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これからの時代のマネジメント――自発的に動き、成果を出す現場力を育むポイント

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変化の激しい時代において、現場が臨機応変に動くことは経営を左右する重要な要素になっています。では、自発的に動き、成果を出す現場を育むポイントとは何か。大手メーカーで実績を挙げてきた辻孝夫さんに寄稿していただきました。

PROFILE

辻孝夫
辻孝夫
パーソルキャリア i-common登録
1976年日本電気株式会社(NEC)入社。システム・エンジニアとして大手製造業の顧客企業へのシステムの提案、開発、導入支援活動に従事。2002年製造業マーケットを担当するシステム事業部長、2006年システム技術統括本部長、2009年社内IT部門である経営システム本部長、2012年支配人にそれぞれ就任。2013年中堅マーケットのシステム事業を担当するNECネクサソリューションへ移籍し取締役・執行役員常務に就任。2015年退任し、現在に至るまで顧客企業の経営力強化に向けたIT活用および業務改革活動などプロジェクト型組織活動のアドバイザーとして活動中

「自発的に動き、成果を出す現場力を育むポイント」というタイトルから、「裁量権を最大限認められた現場のメンバーの自由な活動」を連想する読者が多いと思います。

しかし、活動目標・テーマが重要で高度な場合、その様相は大きく異なります。そしてこのようなケースでこそ「現場力」を強力に育成・強化することができます。

私は、コンピューターメーカーに入社し、キャリアの大半はシステムエンジニアとして大手製造業を中心とするお客さまへのシステム提案、開発、導入に従事しました。

その結果、多くのお客さまのシステム刷新と合わせて実行される改善活動にも関わってきました。また、自社内での改善活動にも数多く参画し、40台後半からは現場の責任者としてチームをリードしました。

これら多くの活動を振り返ると、現場の活動チーム(以下、チーム)が自発的に動き、大きな成果を挙げ、現場力を発揮したケースには共通点を見いだすことができます。その共通点とは「テーマが重要で高度であればあるほどより明確に現れる」ということ。

その事例として、グローバル企業のグループ約10万人規模を対象とした業務プロセス革新活動を経験しました。このケースをベースに、自発的に動き、成果を出す現場力を育むポイントを探ります。

自律的に成果を出す現場を構築するための3つの重要なポイント

1.「ゴール(達成目標)の共有」

まず、トップ(このケースでは社長)とチームの間で「ゴール」が共有されていることです。ゴールを共有していないチームに活動を委ねることはありません。チームはトップとゴールを共有しているとの確信があるから、自発的に活動し成果を出そうと努力します。また、チームを取り巻く関係部門もそのチームがトップとゴールを共有していることにより協力することができます。そうして、チームは多くの関係部門の協力を得てゴールを目指すことができます。今回のケースでは「ゴールの共有」を確認する場を定期的に設けていました。

2. チームが活躍できる「場」の設定

現場力を育成・強化するためにはチームが背伸びして、ジャンプしてやっと届くようなゴールと、チームがゴールに向けて専念し、能力を十二分に発揮できる「場」の設定が重要です。テーマによっては常務、専務クラスの役員が抵抗勢力となるケースもあり、この場合はトップ自身が抵抗勢力の影響を排除する必要があります。

3. 成果に対する公平な人事評価の先にある人材育成の仕組み

チームメンバーは人事考課やボーナスの査定を良くする目的のみで活動するわけではありません。それよりも、多くの仲間とともに期待以上の大きな成果を挙げようとする向上心で活動します。それは人事評価を超えたその先に、次のより大きな活躍の「場」の提供を信じ、成功を重ねることでマネジメント力を急速に高め、結果としてより大きな役割のポストに就けると信じることができるからです。

従来の常識をブレークスルー・・・本場ドイツで高い評価を獲得

このケースでは、いくつもの壁をチームの自発的活動でブレークスルーしています。その中の一つを紹介します。

「業務プロセス革新活動」として標準業務プロセスの設計が軌道に乗り始めたころ、ヨーロッパとアジアの現地法人のトップが「日本で設計された標準業務プロセスは海外で使えるはずがない」として、業務プロセス革新活動を公に否定しました。

確かに指摘通り、日本で設計された標準業務プロセスをグローバルに展開した前例はなく、日本の業務プロセスは特殊で欧米とは大きく異なるというのが当時の常識でした。そのような状況下、海外のトップおよび業務プロセスを運用する現地社員にどのように理解してもらうのか・・・1、2週間、対策を考え抜きました。

その考え抜いた対策とは、業務プロセス革新活動の方法論、成果を競うイベントをあえて本場ドイツで開催される「ProcessWorld 2010」で発表し、国際的な評価、お墨つきを得て、それをもって理解を求めることでした。入念な準備の上、イベントでの発表に臨みました。

結果は予想をはるかに上回りました。発表直後、観衆はスタンディングオベーションで発表を称え、「Business Process Excellence Award」 を受賞するという高い評価を得ることができました。

これを契機に、まず海外現地法人の中で最も組織が大きいアメリカの法人に業務プロセス革新活動の成果を適用し成功しました。その後、アジア、ヨーロッパにも順次適用し成功させることができました。

その受賞とその後の成功に賭けた現場メンバーの情熱と努力は、受賞の盾とトロフィーという形で彼らの本社ビルのショールームで今でも輝いています。

自律的に活動するためには、トップを始めとする関係者とゴールを共有し、その活動計画の正しさの理解を得ることです。そのためには論理的な思考と説明が必要です。また、これらの活動において、チームは多くの部門、多数のメンバーとともにゴールを目指します。つまり、完遂に向けた「リーダーシップ」が重要です。

現場力、マネジメント力は現実の「場」での実践によってのみ獲得し、そしてさらに強化することができます。より高度で重要な場で、数多くの失敗を乗り越え、ゴールにたどり着く実践こそが重要です。失敗をおそれない実践への挑戦を期待します。

最後に、経営人材を育成していくためにはトップが実践の場を設定することが重要です。そして、その場で自律的な活動を通してマネジメント力の向上に挑戦する必要があります。トップダウンとボトムアップの「熱き交流」が経営人材を育てるのです。

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