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「いま成果が出てなくても、伸びそうだから次のチャンスをあげよう」と上司が思う部下とはどんな人か

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「『いま成果が出てなくても、伸びそうだから次のチャンスをあげよう』と上司が思う部下」について寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える

仕事において成果が出るかどうかは「実力」もあるが、本当に大きいのは「運」かもしれない。いくら考えてもデータを集めても、最終的にある試みがうまくいくかどうかは運の要素が大きい。

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者であるダニエル・カーネマンは、「業績は運」と言って憚らない。

同種の企業を2社ずつ選んでペアを作るとします。どのペアでも2社は全体的に似ていますが、片方のCEOはもう一方のCEOより優れています。この2社のうち、優れたCEOの経営する会社がより高業績を挙げる確率はどのくらいでしょうか?

カーネマンはこれについて、「企業の成功とCEOの手腕との相関係数は、かなり甘めに見積もったとしてもせいぜい0.30だろう」と述べる。

相関係数が0.30だとすれば、優れたCEOの率いる会社が相手より良い業績を挙げる確率は約60%になるーーーこれでは運頼みの場合より10%高いだけであり、ビジネス書に頻繁に見受けられるCEO英雄神話を裏づける数字とは言い難い。

会社を操ることのできるCEOですら業績に対して10%程度の影響しかないのであれば、一介の社員が与えられる影響などわずかだ。

だが、それであるがゆえに重要なのは学習と試行回数である。よく言われるように、「失敗から学ぶ人」「たくさんやった人」が成功する可能性が高いといっても差し支えはない。

松下幸之助は、

失敗したところで止めてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる。

と言うが、それは真理であるとも言えよう。

しかし、この考え方には落とし穴もある。

起業家にとって致命的な失敗があるように、多くの会社において「失敗」したあと、またチャンスがもらえる保証はない。「仕事で失敗→社内で無能扱い→出世の望みがなくなり退職」となってしまっては、「失敗したほうが良い」と気軽に言うこともできないのである。

だが、このとき重要なのは「失敗しないこと」ではない。元々失敗する可能性のほうがはるかに高く、あなたに能力があったとしても成功は運次第だ。従って、「失敗しない」を志向すれば、それは次第に「チャレンジしない」となり、長期的にはジリ貧である。

そうではなく、ほんとうに重要なのは「彼はいま成果が出てなくても、伸びそうだから次のチャンスをあげよう」と上司に思ってもらうことだ。上司に、「今回の失敗は仕方ない、よくやった」と思ってもらえれば、また次のチャンスに再起を賭けられるのだ。

では、上司が「次のチャンスをあげよう」と思う人はどんな人か。おおむね以下の条件をクリアしていると考えられる。

  1. 進捗報告、相談を怠らない

同じ失敗でも上司がその状況を逐一知っていたときと、まったく知らない状態からの不意打ちとでは、明らかにその印象は違う。

何かあれば都度、上司へ報告・連絡・相談を欠かさずやっておこう。そうすれば、上司は「オレが気を遣っていたけど、失敗してしまった」と、連帯責任を感じてくれる。

そしてもちろん、「オレが気を遣っていたけど、失敗してしまった」と上司が思うかどうかは、「失敗に対する評価」をかなり左右する。

  1. アウトプットが出ている

調査や企画だけで何もアウトプットが出ていない試みは、上司からしてみれば「ほんとうに仕事をしていたのか」の判断が非常に難しい。

極めて有能な上司であれば、アウトプットの有無などといった外形的な情報だけに惑わされず本質を見極めてくれるだろうが、現実はほとんどの場合、アウトプットで判断されるだろう。

  1. 熱意がある(ように見える)

「熱意の有無」は、その人がどれだけ事物に打ち込んでいるかどうかを見極めるときに重要だと考える人が多い。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家たちも、「最終的には経営者の熱意を見て決めます」という方が非常に多い。

もちろんチャレンジをしようとしている人に「熱意がない」ということはほとんどありえないとは思うが、外から「熱意が見えにくい」ということは十分あり得る。

だが、それはとても損をする。分かりやすく言えば、「外から見て熱意があるように見える」ことが重要なのだ。そうすれば多少失敗したとしても、「次のチャンスをやろう」とたいていの上司は思うだろう。

  1. 同じミスを繰り返さない

失敗が許されることの本質は、「成功確率はそもそも低い」ということともう一つ、「学習できること」である。

だから、失敗したときに上司が「高い授業料だったけど、まあ良いだろう」と思える条件は、担当者がどれだけ学んでいるかであることは言うまでもない。

従って、同じミスを繰り返しているようでは、「彼にチャンスをやることは、ドブにカネを捨てるのと同じ」と見なされてしまい、次のチャンスはめぐってこない。

そのために必要なのは、「自分は失敗しました」と潔く認める姿勢だ。早稲田大学ビジネススクールの入山章栄氏は次のような話をしている。

2010年にアメリカのピーター・マドセン氏とヴィニット・デサイ氏が経営学術誌で発表した論文で、宇宙軌道衛星ロケットの打ち上げを研究材料として、打ち上げに成功したグループと、失敗したグループのその後の打ち上げ失敗確率の結果を分析したところ、興味深い結果が出ました。成功したグループよりも失敗を経てチャレンジしたグループのほうが、次回のパフォーマンスが向上したのです。これは、組織がサーチ行動(失敗の原因を探ること)を行ったのが大きな要因であると考えられています。サーチ行動によって改善を続け、次のチャレンジに生かすこと。その行動のサイクルが成功確率を上げる秘訣なのです。

繰り返すが、「成功」は運の影響が大きく、失敗は恥ずべきことではない。だが、上司に次のチャンスがもらえるかどうかは、運ではなく、努力の問題である。

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