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変化に強い自律型組織を作るために今、現場リーダーができること

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不確実な世界で成果を出し続ける組織を作るマネジメントのポイントは何か。今回は、日本電気株式会社の元CSOで、文部科学省科学技術・学術政策研究所の元客員研究官でもある小倉新司さんに「変化に強い、自律した組織の作り方」をテーマに寄稿していただきました。

PROFILE

日本電気株式会社 元CSO 小倉新司
日本電気株式会社 元CSO 小倉新司
パーソルキャリア i-common登録
放送大学で2018年度開講「地球温暖化と社会イノベーション」講座執筆・放送講師、Koonj地球環境研究プロジェクトで事務局長、日本電気株式会社でCSO(上席サービスオーガナイザ)、元文部科学省で科学技術・学術政策研究所客員研究官などを歴任

自律的に動き、成果を出す現場を構築するための重要なポイントは3つ。

  1. 最初は環境認識、そして自律することの意味の理解
  2. 仕事の定義の理解
  3. 問題を見つける、理解・分析し判断する、責任を持って実施する

1. 最初は環境認識、そして自律することの意味の理解から

まず、最初に自分を取り囲む社会や世界情勢など環境認識が必要です。これを明確に理解しなければ、自己が自律する理由や定義、自己実現にはほど遠いからです。

現代社会は情報爆発による多様化と、その拡大・膨張の大混乱の真っただ中にあります。この時代の最大の問題は以下の6つ。

  1. 情報が各領域で爆発し、個々人が理解や制御・コントロールできず、当然判断できない
  2. 逆に噂や軽率な発言が蔓延し、誤解・問題や先入観を助長し、知らない間に常識化し、現場の真実やリアルな情報が失われ、真実ではない情報で判断する
  3. その結果として、簡単に思考を失い、広い領域知識が必要な時代に視野狭窄を起こし、考えること自身がどんどん省かれていく
  4. さらにガバナンスや制約が増えることで、手間のかかる指摘や疑問をも省いてゆく
  5. 中間管理職だけではなく一般社員もが元々判断をするために存在する意思決定能力を失ってゆく
  6. そして、最終的に自分が見たいものだけを見て、見たくないものを一切見ない時代

つまり、これらによって一般社員や中間管理職・リーダーも意思や判断を失い、「どうせ上が判断するだろう!」「大きな問題を起こし、手間をかけたくない」と感じ、自分自身で勝手に「自分の仕事ではない」と定義してしまい、やがてこれが慣習や常識になります。

さらには、会社も問題を起こさない(見えない)部下を昇進させることとなり、本来の企業文化を大きく変質させていくことになっています。すなわち現状では、ただでさえ自律をすることが難しい環境になっています。元々の原点に立ち返り、自律することの大切さに気づいてほしいのです。

『“未来を変える” プロジェクト』の読者のみなさんはどんな将来設計を持っているでしょうか? 新事業を起こしたい、社長になりたい、大きな事業を統括したい、お金持ちになりたい、有名事業家になりたいなどさまざまでしょう。そのためには、それ以前に「自律」の意味を知らなければなりません。

自律の定義は、一般的に辞書では「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」となっています。つまり、重要なことは自分自身が何らかの環境の中で培ってきた経験や価値観、規範で、自らが責任を取って決定して行動すること。つまり、極端に言えば、先ほどの現代社会に反するということです。

  1. 自ら行動し、経験し、価値観や規範を整えるということ
  2. その価値観や規範を作り上げ、それを自分自身が身につけるということ
  3. 自らが責任(リスク)を取って判断して行動(決断)すること

です。

何もしないで突然チャンスだけがやってくることはありません。それだけでなく現代社会においては今チャンスが来ていることも分からない、気づかないのです。さらに当たり前ですが、自分自身の決断ややるべきことも見えなくなっているのです。

2. 仕事の定義の理解と共有をしていますか

では、みなさんはすでに社会人として仕事に就かれ、会社から毎月給料をいただいておられるでしょう。そのみなさんは仕事の定義ができているでしょうか?

多くの新人教育や社内教育、講演会などで話してきましたが、明確に定義や答えられる人を見たことがない。「営業成績を大きくする」や「会社に貢献する」「給料を貰うことだ」という人までいました。当然、仕事の定義は職位に関係なく存在しています。

答えは、仕事とは「与えられた条件の中で、結果を出すこと」です。この言葉は私が30代のときに世界中の人と意見交換し、得られた結果です。その意味は、

  1. 自分の置かれた条件を認識しなければならない(制約条件)
  2. そして上司であれ、自分の顧客であれ、結果を出すということです(成果・評価)

「1」は上司や顧客が、ある条件の中で何を望んでいるか、つまり「RFP(要求仕様)」。「2」はそこから導き出される結果です。勘違いしては困るのは、成功や達成だけではなく損失や失敗もこれに該当するということ。

そして、最大の仕事の成果は、自分自身として明確な価値を見つけられたかです。つまり「こうすればいい」や「こうしたらいけない」ことを経験し、残すことです。これが個人としての規範形成です。それは会社でも同じで「成功したら喜び騒いで、失敗は残さない」ではなく、「成功しても失敗しても、その原因を徹底追究して、残す」ことです。

自分の人生はもちろん、企業でさえ各階層で従業員の育成や訓練における大小の失敗を覚悟しているはずであり、それを持っていない人や企業があれば、将来はないと断言できます。

大企業の危機が最近頻発していることはみなさんもよくご存知でしょう。しかもこともあろうに、名だたる超有名大企業で企業粉飾決算、無資格試験、生産管理などあり得ない企業の魂に支障が起きています。

ここでよく考えてほしいのは、それらの問題は私の言う社員としての自律形成と仕事定義ができていないから起きているということ。社員の仕事の定義もなく、何も判断せず、すべて他人事にしているのです。ただただ目の前を仕事が流れていくことに無関心になっているのです。それこそ会社の機能にもなっていない(情報格差)。

例えば、大きな問題が工場のラインで起きても、本来どこにでも存在する小さな課題・問題という事実を無視し、無関心で上が増産指示したことを原因としてしまうことが、典型的な問題事例です。これらに関与していても自律していない人はかならずこう言います。「そんなことは、誰からも言われなかった!」、と。

確かに日本ではマニュアルや明確な役割制度がない会社が多い。しかし、そういう人にはでは明確な定義がどこにあるのかと聞きたくなります。上司から見て、本当の意味で「あいつはできる」と言われる人は、前述の仕事の定義ができているケースが非常に多く、問題事象(インシデント)指摘を多く発信できる人たちです。

私の部下で過去に2人だけ、私がそのように評価をした者がいました。私の部下になったその日に「部長は私に何を期待していますか?」、と。驚くべき社員でした。そして「どういう結果を出せば、評価をいただけますか?」とも。

私も言われっぱなしでは立場がないので聞きました。「君はこの会社に、自分にとってどうあってほしいと思うのか?」「君が選んで入社したのだから言ってみなさい」、と。彼は「時間をいただけますか?」と言い、「私はよく考えろよ」と返しました。

私がこの社員に感心したことは指示を待つのではなく、自分の仕事について条件を先に聞こうとしていることです。みなさんはそのような社員を見たことがあるでしょうか? どんな会社であろうとどのような仕事であろうと、みなさんは上司と合意ができていますか?

できていない人自身の問題はここにあります。かならず夜、知人や友人と「会社は俺のことを評価してくれない!」と愚痴ることであり、自分自身の問題を発見していないのです。ひょっとして上司があなたに望んでいることが違っていたら?「言われなかった」ではなく、共有していないあなた自身の問題です。聞いてみたらいいだけなのです。

3. 問題を見つける、理解・分析し判断する、責任を持って実施する

ある有名企業の新人教育に関わったことがあり、今でもその教育ポリシーには感銘しています。その会社では、新入社員に「問題とは何か?」を最初に教えています。これはすべての出発点であり、原点です。自分の仕事、自分の価値・存在意義を、何でスタートさせるのかを明確にしようとしているのです。すばらしい。

社会は、あらゆることを内包しながら動いています。そんな中であなたも生きています。しかし、自律し、価値を提供しながら生きるということは、相手がどのような組織や団体であっても、家族であっても共通しているのです。

子どもも配偶者も上司もあなたに期待しているはずで、そこでは何も会話が無くても、お互いに思っているはずです。日本人は少なくとも、分かり合っている、理解し合っている人たち(すべてを明かさず信じ合っている価値)が多い。

しかし、他民族国家アメリカという社会や世界では、お互いに情報をすべて共有しているということに価値を置きます(隠しごとや嘘のない情報共有)。どちらがいいかは別にして、今後日本企業でもグローバル化が進み、言わなければ分からない社員像にぶつかることになります。

このような時代の進捗の中で、みなさんが成功するには以下のことが望まれ、必要になります。

  1. 世界や社会を注視し、今あなたが生きている環境を常にリアルタイムで把握する
  2. 自律を明確に自覚し理解する
  3. 個々の環境の中で仕事を定義する
  4. 自分自身の価値や判断を会社に提示・提案できるスキルを保有する
  5. 失敗をおそれずに(場合によっては了解を得て)チャレンジし、自分の規範を固める
  6. 早く後輩を育成して、自分が次のステップアップに臨めるように後継者を準備する
  7. 不明瞭な指示をせず、誰でも分かるように指示とミッションを定義共有する
  8. 常にリアルな現場でスピードを意識して行動する

最後に、最重要かつどのようなときにも使える「仕事のプロセス」として、私が今でもすべてのプロジェクトの現場で使っている手法をお話ししたいと思います。次の3段階です。

  • 第1段階:現状調査(課題・問題の発見)
  • 第2段階:あるべき姿(成果や達成目標作成)
  • 第3段階:実行プロセス(作業と段階的管理:いわゆるPDCAはここに入ります)

これはあらゆる現場で使える手法です。前述してきたので詳しい説明は省きます。

今後、未来のリーダーを目指す『“未来を変える” プロジェクト』の読者のみなさんに大切にしてほしいことがあります。それは、まず第一に「仕事を定義する」ということです。仕事は自分が見つけることから始まります。自分の存在と、会社が求めていることが存在し、会社に影響を与えてほしいということです。それは大きく言えば、自分の存在価値を会社に提供してほしいということに尽きます。

上から聞いたことや指示された同じことを毎日することが、自分の存在価値である人もいるかもしれません。しかし、改善点や問題点は毎日発生します。そこにおいてこそ自分が生み出した価値を発揮できる。当然できれば評価にもつながるわけです。

会社や加わっている組織に価値で貢献してほしい。そして、自分で月に一度でいいので自分の価値をリストアップしてみてはどうでしょうか?

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