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元大手メーカー管理職に聞く、強い現場を作るマネジメント3つのポイント

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不確実な世界で成果を出し続ける組織を作るマネジメントのポイントは何か。今回は、大手電機メーカーで約25年間広報を担当し、商品事業から経営関連、リスク案件まで幅広くマスコミ対応に従事してきた関喜文さんに「強い現場を作るマネジメント」のポイントについて、寄稿していただきました。

PROFILE

元大手電機メーカー広報担当 関喜文
元大手電機メーカー広報担当 関喜文
パーソルキャリア i-common登録
大手電機メーカーを先ごろ定年退職。約25年間にわたり広報部門に在籍、商品事業から経営関連、リスク案件まで幅広くマスコミ対応に従事した。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会認定 PRプランナー

自律してメンバーが動き、成果を出す現場を作るためのポイントは3つあります。

  1. 一人のプロとしての自覚
  2. 引き出しの数を増やす努力
  3. 修羅場の経験

1.「一人のプロとしての自覚」

先日、36年勤務した会社で私は定年退職を迎えました。約25年間、最後まで自分が大好きな広報関連の仕事に従事できたことはとても幸せでした。

広報に異動したのは入社10年後、それまでは営業の第一線で仕事をしていましたので、同じ会社ではありますが転職したようなものです。ただ異動したのが33歳だったので、社内の事情や世の中の仕組み、大人の世界の難しさを理解できており、「社内転職」をするにはちょうど良い時期だったように思います。

当時の上司から「会社を離れても、外で勝負できるプロになれ」と言われたのが、強く印象に残っています。とても私の心に響く言葉でした。企業において「仕事はチームプレー」ですが、それは「鍛え抜かれた個人の力」があることが前提です。

少し古い話ですが、前回のサッカーワールドカップブラジル大会の予選を日本代表チームが勝ち抜いた後、本田圭佑選手が「日本はまだまだ『個の力』が弱い。もっと『個の力』を上げないと世界では通用しない」ということをインタビューで話していました。

チームワークを重視するサッカーのような団体競技でも、やはりそれぞれ個々の力がないと世界では通用しない。ビジネスの世界も同様で、自分の専門分野でプロとして通用するだけの力を身につける自覚と覚悟を持って仕事に臨むことが必要です。

2.「引き出しの数を増やす努力」

人間関係を深めるにも、交渉を有利に進めるにも「総合的なコミュニケーション能力」が必要です。むしろ、ビジネスで最も重要なスキルと言えるかもしれません。

“総合的” という意味合いは、会った人を飽きさせず当意即妙な対応ができる、つまり「引き出しの数が多い」ということです。引き出しを増やすには、特別なことをしたりお金をかける必要はありません。まず、本と新聞を毎日読むことです。

1年半だけ採用担当部長をしていたことがあり、広報に戻ってからも、採用シーズンには面接官をしていました。私は毎年、かならず学生に「どんな本を読みますか? 今日の新聞にどんなことが書いてありましたか?」という質問をしました。

今の学生は驚くほど本を読んでいません。中には「最近は忙しくてゼミの本ぐらいしか読んでいません」という苦し紛れの答えもありましたが、そういう学生にかぎってゼミの内容を聞いてもしどろもどろになります。そして新聞も読んでいない。採用試験を受けに来た会社の記事もまったく読んでいないという学生が何人もいて、驚きを通り越して情けなくなります。

若いビジネスパーソンも同様です。電車の中ではスマートフォンでゲームかSNSばかり。それがダメだとは言いませんが、そればかりでは「引き出しの数」は増えないでしょう。数紙が理想ですが、一紙でも良いから新聞を毎日しっかり読む。本はベストセラー小説から始めても良いので、毎日読む癖をつけること。

この癖が身についたと思ったら、新聞記事や本に書いてあったことを、意識的に誰かに話してみてください。「引き出しの数」が増えていることに気づくはずです。

3.「修羅場の経験」

約25年間を広報パーソンとして仕事をしてきた中で、生きるか死ぬかと言えば大袈裟かもしれませんが、そう思えるくらい崖っぷちに追い込まれる経験を何度かしました。誰でも長年にわたって仕事をしていれば、そうした経験は少なくとも2回や3回はあるはずです。しかし、思い返してみると、そうした「修羅場の経験」が自分を成長させてくれたことに気がつきます。

私がいた職場では、見どころのある若手や能力はあるものの経験が不足している人物には、他社との共同プロジェクトや会社の重要商品のデビューなど、「修羅場になることが期待できそうな仕事」を意識的に担当させました。残念ながら重圧に耐えかねて「担当から降ろしてほしい」と、途中で挫折する人もいました。

一方で、やり切った人物はその後の仕事ぶりが「一皮も二皮もむけた」と思わせるぐらい成長していることが分かります。極めて困難な仕事をやり遂げた経験から得る自信は、経験からでしか身につけることはできません。

修羅場を経験できるかどうかは、運にまかせるのではなく自ら求めることから始まります。特に30代での修羅場の経験が、その後のビジネスライフを大きく左右することになると思います。

私も体力と気力が最も充実していた30代で重要商品のデビューを担当し、経営者の記者会見を取り仕切ったことがその後も広報パーソンとしてやっていけるという自信になりました。修羅場をくぐり抜けたことが新たな困難に挑戦する気概を養い、それを克服できた際には何物にも代えがたい自信ができるのです。

経済のグローバル化により、ビジネスの世界ではすでに国境がなくなっていると言っても良い状況です。そしてIoTの進展やAIの登場もあり、優れた技術やアイデアで新たな市場を切り開く成長著しい優良企業が、国内外で誕生しています。こうした新たな成長企業が、世界経済を牽引していく時代になったわけです。

昨今の事例を見てもお分かりのように、大企業に入社すれば安泰という時代は過ぎ去りました。そして一方では、スタートアップ企業のような新たな成長企業が勃興する、今はまさに「不確実性の時代」です。

30代は、この「不確実性の時代」に適応できればその後の「躍進の40代」と「実りの50代」をモノにできる年代です。一方、プライベートでは結婚などで新たな社会的責任も発生します。つまり、公私ともに将来の試金石ともなる年代なのです。

自らを振り返ってみても分かりますが、30代は肉体的にも精神的にも無理が効き、経験と知識を培えるビジネスパーソンとして一番伸び盛りの年代です。自らの専門性は何かを見極め、「個の力」を磨き上げる。そして、いざとなったら、会社に依存せず一人のプロとして勝負できる人材になる。

人生の「勝負の分かれ目」となる30代を、ぜひ充実させた日々にしていただきたいと思います。

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