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真面目な女子中学生が教えてくれた、マネジメントで大切なこと

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“未来を変える”プロジェクトでは、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。今回は、企業のマネジメント支援をする20代の方に「上司と部下の関係」に関する考え方について寄稿いただきました。

PROFILE

エール株式会社
宮﨑恵美
エール株式会社
学生時教育系NPOにて大学生や専門学校生向けの研修事業の立ち上げを経験後、福祉関連ベンチャー企業にて介護系の人材紹介事業やマッサージ事業の立ち上げに従事。現在はエール株式会社にて、主に若手層とマネジャー層のギャップに関する取材や調査を行っている。

最近「マネジメントと子育ては似ている」という話を聞いて、思い出したエピソードがある。

以前、受験を控えた中学2年生の女の子Aさんとじっくり話す機会があった。学校では成績優秀。塾でも志望校に受かることが出来るように必死に勉強しているらしい。

「学校楽しい?」
「高校生になったらどんなことがしたいの?」

いろんなことを話していたが、途中ポツリとこんな言葉を漏らした。

「お母さんは忙しいから、心配をかけちゃいけないの。だから学校でも塾でもいい成績をとらなきゃいけないんだ」

よくよく聞くと、Aさんのお父さんは単身赴任で長く家を空けてしまっており、お母さんもフルタイムで働いているため、帰りが遅くなることも日常茶飯事であるという。そのため、学校や塾から帰ってくると机の上にお金が置いてあり、夕飯は好きなものを買いに行くか、食べに行くかで済ましていると言う。

「この前は成績が良かったから、いつもは2,000円だけど3,000円になっていたんだ」

模試の成績が良くなると、置いてある金額が少し高くなる。きっとお母さんなりにその子に対してご褒美を与えているのだろう。そして、お母さんは、Aさんに対してこんなことをよく話すらしい。

「あなたが頑張り屋さんだから、私も心配事が少なくて嬉しい。お母さんはもっとお仕事頑張っても大丈夫だね」

私もAさんに「がんばっているね、えらいね」と声をかけたが、どうも表情が冴えず、むしろ表情が曇ってしまった。最後にこんなことを私に話してくれた。

「…でも本当はずっと頑張り続けるのは苦しいなって思っているし、それ以外にも部活の友達といろいろトラブルとかもあったりして…。でも心配させちゃいけないからそういうのは言えないんだ」

とあるボランティアの一環で出会ったので、Aさんと個人的な関わりを持つことは禁止されていた。そのためこの数時間しか話を聞けなかったのだが、なんとも悔しい気持ちに襲われた。このお母さんは、Aさんの気持ちをどこまで知っているのだろうか?

このようなすれ違いは親子の関係だけではなく、仕事における上司と部下でも良く見られる。「彼は頑張り屋だと思っていたのに…」と思う優秀な若手社員ほど、突如会社に来られなくなってしまったり、退職してしまうケースだ。

私の友人でもそのような人が複数名いる。彼らに共通するのは、新卒入社で配属された部署でがむしゃらに仕事をして成果が出たことにより、上司や先輩から「彼は出来る!」と思われてしまったことだ。そのため、彼らが苦しい状況であっても、その上司や先輩たちからすれば「彼は出来るから特にケアをしなくて大丈夫!」と放置をされてしまったという。彼らも「上司や周りの人達も忙しそうだし、自分の仕事だから頑張らなきゃ、期待に応えなきゃ」と知らず知らずのうちに自分のことを追い込んでしまっていたようである。

かくいう私も前職で似たような経験をしたことがある。当時は飛び込み営業を行っており、毎日自転車で東京の東半分を回っていた。新規事業で本社とは違う場所に配属し、上司と顔を合わせるのも1週間に2、3度、会っても30分程度でほとんど話さないという状況だった。ある梅雨の日、雨でずぶ濡れになって帰社した。たまたまいた上司は「ああ、おかえりなさい」とだけつぶやき、自身の作業に戻ったときには、憤りを感じた。きっと上司からしてみれば「フォローしなくても大丈夫」と思っていたのかもしれないが、私としてみれば「ああ、この会社は私のことをただの駒としか思っていないんだな」とさえ感じた。その後半年も経たずに前職を退職した。そうした経験があったから現在、企業のマネジメント支援をしているのだが、そうした事実は前職の誰にも言わなかったし、むしろ言えなかったように思う。しかし、上司や先輩たちだって、そんな風にさせたいわけでは無いはずである。では、どうすれば良いのだろうか…?

先日、マネジメントに関して試行錯誤している方々に話を聞く機会があった。マネジメントスタイルの違いはあれど、次のような共通点が見つかった。それは、「部下本人の頑張りがあればあるほど、ケアする量を増やす」という点である。

若手メンバーを抱えるマネジャーのAさんは、こうだ。

部下から進捗を話してくれなくても、自分から聞きに行く。そうすると、部下は聞きに来られるのが嫌だから自分から話に来てくれるようになる。部下がわからないことがわかっていない場合は、まずわかっているところを聞いて、出来ていない差分を指摘する。そこを叩き上げる。そうやって成長していく若手がいるから、私のプロジェクトとは関係ない人も「僕もAさんと一緒にやりたいです!」って話をしてきてくれる。

百貨店の店長であるBさんはこう言った。

まずは一日3回売り場を回って、雑談でもなんでも社員の人に声をかける。そうすると「ああ、そういうレベルでも話して良いんだな」とか「何かちょっとでも気づいたことがあったら、言ったら何か反映してくれそう」みたいな感じで店長に直接、言いたいことを言うようになる。

=====

私自身も以前の上司がもう少しきめ細かいケアがあったり、営業戦略を一緒に考えてくれるようであれば「このひとは私のことをしっかり見てくれている」「この仕事をしていて成長できている実感がある」「もっと頑張ろう」という気持ちになれたかもしれない。

頑張っているし成果が出ているから放っておくのではない。まずは良い状況であろうと、悪い状況であろうと相手がどんなふうに思っているか、考えているかをしっかり聞いてあげること。

そして、それはマネジメントでも、子育てでも同じなのかもしれない。

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