司と部下の間合いが問題で、そこだけ可視化したらうまくいく」というのではもったいないのでは?(40代・男性・人材関連)

このように上司だけに大変な対応を求めるべきでなく、部下も周囲もそこに向けた支援を行っていく必要があるのではないかという声も少なくありません。

元任天堂でサラリーマン経験もある「Wii」の企画者の一人である玉樹真一郎氏は、今回の内容について以下のようなコメントを寄せてくれました。

少なくとも「上司 VS 部下」というのは「1対多」、そもそも上司のほうがキツイ仕事です。加えて責任も増します。時代は変わって、若い人のほうが賢い。こんな不平等の中では、どう考えても「上司が変わる」よりも「部下が変わる」ほうが楽だし現実的だと思えます。つまり、上司に苦労する若手がいたら自身を変えたほうが手っ取り早い。それこそ「上司を笑うな」の気持ちになれたら、むしろダメ上司も人生の味のような感じすらしています・・・ さすがに達観しすぎたかもしれませんが(汗)

環境の変化に伴って大変な目に遭っているのは部下だけでなく、上司も然り。上司に一方的に何かを期待するわけでも、部下が一方的に奮起することを願うだけでもなく、両者そして周囲がお互いの求めるところをオープンにしつつ新たな関係を築いていく努力を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。それは、玉樹氏がメッセージしてくれた、こんな言葉に集約されるのかもしれません。

「部下を叱るな来た道だもの、上司を笑うな行く道だもの」

[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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